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会務報告&部会報告
2021年度 関西金属機械部会（第4回）
| 時 | 12月09日（木）13：25〜16：30 |
|---|---|
| 所 | DMG森精機 伊賀事業所とWEB（Teams）のハイブリット |
| 人 | 花田業種担当役員、稲岡、二長、友永 各幹事を含む 30社、57名 |
議 事
１．開会挨拶
花田役員が開会の挨拶をした。２．伊賀グローバルソリューションセンタ見学
会場参加者は伊賀グローバルソリューションセンタを見学した。見学の前に、会社説明をいただいた。
まず加工機について説明する。加工機は、１０年おきに技術革新が進んでおり、２０００年代には複合加工機が主流になり、２０１０年代に入ると５軸加工機が、２０２０年代に入るとアクティブマニュファクチャリングが台頭してきて主流となっていくと予想している。
なお、５軸加工機の５軸とは、例えばXYZの３軸に回転軸、傾斜軸を加えたものである。また、複合加工機は、ターニングにミーリング機能を組み合わせたものである。
DMG森精機について
DMG森精機は、日本の森精機とドイツのDMGが、2009年に協業を開始し、2016年に完全経営統合した会社である。事業内容は工作機械、ソフトウエア、計測装置、サービス・サポート、 アプリケーション、エンジニアリングを包括したトータルソリューションの提供であり、連結売上高は3,283億円 (2020年1-12月業績)であり、連結従業員は12,335名（2021年10月30日現在）である。
社員構成は、日本人とドイツ人とがそれぞれ約30％であり、46か国の国籍の人々である。
開発生産拠点は、日本やドイツ以外にもイタリア、ポーランド、ロシア、中国、アメリカがあり、７ヶ国に14の工場がある。年間約１２０００台の工作機械が製造されている。
受注構成については、地域別でみるとEMEA・ロシア・トルコが多く（28％）、次いでアメリカ（24％）、日本（14％）、中国（10％）となっている。業種別でみると機械が２３％で最も多く次いで、電気・精密・半導体、金型と続いている。また、機種別でみると、5軸加工機が３５％であり、次いで複合加工機（25％）、横形マシニングセンタ（14％）となっている。規模別でみると社員数１〜２０名の会社が34％と最も多く、次いで２１〜１００名（32％）、１０１〜５００名（17％）となっている。
伊賀事業所には約1600名が勤務しており、月産250〜300台の工作機械が製造されている。
３．部会報告
花田役員が今年度の部会活動計画を説明した。４．講演
| 演題 | 「DMG 森精機における知財活動について 〜AI・IoT 分野での取り組み事例及び今後の活動における課題〜」 |
|---|---|
| 講師 | DMG 森精機株式会社 知的財産部 部長（弁理士） 金本 誠夫 氏 |
講演概要
- 講師経歴
1986年森精機株式会社に入社。1992特許管理課に配属。2004年に一度退職され、特許庁で審査官をご経験。2014年に森精機に戻られ、現在に至る。 - 講演の内容
- 新製品/技術開発をする際の考え方
多軸・複合化のように工作機械が高度化している。ワンチャッキングで複数の工程を行うようになってきている。工場は、近年無人化が要求されており、ものを運ぶのも自動化されるようになっている。それに伴いセンシングが必要である。無人化に伴いビックデータ分析を活用している。
このように、学習して工作機械を発展させている。
そして、工作機械を顧客に利用してもらうために、据え付けや教育を行っている。
そして、顧客に据え付けた工作機械の状態を、顧客の了解のもとで、リアルタイムで監視したり、稼働状況をモニタリングしたりしている。
これらを行うことにより、工場全体の稼働率を上げるようにし、一連のサイクルを回している。 - なぜ自動化が必要なのか
BCPやSDGs等の要請もあり、近年特に、省人化が進んでいる。
自動化が進む要因としては、生産人口の減少が一因である。日本では2010年から2060年の間に労働人口が約3700万人減少すると予想されており、自動化の要求は益々高くなっている。
DMG森精機で受注している工作機械についても自動化システムの要望が強くなっている。
自動化システムの一例としてはワークハンドリングやパレットハンドリングがある。
MATRIS Lightという、使いたいときには即使え、使わないときには即外せる自動化システムも販売している。例えば、夜間の無人の際に取り付けて、昼は取り外すという使い方もできる。
- （１）AGV
人と共働するAGVも販売している。自動給電も行えるようになっており、ビジョンセンサを使って高精度でワークの受け渡しを行えるようになっている。このようなシステムを導入することで、自動化を進めることができ、ワークの付け替えや搬入・搬送も自動化できる。また、８０ｍの搬送ラインで、AGVが自らマップを作成し、障害物を避けながら搬送等を行っている。空中の障害物や人を検知してそれを避けて動くことができる。
