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会務報告&部会報告
関西電気機器部会(第5回)
時 | 2020年1月24日(金)14:30〜16:30 |
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所 |
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人 | 役員:谷澤(古野電気) 幹事:浅津(NISSHA)、高田(タイガー魔法瓶)、柴原(タツタ電線) 講演会:37名(講師1名、役員・幹事含む) 懇親会:33名 |
議 事
1.講演
演題 | 『深圳_中国のシリコンバレーイノベーションの道』 |
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講師 | 隆天知識産権代理有限公司 陳 林 氏 |
1.1 講師ご経歴
1995年:中国の湖南大学(応用物理学部応用物理専攻)を卒業後に同大学の助教を歴任。2002年:神?大学の理学部(物理学専攻)修了、2005年に同大学の自然研究科(構造科学専攻)の博士課程修了。
2005年〜2006年:東京大学物性研究所極限物理研究室で博士学術研究員。
2012年:中国弁理士資格取得、日本の大手事務所、中国の大手事務所で活躍した後、2014年に隆天知識産権代理 有限公司に入所(日本オフィス代表)。光電技術、半導体技術、電気通信、材料工学等など多方面にわた る技術分野に精通し、特に画像処理、ディスプレイ、プリント技術、コンピュータ技術、ネットワーク技術、家電技術などの分野における知的財産権の取得等の業務に従事。中国及び日本で開催の知的財産国際会議に出席し、日本企業や中国企業向けの講演を数多く行うと共に、他者の講演の日中通訳も担当。
2006年〜2010年:神戸市外国人評議員。隆天知識産権代理有限公司パートナー、理学博士、中国弁理士、神戸大学留学生同窓会会長。
1.2 深圳の歴史
深センの「圳(セン)」は「たんぼ側の溝」という意味で、深センは「とても深い田んぼ側の溝」という意味になる。深センの歴史は浅く、1979年に深センが誕生し、1980年代に深セン蛇口工業区ができたがあまり発展は見られなかった。その後の「第2関線」と呼ばれる経済特区の制定により、発展が始まった。経済特区とそれ以外の地域は「関内」と「関外」と呼ばれ、経済特区(関内)に立ち入るには通過証が必要だった。しかし、2005年には通過証が廃止され、出入りが簡潔になった。2018年には経済特区の管理線が撤去された。
ビルの建設を早めるために1階/25日の計画だったものを建設者に賞金を与えることで1階/5日にした。これが「深セン速度」と呼ばれる所以である。1994年には、1階/2日半のスピードまでになった。
1.3 深センの現状
現在の深センは、北京市、上海市、広州市とともに中国本土の4大都市である。また、2019年の「フォーチュン」の 世界企業番付500社で、中国企業119社(米国企業121社)のうち、深センの企業が7社(HUAWEI、テンセント等) 入っている。深センの面積は東京都、大阪府とほぼ同じで、人口は東京都と同じくらい、GDPは大阪府と同じくらいである。 GDPは右肩上がりで上がっている。
(テンセント)
中国最大のインターネット総合サービス・プロバイダの一つであり、中国版のLINEと呼ばれる「WeChat(微信)」 が有名である。2018年末の従業員数は54,309名であり一年で約1万人増加した。
知財面では、ドメイン名や商標の紛争により痛い目にあってから知財活動が強化された。現在は副社長兼任の責任者のもと120名体制の法務知財部として組織されている。
2017年末時点での生存特許は約8000件、生存商標約6000件、著作権約900件である。
(DJI)
2006年創業。ドローンで一躍有名になり、世界シェア70%を占める。2015〜2017年は成長率60%を維持し、現在の従業員は、約1.1万人である。
知的財産部は2009年に設立され、現在は31名の体制である。テンセントのように痛い目にあっていないが、大きな会社の知財経験者を中途採用し、グローバル戦略を推進している。グローバル出願件数は8700件を超え、中国においてPCT出願件数の企業トップ10に入っている。
成長とともに係争が増えており、侵害訴訟(米国のパテントトロールなど)や従業員の営業秘密侵害で争っているが、あまり負けていない。
2019年4月に「深セン奇跡」という書籍が発刊され、世界の4000の経済特区の中で一番の成功の手本と絶賛されている。
深センの大学卒業生はそのまま定住するケースが多い。孔雀プランと呼ばれる人材、創業、住宅に対する金銭的補助がその一因である。また、気候が温暖で安定しているのも一因である。
深センの専利出願は約23万件、PCT出願は1.8万件(中国で一位)、そのうちHUAWEIのPCT出願は、世界の約2.1%、中国の約10%を占める。出願の増加は深セン市の補助金によるところもある。
1.4 深センの将来
2019年にグレーターベイエリア(大湾区計画)が決定され、2030年に人口約8000万人(現在約7000万人)、 約400兆円の経済規模、世界GDP5位になるべく、世界最大級の都市圏(サンフランシスコ、ニューヨーク、東京)に匹敵するようになることを目指している。1.5 質疑応答
Q1:深センから特許出願に対して補助金が支給されているとのことだが、発明者への還元はあるのか?A1:日本のような発明考案規程を制定して発明者に還元しているケースもあるが、強制ではない。発明者の還元のあるなしに関わらず、発明を出す意欲はある。
Q2:中国企業の知的財産部の業務内容は?
