- トップ
- 協会活動
- 会務報告＆部会報告
- 2019年度業種別部会
- 関東金属機械部会
会務報告&部会報告
関東金属機械部会（第5回）
| 時 | 2020年2月21日（金）14:30〜17:20 |
|---|---|
| 所 | ＪＦＥスチール(株) 30階大会議室 （東京都千代田区） |
| 人 | 岩崎業種担当役員 阿部・石橋・宮崎各幹事 新井・片岡・吉田各副幹事 聴講者 計 ４５社・７４名 |
議 事
1. 部会報告
宮崎幹事から部会当日のスケジュール、案内とお願い。岩崎業種担当役員から、関東金属機械部会会員情報、部会出席者推移、2019年度年間行動計画、第1〜4回の部会概要、部会活動方針、2020年度幹事会、2020年度年間行動計画についての報告があった。2. 講演
| 演題 | 「知財紛争における証拠収集」 |
|---|---|
| 講師 | アンダーソン・毛利・友常 法律事務所 弁護士 城山 康文 氏 |
講演概要
Ⅰ.自力での証拠収集
- 被疑侵害品の入手の第一歩は、小売店／ネット通販での購入となるが、領収書や送り状等の保存を行い、証拠力を高める必要がある。
- 被疑侵害者またはその代理店から購入する場合、入手目的を問われることもあるが、積極的に目的を明かす必要は無い。
- 顧客から入手するときなど、迷惑を掛けないよう証拠化を図るかが問題。（受領目的を工夫する等）
- 実験や分析をする場合、第三者機関に依頼するのが好ましいが、自社での実験報告書が証拠能力を否定される ことは無い。しかし、証明力には影響するため注意が必要。
- 実験報告書の信用性を高めるために、いわば裁判官の代替として、公証人を立て事実実験公正証書を作成し利用する方法もある。
- 専門家からみた当時の技術常識に合わせ、専門家意見書を提出できるなら実施したい。意見書作成者が尋問を受けるようなことは通常は無い。
- 公然実施・先使用の立証では過去の事実を立証しなければならず、1つの証拠では立証することは困難である。 分析結果や当時の関係書類のみならず、陳述書や証言などもある程度立証に利用することができる。
- 商標の識別力や周知著名性の立証に関しては、広告、宣伝、マスコミ記事などは、証拠として有用であるが、量が勝負になる。また、アンケート結果も証拠と成り得るが、質問の作成には注意する必要がある。
Ⅱ. 弁護士会の利用
- 代理人弁護士による所属弁護士会への申請に基づき、審査を経たうえ弁護士会から照会先に対し、照会状を送付することができる。
- 照会先は、弁護士会への法律上の回答義務を抽象的に負うが、回答しないことについての罰則、不利益は無い。 それでも意外と回答が得られる。
Ⅲ. 裁判所の利用
- 自己の主張・立証のため必要な証拠については自力で集めるのが大原則となっているものの、相手側保有証拠の収集のための制度は充実してきている。
- 特許侵害訴訟の管轄は、東京地裁か大阪地裁となるが、証拠保全は全国の地裁、簡裁で申し立てすることができ、証拠保全の決定に際しては、侵害の合理的疑いや証拠の廃棄の恐れなどで判断される。
- 証拠保全決定書は執行官により相手方に1時間前には送達され、裁判官により証拠の任意提示を求める説得が される。
- 民事訴訟法、特許法、それぞれに基づく文書提出命令がある。いずれも、証拠調べの「必要性」を裁判所が認める必要性があり、「必要性」のハードルは実務上高くなっている。特許法の書類提出命令制度は、侵害訴訟における侵害立証、損害額立証に利用されるが、濫用を防ぐため、侵害の合理的な疑いが無いと必要性が認められない。
- 当事者の申し立てにより裁判所から秘密保持の発令を受けた者は、取り消しの申し立てができる。 申し立てせず、秘密保持命令を守らないと刑事罰の対象となる。但し、起訴された事例は無い。
- 被告工場等での検証は、一発勝負となるので両当事者ともハイリスクとなるため、実務上は滅多にない。
- 令和２年秋に査証が施行される。当事者の申立てにより、相手側の意見も聴いた上、査証を命ずる。査証は、具体的に特定した内容で行われ、正当理由なく査証を拒む場合、真実擬制の効果がある。要件が厳しく、ハードルは相当高い。
