会務報告&部会報告

関東電気機器部会(第5回)

2021年3月5日(金)
V-Cube 白金高輪スタジオ
出席者:講師:日立金属株式会社 冨澤 浩之 氏
参加会員(役員・幹事除く):44社、44名
中村役員、外村幹事、望月幹事、猶原幹事、高田幹事、市川幹事、前迫幹事、
湯原幹事、熊野

1.講演

演題 『知財部門内の教育手法−知財契約担当者の育成を中心に−』
講師 日立金属株式会社 知的財産部 主任技師  冨澤 浩之 氏

講演概要

(1)知財(技術)契約担当者とは
  • 出願(技術)担当との違いは下表の通り。
                                           (講演資料より引用)
  • 権利化したもの(素材)を事業収益に繋げるのが契約の役割である。
  • 知財契約業務も権利化業務も大目的が「情報資産の収益化」である点は共通。
(2)知財(技術)契約担当者育成の課題
  • 定常的/継続的な人員確保が困難である(会社の規模/業態により程度は異なる)。
  • 知財部門配属者の出自/バックグラウンドが多様である。
  • 対象業務の広範さ、曖昧さ…見かけの業務と本来要求(あるべき姿)との乖離
  • 成果の社内認知度。知財のプレゼンス。   ⇒育成手法を定型化することが難しい。
(3)知財契約担当者の目指すべき姿
  • 「独り立ち」が育成のゴール。以降は自己研鑽。
  • 「独り立ち」は業務の主担当ができるレベルをいい、 具体的には以下の能力を備えていることを指す。
     ◇自らリスク/課題を察知できる。
     ◇課題解決策を持っている。
     ◇未経験課題でも対応できる。
  • 人材育成効果の視点
    従来の育成内容は、専門性に関する知識習得、深耕が中心。
    しかし、育成効果判断基準として「事業収益を維持向上できたか」を用いるのであれば、 専門知識を深めるだけでは不足であり、むしろその知識/能力をどう使うかによりフォーカスすべき。
(4)育成プログラム
  • 社内研修
      ⇒所定内容で構成された座学、演習、ケーススタディ等。
      ◇自社向けなのでカスタマイズ性高い。成果の定着には工夫が必要。
  • 社外研修
    ⇒社外の団体(JIPA等)や法律事務所主催の研修/セミナー等
    ◇カスタマイズ不可。成果定着のための社内でのフォロー等を考慮したい。
      例えば、社外研修の内容を社内向けに報告させるのは良い取り組み。
      (しっかりと内容を理解していなければ話すことができないため。)
  • 業務マニュアル/フレームワーク/契約チェックリスト/契約雛形
    ⇒社内ノウハウの伝授には効果的である。内容だけではなく、背景の理解も重要。
      育成効果は本人の意識次第であり、動機付けが重要。
  • 知見活用システム(Knowledge System)…社内経験知のデータベース
    ⇒過去案件を一括かつ共通、検索可能なように管理する。
  • OJT   
    ⇒知財契約の業務内容にはNDAなどの定型的なものも一定量あり、 実務の経験により知識、能力の向上を
      図ることができる。
      具体的案件を指導者のフォローの下で処理させる。
    ◇経験する機会のない案件については対応できない。
      異なる視点(客観的視点)や異なる考え方を阻害する可能性
  • いずれの教育手法も長所・短所をそれぞれ有している。
    特に社内研修やOJTでは自社の考え方しか吸収できず、 一般的な考え方(世の中標準)とは大きく乖離している惧れがある。
    ⇒相手(世の中)の考え方、意識をくみ取る、物事を客観的に見て判断する力を向上させる努力が必要。
(5)当社の実例
  • 旧来の知財研修
    ◇発明者(技術者)
    ⇒特許制度の理解。
     情報管理、技術契約。
    ◇出願/権利化担当
    ⇒明細書の書き方。
     中間処理の工夫。
    ◇知財契約担当
    ⇒条文のリスク判断。   

    いずれも実務上の知識であり、重要ではあるがこれだけでは知財活用には繋がらない。
    如何に事業収益につなげるかという根本的な考え(ビジネス視点)が欠けていた。

  • 知財部門内研修の変革
    プロフェッショナル化を指向
    ⇒事業環境分析を導入し、事業収益に繋げることを考えさせる。
     議論の機会を多く設定し、各自の気付きに期待する。
(6)まとめ
  • 対象人員がさほど多くないために系統的な知財人材育成は難しい。
  • 放置すれば専門性(内向き)に進みがち。望ましくはビジネス志向。
  • 被育成者自身が自身の考えを主張し議論できる場の提供が望ましい。
  • 社内では、人材の新陳代謝の促進(異動)があらゆる業務に効果的?