A2:特許事務所に丸投げする企業が多い。大手企業は日本企業の知的財産部と同様の業務をするような印象であり、特許事務所からの人材の引き抜きも多い。
Q3:将来、シリコンバレーのように(物価が上がり)、人が住めない地区にならないか?
A3:そうなるかはわからないが、若い都市であり、中国であって中国でないところがあり、事業を展開する拠点としてはよいと思う。個人的には北京より魅力はあると思う。
2.部会報告
谷澤役員から今年度の部会活動計画と、新役員、幹事の紹介があった。3.見学会および懇親会
スプリングバレーブルワリー京都にて、クラフトビール製造の様子を見学し、各ビールの原材料や製法等の説明を受けた後、懇親会を行った。講師の陳様にもご参加頂き、講演内容を元にした意見交換を行い会員相互の親睦を深めた。
以上
関西二業種合同部会
時 | 2019年11月27日(水)14:30〜18:40 |
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所 | 住友クラブ |
人 | 役員:内田(住友精密)、谷澤(古野電気) 幹事:西野(シマノ)、大岩根(ダイハツ工業)、大橋(大阪ガス)、柴原(タツタ電線)、高田(タイガー魔法瓶)、浅津(NISSHA) 講師1名、他50名 合計51名 (懇親会は合計40名) |
議 事
1.開会挨拶
谷澤役員が開会の挨拶をし、講師を紹介した。2.講演
演題 | 『イノベーション先進都市ベンガルールの近況と知財』 |
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講師 | Asia Wise Group Cross Border IP Expert 奥 啓徳 氏 |
講演概要
(1)講師経歴11年に及ぶ企業知財部の経験をベースに、7年に及ぶインド&シンガポール(ASEAN)における知財課題の解決を専門とする。松下電器産業(株)(現Panasonic)の 特許権利化部門、ライセンス部門を経て、2013年からインドを軸にASEAN各国を飛び回り、2018年1月にAsiaWise Group創業し、現在に至る。
(2)講演の内容
インド&ベンガルールの近況
インドは世界最大の民主主義国(人口12億5千万人、日本の約10倍で世界2位、2020年に中国を抜き世界1位か)、ヨーロッパ並みの国土(面積は欧州とほぼ同じ、 日本の約9倍)に多様な宗教(ヒンドゥー教80.5%、イスラム教13.4%、キリスト教2.3%)、言語(公用:ヒンディー語、準公用:英語、ほか700語)、人種を有する 「亜大陸」である。インドを理解するキーワードは、「多様性」である。インドのイメージは、「ターバン」・「カレー」・「数学」から、「スタートアップ(ユニコーン)」・ 「インド工科大学」・「ヨガ瞑想」に変化している。インド工科大学(IIT)は、100万人が受験し、1万人が合格(100倍、世界3大難関試験の1つ)する国立大学である。 年収200万円で上位所得者1%に入るインドにおいて、IIT卒業生は、初任給として約2600万円や4200万円のオファーを受けることもある。ベンガルールは、インド南部の都市で、インドのシリコンバレーと呼ばれ、IIT卒業生が憧れ集まる街である。44の大学、201のエンジニアリング単科大学、114の医療単科大学・機関、370の研究開発機関が集結し、スタートアップのインキュベーションセンターが数多くある。ベンガルールにはIT企業の集積が進み、インドが誇るIT企業のBIG3(TATA:売上2兆円・従業員41万円、Infosys:1.2兆円・20万人、WIPRO:1.2兆円・10万人)がある。数多くの外国企業が、ベンガルールにR&Dセンターを置いている。インドの軽井沢ともいわれ、夏でも エアコンがいらない、1年中快適な気候に恵まれている。インドには21社のユニコーン企業(評価額10億ドル以上の非上場ベンチャー企業)があり、そのうち9社がベンガルールを 拠点としている(BYJU’s、Ola Cabs、Swiggy、Mu Sigma、BigBasket、InMobi、Ola Electric、Quikr、Udaan)。ソフトバンクが複数のユニコーン企業に投資している。 多くのインドのユニコーン企業は急速に発展し、様々な分野で市場を占有し始めている。欧米ユニコーンの例としてAdobeのソフトウェア、Apple・Googleのアプリストア、 Amazonのオンライン小売がある。日本企業がベンガルールに行くべき理由