AGVが取得するMAP情報について、５GのほうがWi-Fiよりも短時間で取得できる。
このようなAGVだが特許出願も行っており、37件の出願しており、19件が登録になっている。
例えば、車輪構造や、動作制御、位置補正、工場内環境検出、給電装置、センサ、エンドエフェクタの分野等で特許出願を行っている。また、人とロボットが共働可能なストッカーについても特許出願している。JIS規格に準拠したRIDERの配置等も特許出願している。
開発当時から技術者とブレスト等を行いながら工作機械業界では比較的多数の出願・権利化を行っている。
後発メーカーの参入を防止するために、実施している技術だけでなく、周辺の技術についても積極的に出願している。 - （２）AIチップリムーバル
また、切り屑・クーラント・ミストの３悪を改善するための解決策の一つとしてはAIチップリムーバルという技術を開発している。切り屑（チップ）を、AIを活用して認識し、稼働ノズルを使って、特定の場所にクーラントを吐出することで、切り屑の確実な除去とクーラントの使用量を低減できる。切り屑といっても材料によって、大きさや色も異なる。また、クーラントがかかったりするので切り屑の判定が難しかったが、改良を重ねることにより高精度で切り分けを行えるようになった。カメラ画像で機内を撮影し、ユーザが指定した部分にクーラントを吐出する機能もある。これらによって、加工機の扉を開けることなく切り屑を除去できる。後付けでこの機能を取り付けることもできる。自動的に切り屑を除去できることにより、人手で切り屑を除去する必要がなく、省人化を図れる。
自動で切り屑を除去する製品であるAIチップリムーバルに関しても特許出願を行っており、現在は26件出願しており、17件が登録になっている。
撮影や、洗浄、切り屑検知、操作等に関する技術についても出願している。例えば、メッシュサイズを変えて二重に切り屑判定を行うものや、クーラントの吐出の有無の閾値を変更できるものについて特許出願を行ったりしている。 - （３）ZEROスラッジクーラント
ZEROスラッジクーラントは、クーラント内に含まれるスラッジを効率的に回収するものである。現在では新製品には標準で搭載されている。タンク内を攪拌し、クーラントを対流させ続けることで、スラッジを高収率で回収できる。 - （４）ZEROフォグ
加工機内で発生するミストを加工機外に排出されないように回収するZEROフォグも商品化されている。実験により、発生するミストの粒径を特定し、それを効率的に回収できるように開発している。
このZEROフォグに対しても特許出願を進めている。
これらの商品を開発することにより、工場の省人化を進めている。
IoTについて、工場内の工作機械のデータを一元的に収集・管理・分析することにより、稼働状況や生産管理を行えるようになっている。また、DMG森精機側でモニタリングできるようにしている場合には、顧客が問い合わせをする前に解決策を提案できるようにしていたり、チャットボットを導入し顧客側でもメンテナンスできたりもしている。
これらについても、多数の特許出願を行い、製品・サービスを保護している。
DMG森精機では、2021年は約160件の特許出願、約40件のノウハウ登録を行っている。これを知的財産部６名（実質的には３名）で対応している。ノウハウ登録については、電子確定日付を活用している。
課題は、発明発掘の効率化であり、現在は部長自ら技術会議に参加して自らピックアップしているが、発明者の知財レベルの向上を図る必要がある。これに対して、今年から研修動画を作成し、配信することに取り組んでいる。
- 新製品/技術開発をする際の考え方
以上
2021年度 関西金属機械・関西電気機器 合同部会（第3回）
| 時 | 2021年11月09日（火）14:30〜17:00 |
|---|---|
| 所 | 日本知的財産協会 関西事務所及びWEB（Teams） |
| 人 | ＜電気機器部会＞ 役員 宇野 元博(ＧＳユアサ) [二業種役員] 幹事 南 康之(パナソニックＩＰＭ)、竹綱 由紀子(エスペック)、横井 賢二郎(関西電力) [二業種会場幹事] ＜金属機械部会＞ 役員 花田 考士(栗本鐵工所） 幹事 稲岡 智子(コベルコ建機）、二長 俊行(日立造船）[二業種会計幹事]、友永 忠(ナブテスコ）[二業種記録幹事] 講師１名、他47名 合計55名 |
議 事
１．開会挨拶
宇野役員が開会の挨拶をし、講師を紹介した。２．講演
| 演題 | 『SDGs時代のイノベーションと知的財産制度〜インド・アフリカの事例をふまえて〜』 |
|---|---|
| 講師 | 関西大学 法学部教授 山名 美香 氏 |
講演概要
- 講師経歴
大阪大学博士（法学）。近畿経済産業局近畿知財戦略本部員、内閣府総合科学技術会議知的財産戦略専門調査専門委員、特許庁人材育成協力委員会委員、インド法研究所（インド）客員研究員、トリブヴァン大学法学部（ネパール）客員教授、関西大学法学研究所インド・南アフリカ研究班、関西大学経済・政治研究所アフリカ経済・環境研究班主幹研究員等歴任。専門は知的財産法。2015年よりJICA（国際協力機構）ABEイニシアチブプログラムにてアフリカ７ヶ国の学生指導をご担当。 - 講演の内容