- 裁判所から第三者に対して、調査・文書送付嘱託を行う事があるが、購入者の実際の用途などの立証に使われる。
- 特許侵害訴訟では鑑定の利用は少ないが、適切な鑑定人や鑑定事項を設定することが重要となり、鑑定結果の 影響は大きい。
- 裁判所は当事者の申立てがあれば、計算鑑定人として公認会計士を任命することが多く、当事者は当該鑑定に 必要な事項に関して計算鑑定人に対する説明義務を負う。
Ⅳ. 外国の手続きとその利用
- 権利行使を行う候補国が多国となる場合があるが、特許権は各国法に基づくため、どの国で権利行使をするのか検討事項となる。
- 権利行使は各国の民事訴訟制度によるためそれぞれ特色を持っており、日本も参考としたドイツの制度では、いわゆるダブルトラックにより、侵害訴訟裁判所では特許の有効性は有るとの扱いで判断されるため、原告に有利となっている。
4. 質疑応答
聴講者の関心の高さを反映するかのように、多くの質問があった。- 裁判所に提出された査証報告書が事実と異なった場合、修正などの対応が可能か？
- 先使用の立証をするために議事録や図面などの抑えておくべきポイントは？
5. その他
今回の開催においては新型コロナウイルスに関連し、ご来場の皆様の健康と安全を考慮した関係で、懇親会は中止とした。また、会員の皆様には、予めご理解及びご協力を頂き、有意義な開催とすることができたと考える。以上
関東金属機械部会（第4回）
| 時 | 2019年11月29日（金）13:30〜17:00 |
|---|---|
| 所 | 本田技研工業(株) Honda青山ビル ２階会議室（東京都港区） |
| 人 | 岩崎業種担当役員 阿部・石橋・宮崎各幹事 新井・片岡・吉田各副幹事 聴講者 計 ７６社・１０４名 |
議 事
1. 部会報告
阿部幹事から、部会当日のスケジュール、案内とお願い、関東金属機械部会会員情報、部会出席者推移、2019年度年間行動計画についての報告があった。2. 講演
| 演題 | 「IoT時代の新たな知財戦略」 |
|---|---|
| 講師 | デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社 シニアアドバイザー 小林 誠 氏 ヴァイスプレジデント 峰 岳広 氏 |
講演概要
1. IPランドスケープ
- 「知財」＝「知財権」ではなく、法務、会計、税務、経営の視点から「知的資産」として広く捉えるべき。そして、「知的資産」とは、人材、技術、組織力、顧客とのネットワーク等の目に見えない資産のことで、企業競争力の源泉となるもの。
- コモディティ化が進んだ時代において、競争優位を構築するためには、IPランドスケープを活用した戦略構築が重要。
- IPランドスケープとは、経営戦略・事業戦略を成功に導き、企業価値を向上させることを目的として、知財情報のみならず、PEST（政治的、経済的、社会文化的、 技術的）＋EL（自然環境的、法律的）動向も踏まえて市場環境分析を統合的・多角的に実施し、マーケティング視点でのインサイトを得て、市場環境変化を見据えた 将来見通しを示し、想定される自社・他社のポジションの仮説を構築した上で、経営の意思決定ができるレベルで、事業戦略に具体的な知財戦略を組み込んでいくこと。
2. 事例紹介
- IoT先行プレーヤーの戦略や、半導体メーカーの再編状況や、アプリ領域、IoTプラットフォーム、通信・ネットワークの分野の動向などから、スピードの速いIoT業界で勝つためには、自社のビジネスモデルに応じた技術構成を検討したうえで、R&Dやアライアンスを進めることが重要である。
- IoT時代到来で企業を取り巻く環境は大きく変化し、伝統的な差別化のための知財戦略だけでなく、エコシステムを考慮したより複雑な知財戦略の構築が求められる。
- 企業の事業課題としては、グローバル競争への対応、プラットフォーマーが構築するエコシステムの検討、アライアンスの検討、異業種からの参入への対応などがある。
- エコシステム構築方法により知財リスクと必要特許数が異なり、事業のOPEN/CLOSE戦略を考慮した知財戦略を策定する必要がある。