質疑応答

  • 現状、貴社の知財部門内研修はすべて契約担当/出願担当の垣根なく行われているのでしょうか?各担当向けの研修も併存されているのか、その場合それぞれの割合はどのくらいか、可能な範囲でご教示願います。

    ⇒契約担当/出願担当で分けていない。講演内でのSWOT分析の例の通り、事業収益に寄与する業務に集中して取り組んでいる。

  • 契約担当者の業務が狭義範囲である場合、上手くモチベーションを高められる方法はありますか?出願/権利化担当と比べて、事案を他人事と考えているケースが多く・・・。

    ⇒契約の本数等の定量的な指標で評価を実施するのではなく、例えば事業収益への寄与を報告してもらう形で意識付けをするとよい。

  • いわゆる「専門バカ」は多数存在すると思いますが、マインドを変えたくない人をどう教育するのか?何か特効薬はありますか?

    ⇒難しいが、事業収益への寄与を意識させるアプローチを続けるべき。  例えば、人事評価の際に契約の締結数等ではなく「どんな提案をしたか」を聞いてみる等。

  • M&Aの際、知財DDをすると思いますが、契約担当はこれも担当することが多いですか?

    ⇒担当することはある。しかし、日ごろから知財の価値(=事業収益への寄与)を意識していないと、本当の意味での知財DDは実施できない。

  • 法務部門から知財部門、またはその逆の人事異動はありますか?そのような人材は、今回の人材(契約担当)とする場合が多いですか?

    ⇒当社知財にも法務からの異動者はいて契約を担当している。出願担当となった者はいない。

  • 契約担当と出願/権利化担当をローテーションする方が良いかしない方が良いか、いずれが良いとお考えですか?

    ⇒契約担当も出願担当も、両者が両方の業務を理解しておく必要がある。  
    1つの大きな案件があったときに、2〜3名配して一気通貫で出願から契約まで対応させるのが理想ではある。

  • 元々契約が得意な方に知財担当をさせるのと、元々知財や技術が得意な方に契約担当をさせるのと、どちらがより有効ですか?

    ⇒一般的にどちらが良いとは言えないが、技術部門の人が契約に関する能力を身に着けるのはそれほどハードルが高くない一方、逆のハードルは極めて高いと思われるため、後者の方が良いと言う方もいる。

  • 研修プログラムに1-2名を参加させるより多人数での方が効率は良いとのお話がありましたが、 元々少人数しか知財部におらず、マルチタスクを要求されることもある方向けの研修はどのようにしたらよいですか?

    ⇒多人数のメリットは、受講者同士で議論ができること。自分の意見を主張し、それに対する相手方の意見を聞くことも良い勉強。 少人数の知財部門では、JIPA委員会活動等に参加して、外部の方と議論することが大切。

  • 技術者向け教育はどのように行っていますか?

    ⇒技術者にはMOT的素養を身に着けてもらうための研修を行う。 研修内で技術者の意見をしっかり聞いて、 知財部門に対しては、「技術部門の考えはこうだ」という前提で、「知財はどのように対応するか」ということを考えてもらうための教育を行う。

  • (スタジオにて 動画配信中の様子)

  以上  

関東電気機器部会(第4回)

2020年12月10日(木)13:30 〜 16:30
アルカディア市ヶ谷
出席者:
講師:金沢工業大学大学院 虎ノ門大学院 教授 PhD 杉光 一成 氏
参加会員(役員・幹事除く):61社、73名
中村役員、熊野幹事、望月幹事、猶原幹事、高田幹事、外村幹事、市川幹事、前迫幹事、
湯原幹事

1.講演

演題 『マーケティング・ツールとしての知的財産〜IPランドスケープからSDGsそして
コーポレートガバナンス・コードの関係まで』
講師 金沢工業大学大学院 虎ノ門大学院 教授 PhD 杉光 一成 氏