１．SDGsを考える(なぜインド・アフリカなのか)
SDGs（Sustainable Development Goals: SDGsは、17の世界的目標、169の達成基準232の指標からなる持続可能な開発のための国際的な開発目標である。すべての人々にとってより良い、より持続可能な未来を築くための青写真であり、貧困や不平等、気候変動、環境劣化、繁栄、平和と公正等、人類が直面するグローバルな諸課題の解決がSDGsの下で目指され始めた。
そんな中、極度の貧困の中で暮らす人々のほとんどが集中するのが、南アジアとサハラ砂漠以南のアフリカ(サブ・サハラ）である。
アフリカは人口が約13憶人であり、2050年には25憶人を超えると言われている。また、インドは人口が約13憶人である。また、2015年の世界の貧困層７億3600万人の半数が、南アジアとサブサハラ5カ国(インド、ナイジェリア、コンゴ民主共和国、エチオピア、バングラデシュ）に集中しており（世界銀行2019）、サブサハラの他の国を含めると、貧困問題の85％が、南アジアとサブサハラに集中している。さらに、環境破壊、食料・水不足、政治不安、難民問題等も、南アジア、サブサハラで発生している。
しかし、インドのGDPの成長率は1995年比で７倍にもなっている。近年はコロナの影響で大幅に減少したが、回復傾向にある（IMF）。2021年3月時点の日系企業のインド進出は1445社に及んでおり、直近は減少しているものの、2006年から見ると増加している。なお、中国進出の日系企業数は2020年１月時点で中小企業を中心に1万3646社である。また、サブサハラのGDP成長率は、コロナ前は世界平均を上回っていた（IMF）。このように、インド、サブサハラは近年成長していることがデータより分る。２．成長するアフリカ？日本との関わり
2013年の第5回アフリカ開発会議（TICAD V）で、安倍首相は 「アフリカは、もはや援助の対象ではなく、ビジネス・パートナーである」と宣言している。
アフリカの約13億人の人口は、2050年には25億人を超え、中国やインドを上回ると予想されている。そして、2021年1月から始動したアフリカ大陸自由貿易圏（AfCFTA）により、アフリカ全体の共通市場化が進んでいる。さらに、アフリカを介した通商制度の活用で、アフリカが欧米市場向けの製造拠点になることが期待されている。このように、アフリカには潜在的な成長性がある。
2016年から2018年の間、アフリカは食料の85％を域外から輸入に頼っており、年間の輸入額は、約350億ドルである。また、2025年までにその額は、1100億ドルに達するとされる。３. インド・アフリカにおけるイノベーションとビジネスモデルの再考
このような状況下で、従前の「企業が収益を上げてから、事後的に寄付等の社会貢献で社会を良くするモデル」ではなく、「企業が収益を追求しつつも環境問題や、貧困問題等々の社会問題の解決にも繋がる価値を創造するモデル」である共有価値の創造（CSV：Creating Shared Value）が提唱されているが、CSV提唱前から社会事業をめぐる「新たなビジネスモデル」が実践されてきている。
CSVの具体例としては、��BOPビジネス、�∩陲虜�イノベーション、�Ｅ租�的知識活用イノベーション等が挙げられる。�，任惑逝蕊瑤鮹羶瓦箸垢詆郎ち悗鬟ぅ離戞璽轡腑鵑�展開されるマーケットとして捉えており、今やSDGs達成に有望なビジネスモデルとも言えるだろう。�△蓮�農村部を中心とする貧困層を、イノベーションの創作者として捉えるものであり、��は生物資源に関わる伝統的知識を活用にしたイノベーションであり、これらも、SDGs達成に有望なビジネスモデルのはずである。- �，�BOP(Base of Pyramid)ビジネスとは、発展途上国において年間3000ドル（約30万円）以下で生活する低所得者層（BOP層）を対象に、彼らが求める製品・サービスを購入可能な価格帯で提供するビジネスであり、BOP層は、従来は「商売の相手にならない」とされてきた層であった。しかし、21世紀に入ってようやく、中所得発展途上国、さらには、低所得発展途上国もその視野に入ってきた。
BOPビジネスの登場の意味は、収益を上げつつ貧困を撲滅することである。しかし、顧客、提供する製品・サービスが従来とは異なるために、新規事業の立ち上げも難題が多い。例えば、BOPビジネスだからと言って、安ければ売れる、という定理は存在しない。BOP層向けに低コスト製品を作ることは成功の必要条件であっても十分条件ではない。また、BOP層のニーズ等に対する適切な情報を欠いて、最初に「製品ありき」で、BOPビジネスを立ち上げようとする場合は危険である。高度な自社技術へのこだわりが低価格化の障壁ともなりえる。