- CASE先行プレーヤーのB社の取り組みについて、製品の納入、R&D、設備・人材への投資、買収・アライアンス、特許出願の分析結果などから注力領域を特定。 またB社の高度自動運転技術として、事業分析（自前、調達、協調）や出願動向などから、標準化と収益化のビジネスモデルを予測。さらに、B社のコネクティッド技術においては、経営陣の注目コメント分析、出願動向、アライアンス分析などから、収益化のビジネスモデルを予測した。
- 中国のIT業界をけん引するT社について、国家政策と企業動向を比較して関連性を分析し、事業戦略、研究開発動向、買収・アライアンス領域、売上高推移、研究開発費比率、特許出願動向などから注力分野を分析した。
3. 経営デザインシート
小林先生が内閣府知的財産戦略本部のタスクフォースメンバーとして策定された「経営デザインシート」を用いて、ワークショップを実施し、参加者各自でシートへの記入を行った。4. 質疑応答
IPランドスケープは特許出願をあまりしていないベンチャーにも有効なのか、知財を経営層へアピールするにはどのような方法が有効なのか等についての質問があった。 それぞれの質問に対し小林先生、峰先生による丁寧なご回答があった。5. 懇親会
講演会後、引き続き小林先生と峰先生にもご参加頂き、懇親会を行った。懇親会には、本田技研工業株式会社の別所部長にもご参加頂いた。また、本田技研工業株式会社の竹野様には懇親会でも多大なるサポートを頂き、親睦・交流をより深めることができ、大変有意義な懇親会になったと考える。以上
関東金属機械部会（第3回）
| 時 | 2019年10月25日（金）〜10月26日（土） |
|---|---|
| 所 | (株)小松製作所 粟津工場 |
| 人 | 岩崎業種担当役員、阿部・石橋・宮崎各幹事、新井・片岡・吉田各副幹事 聴講者 計 22社・26名 |
議 事
1. 部会報告
石橋幹事から、関東金属機械部会会員情報、部会出席者推移、2019年度年間行動計画の報告があった。2. 講演
| 演題 | 「コマツの成長戦略と知財活動の取り組み」 |
|---|---|
| 講師 | (株)小松製作所 CTO室 知的財産部 部長 山口 博明 氏（JIPA常務理事） |
講演概要
Ⅰ. ビジネスの概要
- 建設・鉱山機械ビジネスと自動車ビジネスの規模を比較すると、台数規模では建設・鉱山機械／自動車は
1／300、金額規模では1／14となっている。 製造する建設機械は、都市・近郊においては土地造成、道路造成、河川整備、砕石などに使用される建設機械、熱帯や極寒地・極地などの過酷な状況で 使用される建設鉱山機械、地下で使用される建設鉱山機械など多岐にわたる。
Ⅱ. コマツの成長戦略
- コマツでは、イノベーションとは、お客様の新しい価値を創造することであり、それはお客様の仕事のやり方を変えることと定義している。 イノベーションを起こすために、ダントツ商品（Phase1：機械本体の商品力向上）、ダントツサービス（Phase2：機械の見える化）、ダントツ ソリューション（Phase3：施工の見える化）と事業を展開している。
- ダントツ商品とは、�＾汰粥�環境/経済性、ICTの中の1つ又は2つの特徴が他社を凌駕、他社が4~5年は追いつけないこと、��販売価upが可能で、 コスト競争力が高く、利益に貢献する の�´�2つを兼ね備えた商品をいう。例えば作業視界性を40％改善したブルドーザなどである。
- ダントツサービスの例として、KOMTRAXがある。これは、建設・鉱山機械毎の位置情報や使用状況の情報を、インターネットでコマツのサーバーに 集約することで、車両がどこで稼働しているか、どのくらい稼働しているかなど、現場に行かなくても判るようになり、機械の見える化（遠隔監視）が可能となるものである。
- ダントツソリューションの例として、海外の世界最大級の銅鉱山における無人トラックの導入では、オペレータ工賃などの削減により運用コストの 低減が可能である（無人ダンプトラック運行システム:AHS）。また、労働力不足への対応として、3次元の図面通りに作業を自動制御する「情報化施工 （ICT）建設機械」を開発して、市場導入した（スマートコンストラクション）。
