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会務報告&部会報告
関東化学第二・商社部会（第3回）＜ＴｅａｍｓによるＷｅｂ開催＞
| 時 | 2021年3月4日 (木) 14:00 〜 16:15 |
|---|---|
| 所 | 日本知的財産協会 東京オフィス |
| 人 | 幹 事 若林業種担当役員、山口、川口、諏訪各正幹事 今泉、生塩、堀口、相澤各副幹事 協 力 ＪＩＰＡ 赤井様、博多様 JIPAでの参加者：若林業種担当役員、山口各正幹事、今泉、生塩、堀口、相澤各副幹事 当日の参加者は、計７０社、９０名、関東化学第一部会４名であった。 |
Ⅰ．議 事
若林業種担当役員による会務報告、味の素�蠱啾射佑砲茲觜岷蕕鮗損椶靴拭�Ⅱ．講演会
| 演題 | 味の素�蠅涼療�財産活動 |
|---|---|
| 講師 | 味の素株式会社 理事 知的財産部長 池村 治 氏 |
講演概要
１．味の素�蠅粒詰�２．知財の役割と味の素�蠅涼虜盍浜�
３．知財人財育成（味の素�蠅砲箸匹泙蕕此�
まず、前置きとして、環境の変化、それに伴う事業・経営の方向変化、そして知財部門に求められるものが変化してきている現状について説明があった。
１．味の素（株）の概要
環境変化に直面し、改めて創業の志であるＡＳＶ（Ajinomoto Group Shared Value）の浸透を図っている。これを通じて、「おいしく食べて健康づくり、食と健康の課題解決企業」を目指している。２．知財の役割と味の素�蠅涼虜盍浜�
「知財のスペシャリティで R&D と事業をつなぎ 、味の素グループの競争優位の確立・利益創出と ASV の価値創造ストーリーの実現に貢献する 」とのミッションのもと、業務に邁進している。知財戦略を、競争力の源泉の獲得・強化、攻めと守り、戦略機能の強化、グループ・ガバナンスに分けて定義。
２−１．競争力の源泉の獲得・強化
事業部門との組織の壁を崩す仕組みとして知財戦略検討会とIPPM制度を導入し、最終的には経営に提言を出来るようなレベルを目指している。加えてオープンイノベーションの推進、ブランド価値向上の取り組みを行っている。ブランド価値向上策として、東京スタジアムのネーミングライツ取得（味の素スタジアム）等は効果の高い方法であった。また、現地法人向けに商標侵害対策マニュアルを作成し、侵害行為への対応を実施している。
２−２．攻めと守り
技術の活用と権利行使、他社知財のクリアランス調査の徹底でリスクの極小化を行っている。
２−３．戦略機能の強化
調査・解析・コンサルティング機能を強化・活用し事業・ R&D に貢献することを目指している。
２−４．グループ・ガバナンス
知財スペシャリティを具備した 知財人財育成 と 社内外ネットワーク活用 により、味の素グループのグローバルな成長に貢献することを目指している。拠点を社内SNSで繋ぎ、発生した案 件の共有等を実施している。
３．知財人財育成（味の素�蠅砲箸匹泙蕕此�
知財人材育成の考え方として、１）実務で成長（社内ローテーションで会社を知る）知財一筋ではない（研究を経験、事業を経験）、２）互助：全員から学ぶ、過去から学ぶ、３）専門を磨く（特許・商標・契約・戦略・訴訟）、担当領域では「 Story を語れる知財担当者」 を目指す、４）基本的ビジネスリテラシー、５）個人と組織の共成長特許をあげて活動している。専門分野のみに偏らない施策と、専門分野への深い造詣（訴訟担当は、徒弟制度の継続）、ビジネスマンとしてのビジネスリテラシーの向上に努めている。
Ⅲ．質疑応答（チャットにより質問を受け付けた）
- IPPM制度での「事業部の知財担当者」というのは、どういう立場の方なのでしょうか？日常は別の仕事をしているが、知財の知識もある、という感じですか？