具体的なビジネスの事例としてよく知られているものとしては、��Vestergaard Fandsen(スイス）による、高品質な浄水装置を中心に埋め込んだ4ドルの飲み水浄化キットや、��Hindustan Unilever(インド）による吸収力の高い紙おむつ・溶けにくい石鹸の開発、��住友化学よるオリセットネットマラリア予防用に殺虫剤を練り込んだ糸仕様の蚊帳を開発、�ぅ筌泪枠�動機による農業用ポンプポンプ使用による新農法（ドリップシステム）で、生産コストの削減に寄与、�テ�本ポリグルによる水質浄化剤納豆菌成分から独自に開発した水質浄化剤（凝集剤（PGα21Ca」）を低価格で販売し、BOP層に貴重な飲み水を提供等が挙げられる。 - �△料陲虜�イノベーションの例としては、Honey Bee Networkが挙げられる。これは、Anil Gupta（インド経営大学教授）が貧困層にも存在するアイデアを活かし、社会変革を起こそうとする組織として１９８８年創設されたものである。その後、SRISTI(Society for Research and Initiative for Sustainable Technologies and Institutions:持続可能な技術及び制度のための研究及び独創力の会）という組織に発展している。貧困の村に知財の専門家が訪問し、日々の改善から特許化可能なアイデアの発掘を行い、権利化活動を行っている。2019年度は、米国に10件の出願を行い、6件の特許を取得している。 草の根イノベーションについてのこのような動きが南アフリカにも波及しており、Grassroots innovation を発掘して情報データベースをつくり特許で保護するというHoney Bee Network と類似の活動が展開されている。
- ��の伝統的知識活用イノベーションについて、南アフリカでは、国立研究機関(CSIR：Council for Scientific and Industrial Research)、科学技術省国立伝統的知識局、イノベーション財団等が連携し、同国の諸部族コミュニティの生物資源に関わる「伝統的知識」を近代技術と融合させた産官学連携による医薬品、機能性食品、香料、芳香、バイオ農薬関連製品の研究開発を進めてきた。
これは、アフリカに豊かな生物資源・伝統的知識を基にアフリカ域内の連携を軸に「イノベーション」を起こし、産業を起こすことの重要性を示している。具体的には、CSIRにおける伝統的知識の活用が挙げられる。代表的な例としては、Hoodiaという植物から抽出された物質を利用して、新しい重量制限（肥満予防）のための食品が開発され事例が挙げられる。本件では、特許化までされ、その植物を保持してきたとされる部族（サン族）の団体にまで利益を配分契約まで締結されている。
一方で、2005年からはCSIRは、アフリカ連合（AU）のイニシアティブの下に「アフリカ開発のための新パートナーシップ（NEPAD）」において、南部アフリカで構築されたSANBioプロジェクトの総括拠点となり、南部アフリカ共同体（SADC）諸国13カ国の国立大学及び研究機関を連携させて、アフリカ域内の産官学連携プロジェクトの推進役として動いている。バイオ分野における国際的産官学連携の促進政策の分析は、国際的にも注目されるべき課題であるが、これまでほとんど対象とはならなかったサブサハラ・アフリカ域内で、アフリカ独自のイニシアティブの下で始董ｷし始めた産官学連携は、注目に値する。
４．ブランド化戦略！エチオピアの事例
現在は、北部ティグレ州を拠点とする政党と連邦政府間での紛争が激化して、国情が不安的な状況にあるエチオピアではあるが、これまでの同国の積極的な国外での知財活用に向けた試みは、興味深く、他の途上国に対しても示唆に富んでいると思われる。エチオピア政府は2005年3月、米国において、ハラー（Harar）、シダモ（Sidamo）、イルガチェフ（Yirgacheffe）について商標出願を行った。前２者については最初は、拒絶されたものの、諦めずに取得を目指し、Harar、Sidamoについても、2006年、2008年商標登録に至った。
商標登録が出来たことで、スターバックスとも商標の使用契約についても締結に至っており、ブランド化の確立に成功していると言えるだろう。
日本特許庁においても、同様な経緯がある。同政府は、2005年9月に「シダモ」等のコーヒー豆の商標出願を行い、一度商標登録が認められたものの、その後、特許庁は「シダモ」は産地名であるので本来は商標登録事由を欠くとして、日本のコーヒー協会の主張に基づき、登録を無効にした。 それに対して、同政府は、特許庁の決定を不服として知的財産高等裁判所に提訴した。最終的には既に「エチオピア産の高品質コーヒー豆と認識できる」「他商品と識別できるブランド」との理由により、商標登録すべきであるという判断を勝ち取った。（知財高裁平成22年3月29日判決）自国産品のブランド化確立の為に、外国の司法の場でも争おうとする姿勢は、他の途上国にはまだ根付いていない傾向だと思われる。５．インド・アフリカの事例から考える