日本企業は、研究開発、安定した組織、特許ポットフォリオをもち、インドのユニコーン企業は、市場、英語でのビジネス展開力をもっていることから、Win-Winの関係が築ける。 インドは審判官が4人しかおらず審判制度が機能していない。リバースイノベーションを行いインドで特許をとってしまえばよい。知財部こそベンガルールに行くべき理由
ベンガルールに特許事務所が4つしかなく、スタートアップをみるインド特許事務所は少なく、知財業務の需要が高い。ベンガルールのスタートアップへのインナーサークルに入りこめるのは、 日本企業の技術や営業ではなく、技術が分かる知財パーソンであってほしい。そして、知財部が インドのスタートアップと協力して、新たなイノベーションを生んでほしい。3.部会報告
谷澤役員が関西電気器部会の活動状況を、内田役員が関西金属機械部会の活動状況をそれぞれ説明した。4.懇親会
住友クラブの別室に移動し開催された。講師の奥さまにもご参加いただき、講演内容をもとにした意見交換を行い、会員相互の親睦を深めた。以上
2019年度 関西三業種合同部会
時 | 10月25日(金)11:30〜10月26日(土)12:00 |
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所 | 部会・見学・懇親会:あいち航空ミュージアム・MRJミュージアム・名古屋クラウンホテル |
人 | 内田業種担当役員(主)、柴原幹事(主)、富岡幹事(主)、大岩根幹事(主)、谷澤役員、中村役員、浅津幹事、大橋幹事、尾辻幹事、高田幹事、西野幹事、二木幹事
他82名 講師・各役員幹事を含む 合計94名(68社) |
議 事
1.開会挨拶
内田役員が開会の挨拶をし、三菱重工株式会社の森達也様が三菱重工株式会社を紹介した。2.会務報告
久慈直登専務理事が2019年度10月理事会の報告を行い、Marion(Amy)DIETTERICH様がWIPO GREENについての紹介を行った。3.講演
演題 | 『第4次産業革命のインパクト 〜知財部はどう対応すべきか〜』 |
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講師 | パナソニック IPマネージメント 株式会社 代表取締役社長 足立 和泰 氏(JIPA副理事長) |
講演概要
- パナソニックの紹介
パナソニックは、ファミリーマートと共同して顔認証や物体認証を用いた自動運営ソリューションを産業革命として開発を進める。
これからは物を売って終わりではなく、暮らしのアップデートをする時代。例えば、テレビなどはアップグレード。 一方向(売り切り)であり、 家電を買っても翌年、新しいのが出て自分の買った家電が最新ではなくなる。旧製品を保有するお客様の満足度が低下する。すなわち、買ったときは一番価値が高く、どんどん価値が下がる。それでいいのか。
一方、スマートフォンやタブレット端末などがアップデート。スマートフォンなどは、双方向のやりとりにより、自分に合ったアプリを入れるので、 どんどん自分の中で価値が上がる。そういう家電が必要ではないか。これが第4次産業革命と関係してくる。 - パナソニックの知財活動の変遷
時代が物売りの時代ではない。自分たちと業種が違う企業とどう戦うのかが問題。どういう知財活動がいいのか今後変わっていく。知財戦略・事業戦略を積み上げていくことが大事。 - 第4次産業革命による事業構造の変化
変化としては2つ。1つめは、IOTを使うことで事業の形が変わってきた。2つめは、事業を作るための開発が変わってきた。
例えばエアコンを車の中からリモートで管理する場合、家から出た後、ある程度の距離が離れたときにエアコンのスイッチをオフにする。また、 運転の技術を数値化して数値によって保険料を上げ下げする、ということが考えられる。
医療分野におけるデジタルイノベーションとしては待ち時間の短縮や生活の質の向上などのサービスが期待されてきており、いろいろな業種が跨ってきた。