→ 普段は事業部の仕事に従事している部門の知財担当のような立場の人。主として企画所属の人が多い。 - ロゴを２文字としたのは、他社から商標侵害として訴えられないためでしょうか？また、２文字とすると商標権を取得できないと思いますが、問題とはならなかったのでしょうか？
→ デザインとして、商標取得したので２文字でも問題なかった。また、２文字を社内で推進したのはご指摘の通り他社からの権利行使リスクを考慮した。 - ネーミングやパッケージデザイン、ロゴなどの選定において、知財部はどの程度参画されていますか。候補が提示されたところでクリアランス調査を行うことと、商標・意匠出願を行うかどうかの検討以上にかかわっていらっしゃいますでしょうか。
→ 部門に知財担当の席をつくってもらう等の物理的施策で、ビジネスの早い段階で知財が入れるようになってきている。 - 商標侵害対策マニュアルは、各現地法人の活用し易さが重要と思います。内容を絞る、目的別に分冊にする、頁数を絞るなどの工夫があると思いますが、差支えのない範囲で工夫や内容をご教授頂ければ有難いです。
→ 初動や、事例を記載した内容になっている。現状、言語は日本語版と英語版のみ。１言語当たり10ページ程度の内容になっている。
（注：当日の質疑では5ページ程度との回答でしたが、講演後、講師より訂正されました） - 貴社は、全社的な残業時間削減が有名かと存じます。残業時間削減の中で工夫した点がありましたら、ご教示頂きたく存じます。
→ 残業時間については、会社の方針で定時に物理的（執務室の消灯等）に退社を促す施策がされたので、残業時間は自然と削減されたが、限られた時間の中で業務を遂行するために、ワークフローの簡略化や会議の削減等の業務見直しが自然発生的に起こった。
以上
関東化学第二・商社部会（第2回）＜配信内容収録＞
| 時 | 2020年11月5日 (木) 13:00 〜 17:00 |
|---|---|
| 所 | 日本知的財産協会 東京オフィス |
| 人 | 幹 事 若林業種担当役員、山口、川口、諏訪各正幹事 今泉、生塩、堀口、相澤各副幹事 協 力 ＪＩＰＡ 赤井様、博多様 収録時参加者：若林業種担当役員、山口、諏訪各正幹事、今泉、生塩、堀口、相澤各副幹事 動画配信期間中（11/12〜11/26）の動画視聴回数は、計７６回であった。 |
Ⅰ．議 事
会務報告、配信予定の講演の収録を実施した。Ⅱ．講演会
| 演題 | 新型コロナウイルスの下での知財紛争の最近の傾向と対策 |
|---|---|
| 講師 | 小林・弓削田法律事務所 弁護士・弁理士 小林 幸夫 氏 |
講演概要
新型コロナウイルスの下での知財紛争の最近の傾向と対策Ａ．知財訴訟（侵害訴訟と審決取消訴訟）の現在の審理の実態
テレビ会議による審理が実施されている。使用可能なソフトとしては、Microsoft Teamsのみ。マイク、スピーカーシステム、ウェブカメラ、更には現物を照らすための「書画カメラ」があると良い。先方のカメラの向きや音量等に不具合がある場合は、遠慮することなく裁判所側へ注文を付けることが大切である。（できればテレビ会議ではなく対面で実施したい。）Ｂ．知財訴訟の審理（従来のスピードと現在の遅れの程度）
審決取消訴訟の新受件数は激減している。これは査定系審判の成功率の高さが原因ではないかとの事。２０１９年実績で、特許は６８％、商標は６５％の登録率。故に迷ったら審判請求すべきではないか。発明の質の向上というより、審判部の評価が特許を認める方向に傾いているのでは？また、コロナ禍において知財訴訟の期日指定に遅れがあったが徐々に戻りつつある。Ｃ．令和元年の特許法改正（特に査証制度）と知財調停の運用例
ドイツの査察制度を参考に導入された。発令の要件の１つである必要性は、侵害の可能性では足りないが、確信性までは求められない。査証の申立てがされた後、査証人候補者の提示がある筈であるが、査証人については機密保持の観点から、その経歴を含めてよく確認する必要がある。また、立ち入りや書類提示等を正当な理由なく拒否することは、申立人の主張を真実であると認める行為となり、敗訴となる公算が極めて高い。公知化に関しては、特許庁への出願・公開の他に公開技法という制度もあり、費用削減に有効。知財調停制度は、令和元年10月から運用が開始された。訴訟と異なり、期日には２時間程度の時間を要する。双方の粘り強い交渉・歩み寄りが知財調停成立へのポイントである。