途上国が総じて弱いのは、「創造性」「イノベーション」ではなく、それを投資、起業と結び付け発展させるツールが乏しい点である。 ←改行なしで、ツメルこれを解決する方法としては「知財制度」が、重要なツールの一つになる。つまり、途上国の貧しい地域にあっても、埋もれる新たな発想、アイデアをどのように拾い上げて、「イノベーション」に繋げるか、そこでは、知財の保護が不可欠となるだろう。
さらに、アフリカでも豊かな生物資源・伝統的知識を基にアフリカ域内の連携を軸に「イノベーション」を起こし、産業を発展させることの重要性を示すプロジェクトがアフリカ連合（AU）主導でも既に開始されている。そこでも、知財の保護なくしては、プロジェクトの発展はあり得ないと考えられている。
SDGsが掲げられている現在、日本企業も、インドやアフリカ等の振興国発の新たな「イノベーション」をどうビジネスモデルに組み込み、知財制度の活用を前提として、発展に繋げていくのかそして、世界の課題をどのように解決していくのかを、その成長戦略においても、考えなければならない時代にある。 - �，�BOP(Base of Pyramid)ビジネスとは、発展途上国において年間3000ドル（約30万円）以下で生活する低所得者層（BOP層）を対象に、彼らが求める製品・サービスを購入可能な価格帯で提供するビジネスであり、BOP層は、従来は「商売の相手にならない」とされてきた層であった。しかし、21世紀に入ってようやく、中所得発展途上国、さらには、低所得発展途上国もその視野に入ってきた。
３．部会報告
宇野役員が関西電気器部会の活動状況を、花田役員が関西金属機械部会の活動状況をそれぞれ説明した。以上
関西金属機械部会（第2回）
| 時 | 9月14日（火）14：30〜16：30 |
|---|---|
| 所 | WEB（Teams） |
| 人 | 花田業種担当役員、稲岡、二長、友永 各幹事を含む 28社、57名 |
議 事
１．開会挨拶
花田役員が開会の挨拶をした。２．部会報告
花田役員が今年度の部会活動計画を説明した。３．講演
| 演題 | 事業の邁進を経営に理解してもらうためのツールとしてのＩＰランドスケープ（モノづくりと カネづくりのインターフェースとしての知財部の役割を通じて） |
|---|---|
| 講師 | 正林国際特許商標事務所 正林 真之 氏 |
講演概要
(1) 講師経歴
・日本弁理士会2020年副会長・東京大学先端科学学術研究センター 知的財産分野客員研究員
・知的財産管理技能検定 指定試験期間技能検定委員
・元東京理解大学 専門職大学院 客員教授
(2)講演の内容
まず、有価証券報告書を使って情報の読み方・分析の重要性の説明を頂いた。そして以下の３点についてご講演頂いた。�� ＩＰ情報を活用するＩＰランドスケープとは？
�� ＩＰランドスケープにおける仮設思考の重要性
�� 知的財産経営と知的財産戦略
�� ＩＰ情報を活用するＩＰランドスケープとは？
「知財情報が分かり難い」のは、会計の素人である我々が「経営にかかる会計資料を見せられた時に感じる厭世観」と似ている。ここから「知財の素人が知財関係資料を見たときに感ずる気持ち」を理解して、自ら経営層に伝えたいこと、伝えるべきことを、分かり易く、見える化して、上手く説明するようにしなければならない。
「経営層に分かり易い資料」とするためには、分析・解析結果だけではなく、ＰＰＭマトリクスやＳＷＯＴ分析のような「経営のフレームワーク」に分析・解析結果をあてはめたものを提示するようにしたほうが良いだろう。経営陣というのは「経営のフレームワーク」については精通している場合が多いので、経営陣には分かり易くな
り、その結果として受け入れられやすくなる。
次に、
- ＩＰは使わないともったいない
- 情報はみんなで使わないともったいない
- ＩＰ情報はみんなで使えないともったいない
ＩＰ情報が有用な理由は以下の３点である。１点目は、ＩＰ（特許）情報は、企業の技術的な本音が反映されたﾋﾞｯｸﾃﾞｰﾀであり、特許情報は出願するのにお金がかかるため、信頼性が高い。
２点目は、ＩＰ（特許）情報は、審査や調査をするために緻密に分類分けがなされており、分析をしやすい。
３点目は、企業・技術・商品開発の動向（時系列情報）が分かる。毎年膨大な件数が出願されており、企業の研究開発や、商品開発の成果や将来動向が表れている。
これらのことから、ＩＰ（特許）情報を分析することで、企業の経営、事業、研究開発等の戦略策定に活用できる、
次にＩＰランドスケープ（ＩＰＬ）と従来型の「特許調査」（特許調査）との違いを説明する。
まず性質の違いであるが、特許調査は自社の弱み回避の「消極型」に対して、ＩＰＬは自社の強みを活かす「積極型」である。
次に目的であるが、特許調査は「特許出願」の戦略立案を目的にしているが、ＩＰＬの目的は、「事業」の戦略立案である。
そして解析する情報の対象は、特許調査が特許情報であるのに対して、ＩＰＬは特許情報に加えてマーケット情報を対象としている。
また、使用用途としては、特許調査が特許性の調査や侵害抵触調査であるのに対して、ＩＰＬは新規用途開発調査やアライアンス先・顧客候補の探索調査、Ｍ＆Ａ・投資対象候補の調査等がある。