生活の質の向上としては、注射を打つ際病院に行かず、自分で打つようにする。打ってなければ病院からリマインダーが飛んでくるようにし、 注射を打てば病院にデータが行くようにして日々の管理をする。さらに、医療行為にならない範囲の健康チェックをする。
パナソニックの主な開発事例として「HomeX」がある。HomeXは、毎日がアップデートするくらしを実現する。例えば暮らしのアップデートとして料理のレシピや 旬の食材を用いたメニューを自動でダウンロード。付随して宅配サービスで材料が送られてくる。すなわち、いろんな企業と組まないと事業が作れない。しかし、組むのはいいが、どういう形で利益を上げるのかは考えなければならない。サービスを提供するのはいいけど、サービスを提供したらお客はお金を くれるのか。ビジネスモデルそのものを考える必要がある。 - 第4次産業革命による開発プロセスの変化
ハード製品を作る市場に対してのアプローチは、小型化や軽量化の開発技術が顧客価値となる価値の予測が可能。一方、サービスの市場に対してのアプローチは、 開発技術が顧客価値とならず、何が当たるかわからない。そのため、試してみるしかない。良ければ続け、だめならやめるしかない。
パナソニックの事業開発例として、事業のアイデアは2517件あったが、ものになったのは5件。全ての知財活動をきっちりかっちりやっていたのでは間に合わない。 - 求められる知財活動
知財として事業貢献できる範囲は拡大するが、その実現は大きなチャレンジとなる。
個々の事業ではなく陣営で競争へ貢献。陣営で得た利益はどのように分配していくのか。
知財はいいサービスと判断したら、それを特許として権利にすることも必要。知財としてどんな仕事があるのか。IPランドスケープのような調査・分析、 契約、戦略も重要な役割となる。IPランドスケープの結果を踏まえてビジネスモデルを描き、ビジネスモデルをアシストする知財の活用シナリオも同時に検討し、 事業契約を締結できればベスト。例えば、共創グループ内の特定の企業のみに利益が集中することは好ましくない。
知財が貢献する権利活用として、共創グループ外では、違う陣営の人たちに対してやめろというか、ライセンスするから同じ陣営になろうというか、として権利を使う。
共創グループ内では、権利があれば何もかも一緒というわけにはいかない。権利の取り方と使い方を考える。 - まとめ
- 知財が活躍できる場はたくさんある。
- 他社と組んでビジネスを立ち上げる。
- 顧客提供価値は、サービスが重要となる。
- パートナーと組んで競争力を上げる。そのツールとして知財は使える。そのために、調査・契約をする。スピードも重視する。
- 事業を作るプロセスの一員となるマインドセットが重要である。
4.部会報告
(電気機器部会)谷澤役員、(化学部会)中村役員、(金属機械部会)内田役員が今年度の部会活動計画を順次説明した。
5.見学
参加者を6班に分けて3班ずつ交互に、あいち航空ミュージアムとMRJミュージアムとを見学した。- あいち航空ミュージアム
1階では、名古屋空港で初飛行した国産旅客機YS−11をはじめ愛知県ゆかりの機体を展示した実機展示ゾーン、モーションシートと大画面 スクリーンでこの地域の空を自ら飛ぶ体験ができる遊覧飛行シミュレーションシアターのフライングボックスなどを見学・体感し、2階では、 日本の航空史に名を残した100種類の名機を、1/25スケールの精密模型で一堂に展示した名機百選などを見学した。 - MRJミュージアム
三菱重工グループの最先端テクノロジーを搭載した国産初のジェット旅客機 MITSUBISHI REGIONAL JET(MRJ)について、 組立工程や、実物を体感できるさまざまな展示物を見学した。
なお、2019年6月13日にMRJ(三菱リージョナルジェット)からMitsubishi Space Jet(三菱スペースジェット)に旅客機の名称が変更となった。
5.懇親会
見学の後、名古屋クラウンホテルで懇親会を開催した。講師の足立様を含む90名にご出席頂き、幅広く意見・情報交換を行い、会員相互の親睦を深めた。以上
2019年度 関東・関西合同電気機器部会(第2回)
時 | 2019年9月6日(金)〜7日(土) |
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所 |