講演概要

マーケティングと知的財産
  • マーケティングの分かりやすい定義「既存市場の維持と拡大及び新市場の創造」
  • 「差別化」というキーワードが重要である点がマーケティングと知的財産との共通点
  • 知的財産はマーケティングの有用なツールであり、マーケティング論の中でもっと取り扱うべき
  • 知財がビジネス戦略上どのような位置づけになるのかを明確にする
  • 全社戦略に基づく事業戦略があり、事業戦略に基づく機能別戦略がある
  • マーケティング戦略のうち「既存市場の維持と拡大」は機能別戦略であり、「新規市場の創造」は全社戦略
  • 戦略決定のフローは「現状分析」→「全社戦略」→「事業戦略」→「機能別戦略」
  • 各ステップで用いられる理論・ツールの作成に知財部門が協力すべき
  • マーケティングの全体は、マーケティングリサーチ、標的市場の選定(STP)、マーケティング・ミックス(4P)から構成されている
  • マーケティングリサーチでは、市場(顧客)調査だけではなく、環境分析も含めた現状分析を行う(PEST分析、3Cs分析等)
  • 環境分析ツールとして、最近ではIPランドスケープが注目を集めている
  • マーケティングはB2CだけではなくB2Bにも適用され、実際に取り組んでいる企業も多い
  • 標的市場の選定においては、市場の共通の特徴を備えたグループの分類(Segmentation)、分類したセグメントの評価(Targeting)、他社と競合せずに顧客ニーズを満たす場所や方法を見つけること(Positioning)を行う
  • 4Pを構成する製品戦略(Product)では、知財部門の中長期的視点が重要になる
  • 価格戦略(Price)においても、自社が特許権を保有していることで実質的に競合がいない状態を作ることができ、価格設定を優位に進めることができる
  • チャネル戦略(Place)では、例えば、AMAZONの1クリック特許、ドローン特許等により知財が関与できる事例もある
  • プロモーション戦略(Promotion)では、一見知財があまり関係しなそうだが、特許権があればそれをエビデンスとして「世界初」「唯一」等を言える可能性がある
SDGsと知的財産の関係性
  • SDGs=CSR(企業の社会的責任)ではない
  • 「直接的に売り上げに繋がらない」、「全社戦略の中での優先度は低い」、「特許とは相容れない」という印象は間違い
  • SDGsは、全社戦略(企業戦略)のうち、資金調達にも関連する
  • 世界のESG投資額の推移は年々増加傾向にあり、サステナブル・ファイナンスが拡大している
  • 投資だけでなく、ローンにも影響が出てくる
  • SDGsは、世論にも影響を与えている(PEST分析に影響する)
  • SDGsは、世界で統一された価値観であり、ポーターのCSV(creating shared value)共通価値の創造に近い
  • SDGsは公益的な話であって、特許は私益を守るものであるため一見対立するように見えるが、SDGsの目標達成にはイノベーションが不可欠である
  • SDGs政策の最大の課題は、各企業のSDGs活動の見える化
  • 発明とSDGsとの関連性を特許出願明細書に記載することで、取組状況が定量的に見え、IRに使われることで株価上昇、資金調達に利用可能となり全社戦略に貢献できる
  • GPIF(最大の機関投資家)は、特許の品質を評価してその評価を企業の革新的な能力の代替指標に使えると明言している
  • Japioが、ESG投資に活用してもらうことを目的として、AI技術を用いて全ての特許出願についてSDGsとの関連付けを行う取組をしているという報道があった
IPランドスケープについて
  • JPOの最新の定義は、「事業戦略又は全社戦略の立案に際し、事業・経営情報に知財情報を組み込んだ分析を実施し、その分析結果(現状の俯瞰・将来展望等)を事業責任者・経営者と共有すること」となっている
  • 経営者側から求められるケースも増えてきているため、従来の「分析結果を提言・提案」から「共有」へ変更している
  • IPランドスケープはマーケティングリサーチに使えると説明してきたが、MAアライアンスではキーパートナー・リソースを探す使い道もある
  • 従来の特許調査は「維持」が目的であるのに対し、IPランドスケープは「成長」が目的
  • 結論として、IPランドスケープは事業戦略から全社戦略にわたって様々な使い道がある
  • IPランドスケープのワンポイント
    • 経営者と知財の距離を縮めるツール→「共通言語」
    • 経営陣が見ないことには意味がない⇒お互いがシェアする
    • 提言自体が目的ではない。最終的には活用してもらうのが理想
    • 採用されたか否かは重要ではない。オプションが示せれば十分
    • 巷で拾える情報ばかりでなく社内(事業部)の情報も活用することが重要
    • 仮説を持ってからそれを検証する
    • 漏れの無い検索は必要ない
    • 意思決定は経営陣であり、あくまで可能性を示した参考資料
    • 外部コンサルタントをうまく活用する(社内を育ててくれることを前提とした活用)
    • プレゼンテーション能力が重要(一言で言うと何なのか、難しい言葉を使わない)
コーポレートガバナンスと知的財産の関係性
  • 過失の推定規定(特許法103条)は、実質的には法的な調査義務を規定するもの
  • 調査義務は「会社」に課せられており、怠った場合、取締役は賠償責任を負う可能性がある
  • 新規事業の意思決定の際にIPランドスケープをすることで事業が失敗しても取締役は賠償責任を逃れられる可能性が有る