これらのことを踏まえて、講師は、「IP情報を軸として事業、製品、サービス、財務、その他の非IP情報を総合的に加味しながら、対象企業の現在置かれている位置づけとその未来を提言し、経営に役立てるもの」をＩＰＬの定義と考えている。つまり、ＩＰＬとは、経営層に対してＩＰ情報と非ＩＰ情報をわかりやすく図示し、真実を伝える、意思決定を促す道具であると考える。
ＩＰＬのマクロ分析例としては、例えば、件数ランキング分析や、技術俯瞰マップ、参入分析、マトリクス分析、競合比較、サイテーション分析等がある。
ＩＰＬを生かすために必要なスキルは「分析・解析力」と「伝える力（表現力）」である。一般的に、知財関係の人が行うと、「分析・解析力」のほうに重きが置かれ、「伝える力（表現力）」のところが軽視されてしまう傾向にある。特に、「正確で、詳細に」のほうに向かってしまうため、却って難しくなってしまい、そうであるがゆえに経営層に敬遠されてしまうことに注意しなければならない。「伝える力（表現力）」のところを考えれば、「もっと簡単に、分かりやすく」を考えたほうが良い。
�� ＩＰランドスケープにおける仮設思考の重要性
ＩＰＬを行う上で重要なことは、仮設と検証である。１つのグラフを見ただけでも複数の仮設を立てることができる。
組織的な仮説思考のループについて説明すると、まずテーマを決めてそれに関するデータを集める。それらからテーマに対する仮説を立て、その仮説を踏まえたデータをさらに収集する。そして、立てた仮説を検証し、これらから仮設のストーリーを構築する。それを組織に伝えて行動の意思決定を行う。そして、決定されたことに基づいて次のテーマを決める。この一連の行動をループとして回していくことで、仮設の精度の向上と、組織の行動に結果が反映されることになる。
次にＩＰＬによる仮設で組織決定を促すにはどうするかについて説明する。
まず、組織には縦糸と横糸があり、組織の意思決定は縦糸で決まる。
このため、ＩＰＬを活用して、組織のトップを説得することが重要である。
その際に説得するために重要なことは、
- 「脅威」と「機会」を経営層へ伝える
- 言いにくいことをデータとビジュアルで示す
- 第三者（例えば専門家）を活用する
経営層にものを言う場合には、間接的にではなく、直接的に伝えることが重要である。そのためには、経営層に分かり易い資料とする必要があり、そのためのツールとしてＩＰＬは有用である。ただし、経営層に「本当のこと」を伝えると自らの地位が危うくなる場合も有ったりするので、そういった場合には、外部と連携してうまくやるとよい。
トップを説得すると、トップから縦糸を使って具体的な行動が伝達されることになる。
このうち、一点目については、トップに直接・真実を伝えることが重要である。下位から上位に向かって情報伝達を行ってトップに伝わると、意図や事実が誤って伝わったりすることがある。
次にトップに伝えるべきは、ＳＷＯＴ分析でいうところの、機会（Ｏ）と脅威（Ｔ）である。ＩＰＬを使って伝えることは、業界・競合の動向は何かという点と、具体的に何に注力しているのかという点の２つの視点を盛り込むことが重要である。どちらかに偏ってはいけない。
将来の脅威・機会に備えた行動を伝える際には、事業が先か、特許が先かという問題があるが、これについては、モノづくりとコトづくりといった違いや、その時の状況によって特許の最適な取得時期は異なる。
また、特許出願を行う場合、戦略に併せて、特許クレームを考慮する必要がある。例えば、模倣防止を狙う特許クレームの考えたでは、主要技術要素をあえて変えたクレームを作成したり、自社しか適用されないクレームを作成したりするだけでなく、他社の模倣を防止できるようなクレームの作成を考慮する必要がある。
�� 知的財産経営と知的財産戦略
ビジネスの本質は「モノづくり」と「カネづくり」の両方である。
「モノづくり」ビジネスとは、モノを活用する労働力ビジネスであり、モノ（技術と労働）の生産を活かし質の創造と量の拡大により高価値に転換する。技術開発があり、ヒトと知恵が介在する。
一方で、カネづくりビジネスとは、契約を利用する手数料ビジネスである。モノを必要とせず、機械化したヒトが介在する。ルール・仕組みに依存しカネにカネを生ませる。成熟社会での儲ける仕組みづくりの中心である。
これら２つのどちらもビジネスとしては重要である。市場を獲得し、製品をより広げるためには、製品・市場の戦略マトリクスで考えることが重要である。製品・サービスと市場（顧客）とを既存・新規で分けた４象限で考える。
儲けるために必要なステップについては、事業の性質（ストック型、フロー型）と価格決定権（無し、有り）とのマトリクスで考える。ここで、ストック型のビジネスとは、仕組みを作り、その仕組みによって成り立つ形のビジネスであり、フロー型のビジネスとは単発でその都度仕事を請け負い、それをくり返すビジネスを指す。
フロー型のビジネスで価格決定権が無い状態からストック型で価格決定権なしの状態を経て、ストック型で価格決定権がある状態へ移行するルートは、知財権による独占を通じてストック化していくルートである。