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人 | 【関東電気機器部会】
業種担当役員 原田 正樹(ウシオ電気) 幹事 新井 亨(太陽誘電)、高田 真己(スミダコーポレーション)、猶原 康宏(伸和コントロールズ)、熊野 悟(ミツバ)、望月 大輔(DGホールディングス)、大原 香恵(ゼンリンデータコム)、 上田 英司(日本ライフライン)、水本 大介(日立製作所) 【関西電気機器部会】
業種担当役員 谷澤 靖久(古野電気) |
議 事
1.開会挨拶
原田役員が開会の挨拶をし、講演会の講師を紹介した。2.講演
演題 | 「マツダの知的財産活動」 |
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講師 | マツダ株式会社 R&D技術管理本部 知的財産部長 白髪 信一 氏 |
講演概要
- マツダとは
売上高3兆5千億円、従業員数、連結で4万9千人、単体で2万人、グローバルでの販売台数160万台でシェア2%、2020年で100周年となる。
営業、R&D、生産、管理などが同じ敷地に存在し、 一気通貫の体制となっているのが特徴である。ロータリーエンジンを量産した唯一の会社であり、オンリーワン技術を追求している。 マツダ車に乗ると人生が充実する、楽しくなる、そんな車づくりをマツダは目指している。 - 組織概要
約50名で特許を中心にグループを構成している。知的財産委員会を設置し、各部門からメンバーを招集し、年1回会議を開催している。
国内出願は年間約800〜1000件で、グローバル率は約35%である。 - 知的財産部の活動
マツダは、車両の機能・構造を一括で技術開発し、それを各車種に展開して量産開発を行っている。知的財産部は、一括の技術開発のときに、しっかりと活動するように心がけている。
特許事務所や特許庁の審査官に、発明や技術をしっかりと理解してもらうために、技術説明会を積極的に開催している。それらを通じて、特許事務所には、明細書の質の向上を、審査官には、審査の質の向上を期待している。
3.工場見学
マツダミュージアムを見学し、マツダ株式会社のあゆみと商品・技術を学んだ。マツダミュージアムは、主に、歴史、RE、技術などをコンセプトにした展示で構成され、途中で、工場の実際の組立てラインを見学できるようになっていた。歴史展示では、1920年の創業から今日に至るまでのマツダの歴史を、コスモスポーツなど、マツダを代表する懐かしのクルマとともに紹介されていた。RE展示では、マツダの誇るロータリーエンジンの特徴やしくみなど、 技術展示では、企画から生産までのクルマづくりのプロセスや、最新の技術が紹介されていた。工場の組立てラインは、多車種混流生産方式を取り入れられ、1つのラインで様々な種類のクルマが組み立てられていく様子を見学することができた。
4.懇親会
見学のあと、宿泊先のホテルに場所を移動し、懇親会を開催した。講師の白髪さまにもご参加いただき、講演内容をもとにした意見交換を行うとともに、会員相互の親睦を深めた。以 上
関西電気機器部会(第1回)
時 | 2019年6月14日(金)13:10〜19:00 |
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所 |
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人 | 役員:谷澤(古野電気) 幹事:柴原(タツタ電線)、高田(タイガー魔法瓶)、浅津(NISSHA) 講師1名、他34名 合計39名 (29社) |
議 事
1.開会挨拶
谷澤役員が開会の挨拶をし、新幹事を紹介した。2.講演
演題 | 『シリコンバレー アメリカの経済エンジンにおける知財の役割』 |
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講師 | Alleman HCT LLP パートナー弁護士 Mark Alleman 氏 |
- 講師経歴