Ⅲ. 知財活動の取組み
- コマツのCTO室知的財産部は、コマツグループの知的財産活動のコントロールセンタとして、事業に貢献する知的財産活動を展開することを目指し、知的財産問題の解決とリスク回避及びブランドや商品（開発成果）の効果的なガードを基本ミッションとしている。
- 知的財産部は、工場3グループ（北関東グループ、関西北陸グループ、湘南グループ）と本社から構成されている。工場各グループのマザー工場 （開発センタ）に知的財産部員が駐在し、開発に連動した他社権利に対する侵害回避と知的財産の権利化業務を、本社は、商標（模倣品対応）、係争業務への対応などを担っている。
- イノベーションの変革と知財の役割において、従来の発明起点のサイクルからビジネスモデル（市場認識）に基づいた市場起点のサイクルへの対応が必要になる。コマツの知財活動においては、AHSやスマートコンストラクションという市場起点サイクルのビジネスにおいて、契約業務が増えている。
4. 質疑応答
- 特許出願で、国内と外国で出願の仕方に相違はあるのか、海外で創出された発明はどのように扱っているのかとの質問があった。講演会終了の 時刻が迫っていたため、その他の質問は、懇親会の場で山口様に質問しご回答いただくことになった。
5. 粟津工場見学（１日目）
- 工場見学前に、コマツの会社概要およびコマツ粟津工場の概要を、粟津工場総務部長村上様よりご説明いただいた。その後、ホイール製品 およびクローラー製品を製造している粟津工場組立第1工場に移動し、製造現場を見学した。組立第1工場は、省エネ・創エネを取入れ、また将来の レイアウト変更に柔軟に対応できるようになっており、働きやすさを追求した工場であることが理解できた。
6. 宿泊懇親会
講演会後、小松市内の宿に移動して懇親会を開催。講師（山口様）にもご参加いただき、会員間の親睦を深めることができた。7. 日本自動車博物館見学（２日目）
- 総台数500台の自動車・自動二輪車を展示する日本自動車博物館を見学した。日本の自動車会社の歩みを一堂に見渡せる博物館は壮観で、時代の流れとともに変遷する自動車を見学することで、先人の工夫と未来の自動車に思いをはせる良い機会となった。
以上
関東金属機械部会（第2回）
| 時 | 2019年8月30日（金）13:00〜17:20 |
|---|---|
| 所 | キリンビール（株） 横浜工場（横浜市鶴見区生麦） |
| 人 | 岩崎業種担当役員 阿部・石橋・宮崎各幹事 新井・片岡・吉田各副幹事 聴講者 99名（74社） |
議 事
1. 部会報告
宮崎幹事から、部会当日のスケジュール、関東金属機械部会会員情報、部会出席者推移、2019年度年間行動計画についての報告があった。2. 講演
| 演題 | 「中国知財侵害対策に関する最新実務・各種事例紹介」 |
|---|---|
| 講師 | IP FORWARDグループ総代表 IP FORWARD法律特許事務所 代表弁護士・弁理士 分部 悠介 氏 IP FORWARD法律特許事務所 日本国弁護士 本橋 たえ子 氏 |
講演概要
IP FORWARDグループの紹介- 2009年に渡中し、中国・日本・東南アジアにおける各拠点において商標・登録特許・模倣対策、中国・日本法務、中国市場調査、進出支援全般のサービスを展開し、ワンストップでサポートする「IP FORWARD」グループを創設。
- 1 知財侵害被害の概況
- 模倣品例として、自動車部品、食品、衣類、化学製品、電気製品、健康器具、衛生用品、化粧品など具体的な製品事例について紹介。
- 知財侵害の傾向として、単純なモノマネ(劣悪品質)から、技術を模倣するパターンに変化しており、模倣態様が複雑・高度化している。
- 近年に見られる模倣業者の特徴として「小ロット化、オーダーメイド化」が進んでおり、出荷量は変わらないが在庫保有が無いため、摘発などしにくい状況になっている。
- 2 各種最新統計、法改正等最新動向
- 中国専利出願、商標出願、著作権登録件数は、近年の中国文化産業の発展により件数が増加。