また、フロー型のビジネスで価格決定権が無い状態からフロー型で価格決定権ありの状態を経て、ストック型で価格決定権がある状態へ移行するルートは、知財権で交渉力を強化していくルートである。
知財ポートフォリオを評価する方法のひとつとしては、特許権の有無と、権利の実施の有無のマトリクスがある。事業の状況・性質によって狙うべき象限は異なる。注力領域を選択し、それにあった戦略を策定する。
オープン・クローズ戦略を考える上で４つの視点がある。オープン化、権利化、見える化そしてブラックボックス化の4つである。これらを状況に応じて使いこなすことが重要である。
これまでの知財戦略は、強い特許を取得して参入障壁を構築することが中心だったが、これからは、それに加えて、事業の利益率を重視して敢えて特許権を取得しないという選択肢や、権利を使った事業を伴わないが戦略に純資産にする選択肢、または、過去の失敗事例・ノウハウ・他社情報などの無形資産を顕在化させて管理するという選択肢も併せて検討する必要がある。
知財は儲かるビジネスのための仕組みづくりでもあり、特許権の活用の有無と、特許「圏外」の知財の活用の有無のマトリクスで考えることも重要になっている。
知財戦略を立てることは重要だが、それだけではだめで、知財戦略を策定して行動することが重要である。
以上
関西金属機械部会（第1回）
| 時 | 6月30日（水）14：30〜16：30 |
|---|---|
| 所 | WEB（Teams） |
| 人 | 花田業種担当役員、稲岡、二長、友永
各幹事を含む 24社、34名 |
議 事
１．開会挨拶
花田役員が開会の挨拶をした。２．部会報告
花田役員が今年度の部会活動計画を説明した。３．講演
| 演題 | 意匠の実務的利用法〜改正法や外国意匠制度も踏まえて〜 |
|---|---|
| 講師 | レクシア特許法律事務所 松井 宏記 氏 |
講演概要
(1) 講師経歴
1998 年に弁理士登録。2011 年にレクシア特許法律事務所の設立に参画。 2013 年と2014 年度は日本弁理士会国際活動センター副センター長、2015 年度に日本弁 理士会意匠委員会委員長を歴任。 専門は意匠と商標で、国内に限らず海外においても権利化から係争に至るまで幅広く活躍。 著書も出版。『共同体商標と共同体意匠の実務』を代表作に、今年出版された『意匠・デザインの法律相談�記供戮覆鼻�著書・論文を多数発表。(2)講演の内容
以下の３点についてご講演頂いた。�� 意匠の実務的利用方法（特許に変わる、または、特許の補完としての利用方法）
�� 意匠法改正について
�� 外国意匠出願（アメリカ・中国）
�＾嫋△亮駄嚇�利用方法（特許に変わる、または、特許の補完としての利用方法）
特許権と意匠権の両方で権利保護を図る”ハイブリッドプロテクション”が重要である。
特許庁が発行している「事例から学ぶ意匠制度活用ガイド」でも解説しているが、意匠権の取り方によっては強い
権利になることがある。
知的財産制度から見た意匠出願の必要性について、例えば、新規性があるが進歩性が怪しい場合などの特許による権利化が困難である場合に意匠を取得することにより、特許を補完することができる。また、意匠は早期に登録可能である（約６カ月でファーストアクションが出る）ため、特許権取得までの意匠権でカバーすることも考えられる。
具体例として、プラスチックボトルを例にすると、構造的な特徴点（くびれ部）に関して特許権（特許第5118478号）と意匠権（意匠登録第1329280号）の両方で保護した例もある。
意匠の権利範囲を広げるには、後述する関連意匠を活用してバリエーションを保護できる。
次に、権利内容から見た意匠出願の必要性について説明する。
特許の方が技術的思想を保護できる分、意匠よりも権利範囲が広いと言われているが、
- 特許をどの範囲で設定できるかは公知技術との相関関係で決まる
- 出願発明に近い公知例があった場合、権利範囲が狭められる危険性がある
- 無効審判で無効にされるリスクも高い
実際に、取鍋事件（東京地裁H19.3.23）の場合、複数の特許と意匠とを取得していたが、係争の際に複数の特許のうち半分以上は無効と判断された。残った特許と意匠（本意匠と関連意匠）で侵害が認められた。
次に、技術形態に意匠が有効な理由について説明する。
美感とは無縁の機能的形態であっても意匠登録は多数存在しており、意匠権が効果を発揮するのはこのような物品分野である。このような物品分野では、公知例が少ないため、広い権利取得が可能であったり、形態の選択の幅が狭く回避が困難であったりする。そして、技術的アイデアは同じでも、意匠は図面が公知でなければ拒絶にならない。特許の場合には、公知技術と比較して、技術的に新規性・進歩性が必要であり、文章のみでも引例になる。他方、意匠の場合には、新規性・創作非容易性の要件があるが、そのレベルは進歩性と比べ相当程度低く、図面がない限り引例とはならない。このように、意匠が有効な場合がある。
具体的には、アップルvsサムスンの例では米国で携帯情報端末のデザイン特許含む争いがあり、高額な損害賠償が認められた例もある。