オレゴン大学ロー・スクール卒業、京都工芸繊維大学大学に文部科学省国費研究生として在籍、スタンフォード大学工学部(プロダクト・デザイン)卒業。現在は米国ポートランドにあるAlleman HCT LLPのパートナー弁護士で、代理人として特許性や無効性の判断、プロセキューション、訴訟対応、ライセンス契約、商標事件など様々な知的財産業務を取り扱っている。重工業や食品関連の日本企業、 ネットワークやソフトウェア関連の米国企業など、国境をこえて多方面の業界の企業をクライアントに持っている。 - 講演の内容
シリコンバレーの企業やそこで生まれた技術に関し、過去、現在、未来に分けて説明があった。
シリコンバレーの技術革新サイクルは、採掘からはじまり、電信・鉄道、真空管、電気試験機器、マイクロ派通信、集積回路、パソコン、インターネット、スマートフォン・ ソーシャルネットワークと移り替わり、現在は、AI、そして、近い将来は、量子コンピューティングへと発展してくと予想する。
シリコンバレーの特徴的な要素として、人材、資本金がある。この地域には、スタンフォード大学があり、有名な大手企業も多くあることから、優秀な人材が集まっている。 企業は頻繁に閉鎖し、従業員の転職も多い。従業員は常に次の勤め先を探している。従業員の平均雇用期間は、 全米で4.2年、シリコンバレーは2.3年である。米国では、無職の期間が存在することはごく普通のことである。
資本金に関しては、ベンチャーキャピタルの半分がシリコンバレーとサンフランシスコの2地域で利用されている。ベンチャーキャピタリストは、銀行・ヘッジファンドではなく、 リスクを負ってでも投資をしたい人であり、業界・アイデア・人を探して、厳しくない条件のもと出資している。出資条件が緩すぎる場合、能力のない人でも市場に参加できる側面もある。
シリコンバレーは、政府の政策によって生まれた地域ではない。
シリコンバレーの出現と知財の関係は、真空管特許戦争から、半導体、HDDとSSD、スマートフォンの特許戦争と多くの紛争が生じた。スタートアップ企業は、特許出願に消極的で、 資金調達後に1〜5件の特許出願をする。外国出願はせず、その費用を他の米国出願に回している。知的財産の所有権を意識している。社員の出入りが激しいため、企業秘密の 盗難が問題となっている。大企業は、特許出願について、数より質に動き、クラウドサービス、スマートフォン、アプリ、ゲームの分野では、出願を減らし、エッジ・デバイス、 コネクティッドカー、AI、量子コンピュータGULs、5Gの分野では、出願を増やしている。外国出願については、EP、CNのみのパターンが人気で、JP、KRは少ない。
2019年IPOラッシュが起こっているところ、それらの会社の業績はよいとは言えず、Lyft、Eventbrite、Sonos、Uberは赤字である。
最後に、Techlash(technologyとbacklashの合成語 で「グーグル、アップル、アマゾン等の米国巨大IT企業に対する米国や世界の反発」を指すデジタル分野の新語)についての話があった。 - 最後に、講師から「日本が競争力を高めるために、シリコンバレーから何を学ぶことができるか。」とする設問が示され、参加者との討議がなされた。
3.部会報告
谷澤役員が今年度の部会活動計画を説明した。4.見学
太陽の塔を見学し、その構造と再生、万博当時の展示について学んだ。太陽の塔は、1970年に開催された大阪万博に際して建設され、約半世紀が経過している。 内部が公開されたのは2018年と最近である。高さは70m、基底部の直径は20m、腕の長さは25mで、風貌は世界を見渡しても似たものがない。作家本人が何も語っていないことから、いったい何を表しているのかわかっていない。 しかし、特徴的な3つの顔についてははっきりしていて、お腹についている「太陽の顔」は現在を、頂部の「黄金の顔」は未来を、背面の「黒い太陽」は過去を表している。
内部には、高さ41mにおよぶ巨大造形「生命の樹」がそびえたち、その天空に延びる1本の樹体に、単細胞生物からクロマニョン人まで、生物進化をたどる「いきもの」が下から上へ 進化するように配置されている。万博当時のものをそのまま残しているいきものもあった。当時のエスカレーターは階段に置き換えられ、頂部付近まで見学できるようになっていた。
5.懇親会
見学のあと、ホテルの講演会場向かいの部屋で懇親会を開催した。講師のアレマンさまにもご参加いだだき、講演内容をもとにした意見交換を行い、会員相互の親睦を深めた。以上