- 2019年商標法の改正(11月施行予定)では、悪意のある出願事実を禁止し、また法廷賠償金額の上限を従来の300万元から500万元に引き上げられるなど強化されている。
- 1 権利登録の重要性
- 第三者が先に権利を取ると(冒認出願)、自分が「ニセモノ」になってしまうため、自社のビジネスを守るためにはとにかく早い権利登録が必要、また商標出願では公告から登録までの流れも早いため、監視をしていくことも重要になっている。
- 2 対策前の調査
- 模倣業者の実態や模倣品の流通状態、そして何の権利を侵害しているのか、これらを把握しないと効果的な対策は取れない。従って、調査を通じて事前に把握する必要がある。
- 一般的な調査方法として模倣業者との取引を装い、商談や見学など情報をヒヤリングし、現場の写真や模倣品サンプルの入手など冒認、不正宣伝等の違法行為を調査する。
- 3 行政・刑事摘発
- 行政機関のみで完結する行政摘発と刑事裁判を経て処罰される刑事摘発がある。行政摘発は短期間で処罰が下り比較的処罰が軽く、刑事摘発は刑事裁判実施のため長期間を要し処罰は重い、といった特徴がある。
- 行政摘発(商標権侵害、著作権侵害、不正競争関連)や模倣品業者に対する刑事摘発など、直近の摘発事例を具体的に紹介。
- 4 インターネット対策
- 権利侵害サイトに対して調査⇒削除を繰り返し、模倣品販売リンクを常に一定数量以下に抑えることを目指すのが基本方針となる。
- 根元から模倣行為を断つため、製造・販売拠点を突き止め摘発を行うなどのオンラインtoオフライン対策(O2O対策)も有効である。
- 5 民事訴訟
- 訴訟手続きについて、中国では裁判官のレベルにばらつきがあり、活発な口頭弁論とともに証拠の要求が厳格。また、裁判所によっては、地方保護主義の弊害もあり、北京、上海等の大都市圏の裁判所が望ましい。
- 1 中国における特許権の行使
- 権利行使には、行政法執行申立による行政ルートと、民事訴訟提起による司法ルートがある。行政法執行では、必ずしも、担当役人が専門家でなく、適切に判断されないおそれがあるため、複雑な案件については、裁判所が審理する司法ルートの方が良い。
- 2 行政法執行の対応事例
- 模倣品など侵害が確認されたら実地調査とともに証拠化を図り、行政法執行申立てを行う。処分が決定すると侵害行為について決定書が公開されるため、経験上、半分位の割合で申立て直後に相手方から和解の申立がされる。 相手側からの和解申し入れの場合、交渉を有利に進められる可能性が高いことから和解を検討するのも一案である。
- 方法特許権侵害の立証方法として、公証撮影や証拠保全申立てを検討する。申立てが認められると裁判官が必要証拠を集める。強制処分ではないので証拠収集できない場合もあるが、立証責任が一部転換され、被告に不利な判断がされる事が多い。
- 3 特許訴訟において日本企業が注意すべき事項
- 中国では訴訟上、無効の抗弁は認められていない。また、提訴後に被告から無効審判が請求されることが非常に多く、無効審決が出されると実務上は侵害訴訟がほぼ却下される。従って、無効審判を見据えたクレームドラフティングが必要。
- 4 中国におけるオープン・クローズ戦略の視点
- 特許権による保護か、営業秘密として保護するのか検討する際、製造技術について証拠収集することの難易度、営業秘密として保護することの困難性を考慮する。営業秘密として保護する場合、冒認出願に備えて先使用権証拠を準備しておくと良い。
3. 質疑応答
工場見学の関係で短い時間の質疑となったが、以下の質問があった。- 製品を入れた化粧箱の会社ロゴのところのみ、近い名前の会社ロゴを付している模倣業者を、化粧箱の立体商標を取得していれば侵害していると訴えることはできるか？ また、登録商標と異なる色の化粧箱は、権利行使可能か？
- 権利侵害サイトに対し削除を繰返すが、効果を期待し効率良く行うにはどうすれば良いか？
- 日本企業が被告となることはないのか？
4. 懇親会
講演会後、引き続き、分部先生、本橋先生にもご参加頂き、キリンビール�衢佑旅�場見学、および懇親会を行った。懇親会では親睦・交流をより深めることができ、有意義な懇親会になったと考える。以上