3.グループディスカッション(会場1グループ、Web2グループ)

 「IPランドスケープ」の定義を前提に、その定義に当てはまるものとしては、特許以外に意匠や商標のデータを用いるものや、従来言われてきた、新規事業の提案、M&A(アライアンス)候補先の提案等以外にも様々なものが考えられるが、どの様なものが考えられるか」上記3チームで各々ファシリテータを決定し(チームによっては幹事が担当)、それぞれ活発な議論を交わした後、各チームから議論の内容が発表された。

※講演時間の都合上、質疑応答の実施は無し。

  以上  

関東電気機器部会(第1回)

2020年9月25日(金) 15:00〜17:00
(株)ブイキューブ内スタジオ(東京都港区白金1-17-3 NBFプラチナタワー16F)
講師:株式会社デンソー知的財産部長 山中 昭利 氏
参加会員(役員・幹事除く):49社、65名
中村役員、熊野幹事、望月幹事、猶原幹事、高田幹事、外村幹事、市川幹事、前迫幹事、湯原幹事

1.講演

演題 『CASE時代におけるデンソーの知的財産活動』
講師 株式会社デンソー知的財産部長  山中 昭利 氏(JIPA・常務理事)

講演概要

  • 上記ブイキューブ社内スタジオより、ライブ配信形式にてWebセミナーを開催。
  • 下記(1)の通り、デンソー社の目指す自動車社会の将来像をはじめ、CASE時代に向けての知財戦略、模倣品対策、知財部門の教育、技術部門に設置される特許専任者の役割等々の具体的な取り組みについて、講演が成された。
  • また下記(2)の通り、質疑応答が成された。