Ｄ．（マキサカルシトール事件を契機とした）最近の均等侵害論
マキサカルシトール事件を契機に、クリアランス調査時に均等侵害についても検討する必要が出てきた（均等侵害を認める方向）。均等論の第５要件について、明確に除外されたもの以外は、権利範囲内との解釈をされる可能性が高まった。従って、拒絶理由通知後の補正書や意見書をよく見ること、侵害か否かの判断を専門家に依頼する際は、均等侵害の有無をマキサカルシトール最高裁判決も考慮して判断してもらう必要がある。Ｅ．最後に（新型コロナウイルスと今後の知財訴訟の将来・ビジネスコートはどうなるか？）
現在、在霞が関の知財高裁は、知財高裁、東京地裁（知財部、商事部、破産再生部）と合わさって、ビジネスコートとして、中目黒に移転予定。その他・今回のご講演も小林先生のご厚意により、知財訴訟ＤＢの期間限定無料利用及び、各種プレゼントを頂戴した。プレゼントに関しては、第３回部会にて会員企業へ還元することを予定。
以上
関東化学第二・商社部会（第1回）
| 時 | 2020年8月20日 (木) 15:00 〜 17:00 |
|---|---|
| 所 | WEB開催（Microsoft Teams使用） |
| 人 | 幹 事 若林業種担当役員、山口、川口、諏訪各正幹事 今泉、生塩、堀口、相澤各副幹事 協 力 ＪＩＰＡ 赤井様、博多様 参加者 会員企業 47社 57名、関東電気機器部会 1名、関東化学第一部会 2名 （賛助会員の参加なし） |
Ⅰ．議 事
会務報告、講演後に3グループに分かれて意見交換を行った。Ⅱ．講演会
| 演題 | 経営戦略のための知財 |
|---|---|
| 講師 | 一般社団法人日本知的財産協会 専務理事 久慈 直登 氏 |
講演概要
１．経営戦略のための知財
企業戦略が先にあり、知財戦略はそれを実現するために使う 企業戦略は想定する状況下で、全社の人、予算の再配置、事業新設、強化、縮小、他社との連携を計画的に準備する施策。企業戦略のために知財戦略を効果的に使い、競争を有利にすすめることが大事。古典的な知財戦略（自社事業領域中心）から新しい知財戦略（周辺拡大領域やオープンイノベーションに対応）へ移行する必要がある。イノベーションの急な展開には、条約や各国法制度が追いつかない。国の法律だけでなく、企業間契約への対応が重要。
- 情報の継続分析
情報分析の例 IPランドスケープ
将来の自社のビジネスに役立たせるためには、特許だけでなく他の情報と組み合わせる必要がある。たとえば、各国市場動向、技術トレンド、 売上比較、業種別利益比較、市場からみた強み・弱み、それらへの対応、自社他社の連携先による支援状況、新しい芽、時間経過の読み、 などの情報への対応が知財活動の主役になる。 - 情報の利用
ダイナミックケイパビリティ戦略：デビット・ティース
新しい強みをゼロから作る必要はなく、変化を感知し今の強みを組み直し、新しい強みをつくればいい。新規事業の特許情報による分析が 価値をもつ。これをベースに貢献度の高い将来事業を検討する。 - 事業の特定及び集中
ブランドイメージとは、今どう見られているか、ブランドアイデンティティとは、どう見られたいのか。アイデンティティ を目標にして、そこを強化しなければならない。（ブランド優位の戦略：デビッド・アーカー）。
良い戦略はシンプル。状況から決定的要素を見て、狙いを絞り、そこに戦力を集中する（良い戦略・悪い戦略：リチャードハメル）。
新事業分野は未だ十分な情報を持たないため、特許情報の分析が価値を持つ。
例）自社のホットスポットを特定、その集中強化をするために知財を使う。他の領域は実施できればよく 、自社で権利を保つ必要はないと割り切る。