関東金属機械部会（第1回）
| 時 | 2019年6月21日（金）13:30〜17:00 |
|---|---|
| 所 | いすゞ自動車株式会社 いすゞプラザ （神奈川県藤沢市） |
| 人 | 岩崎業種担当役員 阿部・石橋・宮崎各幹事 新井・片岡・吉田各副幹事 聴講者 計 ８５社・１０９名 |
議 事
1. 部会報告
阿部幹事から、部会当日のスケジュール、案内とお願い。岩崎業種担当役員から、関東金属機械部会会員情報、2018年度 年間行動実績、部会出席者推移、部会アンケート集計、 2019年度 部会活動方針、年間行動計画、幹事会についての報告があった。2. 講演
| 演題 | 「いすゞ自動車の知的財産活動について」 |
|---|---|
| 講師 | いすゞ自動車株式会社 ＩＰマネジメント部長 佐野 雅幸 氏 |
講演概要
Ⅰ．いすゞ自動車のご紹介- 企業理念「「運ぶ」を支え、信頼されるパートナーとして、豊かな暮らし創りに貢献します。」1916年に創業されて、1949年に商号を「いすゞ自動車株式会社」に変更。
- 国内小型トラックシェア１位。普通トラック２位（2017年実績）。世界百数十カ国で販売。
- 日本のトラックメーカー４社のうち、現在唯一の独立系。他のメーカーは親会社のサポートがあるため知財上の競合他社の設定が難しく、独自の知財体制が必要。提携先も多岐にわたるため、 契約整理の重要性が高い。
- 既存事業の継続的発展と、新規事業の創出について、知財での貢献を検討。新規事業をサポートするための新たな役割を模索中。
Ⅱ．知財戦略部門について
- 知財が別機能である点を法務部門に合意をとり、社内外で知財の独立性をアピールする、などの働きかけにより、本年4月より独立してＩＰマネジメント部として企画・財務部門下に設立された。
- 業務範囲を、知的財産権からブランドやノウハウを含んだ知的資産まで含めて、業務の取捨選択を実施した。ビジネスへの提言やビジネスサポートに内部リソースをシフトした。
Ⅲ．知的財産活動について
- 2011年から3年ごとに中計を立てて、知財先進企業に対する30年ほどの遅れを、10年で挽回しようとしている。最初の中計では、開発部門との連携強化や特許登録率向上を図り、次の中計では、特許出願1000件体制構築、ISUZUロゴの商標権強化及びグループの知財力最大化を図り、現在の中計では、技術とブランドからＩＰ活用を促進し、特許の量から質への転換を目指している。
- 特許1000件出願は、妥当性・実現性・浸透性から検討した。3年計画として部門決裁をとって予算を確保した上で、開発部門に相談して体制構築し目標達成した。開発部門に対し、発明報告の簡易化・多様化や、発明に対する意識改革などを行うと共に、アウトソーシングも最大限に活用している。
- 開発以外に、営業、アフター等の幅広いメンバーによるＩＰブレストを実施して、将来技術に対するアイデア特許取得を目指している。
- ＩＰランドスケープにもトライ。アナリストも部内に育成し、事業部への提案もしている。
- 開発契約業務を法務部から移管したことで開発・事業部門との連携が深まり「持ちつ持たれつ」の関係ができている。
- ISUZUブランドが、日本で36位に入り、世界でもRolls-RoyceやPradaより上位に位置しており、ブランドマネジメントを強化。車両のブランドのタダ乗り対策やイミテーション部品対策などの模倣対策も実施。
Ⅳ．振り返り（できたこと、できなかったこと、新たな課題）
- 新たな課題として、「特許部」からの脱却と人材育成があげられる。
3. 質疑応答
中小規模の知財部を対象とした大変興味深い内容であったため多くの質問があった。- IPブレストについて、どれ位の頻度や人数で開催しているのか？テーマ選定は難しくないのか？等の質問に対して佐野様より丁寧なご回答があった。
4. 懇親会
講演会後、引き続き、佐野様にもご参加頂き、懇親会を行った。懇親会には、いすゞ自動車株式会社の長池グループリーダーにも参加いただいた。懇親会では親睦・ 交流をより深めることができ、有意義な懇親会になったと考える。以上