技術形態に関する意匠の例としては、例えば、スポーツシャツ（部分意匠/機能型 意匠登録第1324102号）や、蓄電池（部分意匠／端子形状 意匠登録第1400709号ほか）、携帯情報端末（部分意匠／ディスクレーム型／外形 意匠登録第1522715号と部分意匠／クレーム型／外形 意匠登録第1518495号のハイブリッドで権利取得）、携帯情報端末用ハウジングプレート（部品 意匠登録第1410907号）、自動車用ボンネット（部品 意匠登録第1258469号）、自動車用リヤコンビネーションランプ（部品 意匠登録第1258609号）、枕（動的意匠／変化に特徴 意匠登録第1386449号）等がある。また、意匠に加えて、立体商標として登録することも有効である（例：警告灯用グローブ、警ら車・交通取締四輪車・その他の警察車両に用いられる散光式警光灯 意匠登録第956838号、商標登録5597459号）。このケースでは、意匠権満了に伴う他社の参入を防止すべく立体商標を取得した例である。
��意匠法改正（2019年改正）について
意匠法が改正されたが、主な改正点としては、画像デザインの保護、空間デザインの保護、関連意匠の改正等が挙げられる。意匠権の存続期間も延長され、２０年から２５年に権利期間が延びた。
- 画像デザインの保護
改正前では操作画像を含む物品としての登録例はあった（例えば、意匠登録第1619629号や、意匠登録第1615405号）。改正後は、機器の操作の用に供される画像や、機器がその機能を発揮した結果として表示される画像についても保護の対象となり、特定の物品に限定されない権利を取得できるようになった。
国内で初めて登録された”画像の意匠”は、車両情報表示用画像（意匠登録第1672383号）であり、他の登録例としては、オシロスコープ等の測定機器の情報を表示する画像（意匠登録第1678697号）や、給与計算状況管理用画像（意匠登録第1675524号）、列車混雑度表示アプリ用アイコン画像（意匠登録第1677062号）、情報表示用画像（意匠登録第1678350号）、建材部品の見積作成用画像（意匠登録第1677666号）等がある。また、アイコンを商標で登録した例もある。 - 空間デザインの保護
改正前は、組立家屋の意匠は認められていたが、改正後は、例えば、一品もの不動産である「建築物」も対象となる。
建築物の登録例としては、商業建築物（意匠登録第1671773号）や、駅舎（意匠登録第1671774号）、飲食店（意匠登録第1673492号）、マンション（意匠登録第1673701号、意匠登録第1673702号）等がある
また、内装デザインについても保護の対象となる。登録例としては、書店の内装（意匠登録第1671152号）や、回転寿司店の内装（意匠登録第1671153号）、マンション共用部の内装（意匠登録第1671961号）、職員室の内装（意匠登録第1673699号）、オフィスの執務室の内装（意匠登録第1673700号）等がある。 - 関連意匠
関連意匠の出願時期が変更され、旧法では、本意匠の公報発行日まで出願が可能だったものが、本意匠の出願日から10年まで関連意匠の出願が可能になった。
また、本意匠の関連意匠に加えてこの関連意匠の関連意匠の出願が可能になった。
さらに、改正法の施工日から１０年に満たない過去の出願についても遡って関連意匠の出願が可能になった。
関連意匠があることにより、権利解釈に影響を与えることがあるので、本意匠だけでなく関連意匠を取得しておくことが重要です。また、関連意匠の関連意匠の出願が可能となったことにより、例えば、縦横比を大きく変えるような意匠出願を行う場合には、本意匠の関連意匠として少しサイズの異なる出願を行い、この関連意匠の関連意匠としてさらにサイズの異なる出願を行う等のやり方がある。
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○アメリカ意匠特許
主な特徴は以下である、
- クレームは、１つの発明概念（a design inventive concept）しか認められない。
- 図面には陰影をつける
- IDS（Information Disclosure Statement；情報開示陳述書）が必要である。
- １出願で複数の実施例を包含することは可能である。
- 権利範囲は狭い可能性があるので、実施例が重要となる。
中国意匠制度の特徴としては、実体審査なし、類似意匠あり、部分意匠あり（2021年6月1日から）、簡単な説明が必要、新規性喪失の例外が狭い（ほぼ使えない）、等がある。
出願する際の注意点としては、一意匠一出願（31条）である。類似意匠は一出願で可能（同時出願のみ）であり、同一製品については計１０意匠まで（本意匠含む）１つの出願で可能である。また、明らかに非類似のときは分割求められるが、仮に、非類似で登録されても無効理由はない。同一種類でかつセットで販売使用する製品の二つ以上の意匠も１つの出願で可能である。
中国における意匠登録の必要性としては、模倣品対策や、冒認出願対策、税関対策等が考えられる。
以上