例）事業毎にユーザーの視線で自社のセールスポイントを特定し、そこに集中する。そのために、R＆Dの最上流で、知財対応をする。
例）他社で作れないものを作る、という方針により、研究開発を自社のコアコンピタンスに特定するが、コアコンピタンスの特定は知財に より行う。フィリップス - オープンイノベーション、他社との連携
全体のプレーヤーをみて、アップルパイ（価値）を作るときは協調し、切り分けるときには競争する（ゲーム理論で勝つ経営： アダム・ブランデンバーガー）。
例） 将来IT企業との競争にそなえ、USのIT企業と包括ライセンス契約をし、ソフトウェアの相互利用コンソーシアムに参加。 例） スタートアップ／ベンチャーに自社知財を譲渡・ライセンス・コンサルティングを行い、同時に往訪獲得をする。 例） 知財リスクを避けるため、2018年にOIN、LOTに参加する。目的は、オープンソースコミュニティで仲間はずれにされたくない。 例） 燃料電池の特許開放も、インフラ部分は無償開放するが、トヨタの性能を良くする部分は開放しない。 - 人材育成
弱いつながり、強いつながりより、簡単につくれて、幅広い領域の人たちとつながり、様々な新しい知識が得られる。 その先にも広がり情報を遠くまで届けられる（弱いつながりの強さ：マーク・グラノヴェター）。
例） 知財部門内、自社内、日本企業内に閉じるのは、強いつながりではあるが、ソーシャル・ネットワーク理論では限界があることになる。 例） 戦略系業務を急速に拡大、出願手続きではなくビジネス戦略の研修を受けさせる。 例） 統計学・経済学を先行してきたひとを採用し、情報分析の仕事を強化する。 例） 知財と事業部門のジョブローテーションを定例化。彼らを通じて、事業部の情報にアクセスしている。 例） 知財部員で、英語中国とビジネス対応が可能なオールラウンドプレーヤを育成。
２．オープンイノベーション
オープンイノベーション戦略とは、広い範囲の知的資産を考え、新しいビジネスモデル／ビジネスエコシステムの先取りをする。オープンイノベーション／連携の可能性を、知財情報を含む経済情報から把握し、ホットポイントでの競争に勝てるようにとオープンでの強調の線引を継続的に行いながら、自社利益確保に知財を集中的に使う創造性の本質は、物事を結びつけるのに過ぎない。AIは物事を結びつけるのが得意。既存知の組み合わせがイノベーションになることを、再認識しなければならない。日本企業は、自前主義を好む傾向にあり、このままだと、変化に対応できず、利益はジリ貧、雇用は減少する可能性もある。
そこで、新しいビジネスモデルをイメージし、企業間連携、業種間連携を探る。連携は、全社での意識改革が必要であるため、知財の人材育成は、それを可能にするスキルが必要。日本企業が連携するか否かで重視するのは基本的に知財マターである。ベンチャーとの連携にも日米間で違いがあるが、日本では、企業によるコーポレートベンチャーキャピタルが重要になる。（自社の周辺技術／ビジネス領域に積極的に投資する）
３．（参考）国家戦略のための知財
日本企業では規模拡大のための合併をせず、世界でのサイズは中規模。研究開発効率の話中国は大学が特許出願上位 日本は企業
たとえば、中国では出願上位は大学で、企業がばらばらにやらない。中国企業は大学が生み出した成果を使用料の範囲で、広く安く使える。
日本は、企業がばらばらに研究しており、互いが非協力的。全体としての利益が低くなる。
中国は国の管理の元、集中的にR＆Dを行い知財を取得する。国は、この当たりを考えたほうがよいのかも。むしろ、業界内でパテントプールなどをつくり、日本企業が世界でビジネスをしやすくする戦略が必要なのではないか。
Ⅲ．懇親会など
講演の後、3グループに分かれて意見交換を行った。講演内容やコロナ対応に関して各社の状況を共有した。講師の久慈氏にもご参加頂き、会員相互の親睦を深めた。以上