(1)講演アジェンダ、要旨

1.会社概要
  • 主な製品と売上構成:サーマルが最も売上高く、次点でパワートレイン、エレクトリフィケーション、モビリティエレクトロニクス(本講演の主テーマ)・・・となっている。
  • CASE(Connected, Autonomous, Shared & Service, Electric)によるモビリティ社会変化:自動車業界が大きな変革を迎えており、自動運転など将来的なモビリティ社会に備えた取り組みを行っている。
  • 開発拠点:海外開発拠点が増加している。海外の知恵を使って、ニーズを取得し、人材確保している。
2.今後の自動車に必要なテクノロジー
  • 近未来のクルマ社会像の一例(通信が途切れても可能な自動運転技術の開発、通信を使って情報やり取りする技術、地域限定の自動運転など)や、今後の自動車に必要なテクノロジー(電動化(充発電)、知能化(走行環境認識、車両運転制御)、情報化(HMI、情報通信)の各層における具体例)が紹介された。
  • 自社技術として、HMI、ジャイロ、センシング(LiDAR等)、電動化(大学との共同研究)、全個体電池、AI(量子コンピュータの活用)が紹介された。
  • パートナーとの連携について、自動運転では米国企業との連携(出資、共同開発)多い。
  • 車以外の製品事例:Massプラットフォーム事例(エッジコンピューティングや安全運転支援等)、他のプラットフォーム事例(中部電力との連携:車と家、エネルギー)。これまで知財部の関与は余り無く、契約業務がメインだったが、今は知財権利化活動に取り組んでいる。
3.知財活動体制
  • 知財活動体制:知財部(中途採用多い)と、事業部門(特許専任者を設置)の連携で知財活動を推進。社外の国内外代理人事務所の他、知財子会社(調査・分析等)との連携がある。
  • 特許専任者:リエゾン・評価ができるスキルを持っている。クリアランス調査に関するマネジメント、トリガを上げる役割。数年で交替する。
  • 知財推進活動の会議体:知財部の大方針に従って、各事業部門が戦略を立てる。
4.重要知財活動
  • 会社のVISIONの下に、知財VISIONを策定している。彗星プロジェクト(2005年:特許を活用して収入を得る活動)、銀河計画(2015年:知財戦略と事業戦略を一体化)、王道活動(バランスを取った知財マネジメント)、IP ECO-craftingプロジェクト(2025年:活用Enforcement、仲間作りCollaboration、外部調達Outside purchase)と変遷。
  • 特許情報の活用:事業活動の各フェーズで特許情報を活用している。常に競合をベンチマークし、知財活動に活かす。攻め所シートを作って、権利取り所や他社牽制のために権利を取るべき範囲に優先順位を付ける。
  • コンポーネント跨ぎのシステムについて、自社技術要素の掛け算で、競合に対するポートフォリオを構築している。
  • データ活用について、ライセンスの観点で知財部が関与している。
  • ビジネス検討に、知財部が入り込んでいる。知財、技術、営業・企画が連携し、IP価値/リスクを分析。
  • ビジネス・ライセンススキームの設計に、知財部が参画。知財観点で検討し、活動を決める。
  • クリアランスについて、ゲート管理による監視強化。開発前段階から、知財部が関わっていく。
5.国際標準化への対応
  • 車載通信・コネクテッド技術に関し、国際標準化へ向けたコンソーシアム活動(技術主導)やライセンス活動(知財主導)の概要、事例が紹介された。
6.模倣品対策
  • 中国が、依然として模倣品の生産拠点となっている。他国で発見された模倣品も、中国製造であることが多い。
  • 模倣手口が巧妙化し、商標では取り締まれないケース(もじり商標等の事例紹介)が増加している為、知財権ミックスによる保護対策を講じていく。
7.知財人材育成
  • 知財人材育成に関し、教育体系や具体事例が紹介された。
  • 例えば、新任課長研修にて過去の知財成功/失敗事例を紹介する、特許専任者向けに知財部員が講師となりレクチャー形式で勉強会を実施することや、グループ会社の知財強化の為の教育プログラムなど。
8.知財活動活性化施策
  • 知財活動を活性化させる為の施策事例が紹介された。
  • 例えば、社長賞の評価基準・項目に知財活動を組み込むこと、発明者以外へ権利化貢献度に対する報奨を支給し、適当な中間処理対応を防止することや、侵害発見者に対して報奨を支給することなど。

(2)質疑応答

 Q1:  知財部を通さずに特許専任者と特許事務所が直接やりとりする件があるとのことだが、その件はどのように選定しているか? また、出願後の中間処理等も全て特許事務所にお任せしているのか?
 A1:  知財部注力テーマ、それ以外でも重要とみなされるテーマについては、知財部が関与している。その他は、特許事務所に入ってもらうケースがある。
 Q2:  知財戦略や知財ポリシー等はグループ会社を含めて全社で共通か? 或いは、事業部単位で異なるのか? また、従来とは異なる分野の事業を新設/買収した場合には知財戦略や知財ポリシーは同じものを適用するのか?
 A2:  各グループ会社で同じ方針を持てるよう、指示している。その流れで、おのずと各社同様の方針になる。買収した企業については、先ずは押し付けず自由に活動させ、慣れて来たら方針を合せていくようにしている。
 Q3: 知的部員と、各技術部門の特許専任者との人数比はどの程度であるか?
 A3:  特許専任者は、知財部員の倍くらいの人数がいる(特許専任者2:知財部員1)。各技術部門で置く場合もあれば、部署間で共通に設置する場合もある。知財部から技術部門へは、最低1名の特許専任者を置くよう依頼し、技術部門内で調整している。知財部からリーダを送り、教育・OJT等も行っている。
 Q4: 特許専任者から知財部への転入はあるか?
 A4:  以前はあったが、最近は無い。特許専任者が交代した際に、実務スキルを短期に向上させる必要がある場合は、教育目的で、一定期間受け入れる場合はある。
 Q5:  売上に対する、模倣品対策を含むクリアランスコストの割合はどのくらいか? 対策可否の判断主体はどこか?
 A5:  模倣品対策のトリガは、中国など現地の被害である。実際の費用感を見てから、対策可否を決定している。知財部が専門知見を入れ、事業部門(事業部長)が最終判断する。

  以上  

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