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〈台湾〉台湾特許庁,出願/審査に関する統計情報を公表

2016年1月,台湾特許庁は,2015年10−12月分統計季報(民国104年第4季)において,「専利申請数量統計表−本国人及外国人」,「外国申請人発明専利新申請前十大統計表」を公表した。
「専利申請数量統計表−本国人及外国人」は,台湾国内・国外の出願人ごとの特許・実用新案(以降,実案と略す)・意匠の出願件数を公表するもので,「外国申請人発明専利新申請前十大統計表」は, 2015年10−12月における特許出願件数トップ10に入った台湾国外の出願人を公表するものである。それぞれ2015年10−12月分のほか2015年の1年間の累積件数も併せて公表された1),2)。
また,2016年3月,台湾特許庁は,「発明専利加速審査(AEP)申請案件統計簡表(至105年2月底案件)」3),「専利審査高速公路(PPH)申請案件統計(至105年2月底案件)」4)を公表した。 これらは,2016年2月までの早期審査に関わる累積統計情報である。

1.出願に関する統計情報
(1)2015年出願件数は,特許が約4.4万件(前年比4.23%減少),実案が約2.2万件(前年比8.87%減少),意匠が
  約8千件(前年比4.17%減少)であり,いずれも減少傾向にある。この減少傾向は, 特許・実案は2012年から,
  意匠は2013年から続いている。
(2)国内・国外ごとの前年比減少率は,特許では,国内9.30%,国外0.70%,実案は,国内9.02%,国外6.43%,
  意匠は,国内4.92%,国外3.17%となっており,特許・実案・意匠いずれも,国外の 減少の幅が比較的小さく,
  特に特許については0.7%と微減に留まっている(以上,表1参照)。
(3)特許について,国外の出願人の出願件数トップ10をみると,すべて米国と日本の出願人となっている。また,
  出願件数という限られた情報であるものの公開前に出願人の動向情報を得ることができる (たとえば,某出願人
  の対前年比が142.64%と急増)。

表1 国内外別専利出願件数

年月 合計 特許    実案    意匠   
合計 国内 国外 合計 国内 国外 合計 国内 国外 合計 国内 国外
2010年 80,494 52,107 28,387 47,442 22,905 24,537 25,832 24,917 915 7,220 4,285 2,935
2011年 82,988 52,221 30,767 50,082 23,518 26,564 25,170 24,094 1,076 7,736 4,609 3,127
2012年 85,073 52,515 32,558 51,189 23,077 28,112 25,636 24,427 1,209 8,248 5,011 3,237
2013年 83,211 50,714 32,497 49,218 21,730 27,448 25,025 23,837 1,188 8,968 5,147 3,821
2014年 78,014 45,868 32,146 46,378 19.054 27,324 23,488 22,135 1,353 8,148 4,679 3,469
2015年 73,627 41,869 31,758 44,415 17,282 27,133 21,404 20,138 1,266 7,808 4,449 3,359
前年比%  -5.62 -8.72 -1.21 -4.23 -9.30 -0.70 -8.87 -9.02 -6.43 -4.17 -4.92 -3.17

2.審査に関する統計情報
(1) 「発明特許早期審査の運用方案(AEP)」を利用した際に,第1回目審査意見(査定)書(Office Action)発行
  までの平均日数(以降,第1回OA発行平均日数)のデータが公表された。
  「対応する外国出願が外国特許庁の実体審査を経て,登録査定されたもの(事由1)」,「対応する外国出願が,
  米国,日本,欧州特許庁の審査意見通知書及びサーチレポートの発給を受けているが, 審査結果は出ていない
  もの(事由2)」,「ビジネスの実施上,必要とするもの(事由3)」,の3つの事由の“第1回OA発行平均日数”の
  ほかに,2014年1月1日から新たに追加された事由 (「グリーンエネルギー技術に関する出願」(事由4))につい
  ても公表されている。
   各事由の第1回OA平均日数は,約70日から約140日の間にあり,事由1が最短となっている(以上,表2参照)。
(2)特許審査ハイウェイ(PPH)を利用した場合の“第1回OA発行平均日数”と審査終結までの平均日数(以降,審査
  平均日数)も公表された。“第1回OA発行平均日数”は,57.3日,審査平均日数は, 135.1日であった。なお,
  これらの日数は,台日PPH(PPH MOTTAINAI)だけでなく台米,台西,台韓などのPPH制度を利用した案件も
  含めた日数となっている(公表データ上は明示なし)。
   2013年統計データ5)によると,台日PPHでのデータとして第1回OA発行平均日数は1.77ヶ月(53.1日),審査
  平均日数は3.6ヶ月(108日)となっている(期間:2012年7月〜2013年12月)。
   詳細は以下参考ウェブサイトで確認頂きたい。

表2 AEP申請から第1回OA発行までの平均時間

申請事由 AEP申請期間 第1回OA発行
平均日数(日) 
事由1  2009年1月〜2016年2月 72.2
事由2 2010年1月〜2016年2月 81.5
事由3 2010年1月〜2016年2月 140.3
事由4 2014年1月〜2016年2月 98.9
(注) 各事由該当は、本文参照
(出典)台湾特許庁「發明專利加速審?(AEP)申請案件統計簡表(至105年2月底案件)」に基づき作成

(参考ウェブサイト)

1)台湾特許庁HP:首頁>認識智慧局>統計資料>統計季報民国104年第4季
https://www.tipo.gov.tw/dl.asp?fileName=612711311877.pdf
(最終参照日:2016. 3. 22)

2)台湾特許庁HP(英語)
NEWS>IPR Trends Q4 2015:
http://www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=580456&ctNode=6687&mp=2
(最終参照日:2016. 3. 22)

3)台湾特許庁HP:3月9日布告欄
http://www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=531848&ctNode=7127&mp=1

4)台湾特許庁HP:3月9日布告欄
http://www.tipo.gov.tw/ct.asp?xItem=531840&ctNode=7127&mp=1

5)日本特許庁新興国等知財情報データバンク:台湾における特許の早期権利化の方法
https://www.globalipdb.jpo.go.jp/statistics/8270/

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