役員談話室

関西若手弁護士による知的財産権法研究会とのコラボレ―ションについて

開催経緯

 一般論ですが弁護士は敷居が高いという印象をお持ちでしょうか。一方、知財に関わる交渉や訴訟その他法律問題に関与したり、関心のある会員企業の代表や実務者にとって、弁護士と日頃より接触できる機会があれば何かと得るものが大きいのではないでしょうか。

このような思いから、今年3月の「関西部会を考える会」において、関西の弁護士とコラボの仕方について課題提起したこころ、ご意見番より、判例研究などを通じて若手弁護士と気軽に交流できる仕組みがあれば良いとの提案があった。

そこで、関西若手弁護士とJIPA会員の接点について、小松弁護士に相談した結果、関西若手弁護士による「知的財産権法研究会」では、最近の知的財産判決例の研究が月1回のペースで定期的に行われており、その内容は会員企業にとっても有意義であり、且つ、形式張らずに気軽な雰囲気で運営されているので、まずは、年2回程度の頻度で試行的に協同研究会を開催してみようとの運びとなった。

この知的財産権法研究会は、創設以来50年の歴史があり、関西の重鎮弁護士が若手弁護士を育成することを趣旨として、石黒先生、馬瀬先生、小野先生、村林先生、そして、現在は小松先生が代表を務められている。

第一回開催

第一回は、若手弁護士による判例研究の場にJIPA会員が参加して、若手弁護士の議論を聴き自らも質疑応答に参加するという形式により開催することにした。弁護士20名、JIPA会員20名、総計40名が関西事務所に集合した。

  1. 日時 6月15日(金)
        研究会:18:00〜19:30(判決例の発表および質疑応答)
        懇親会:19:40〜21:00 
  2. 場所  JIPA関西事務所
  3. 判決例研究報告
      報告者:森本純弁護士(小松法律特許事務所)
      判決例:平成20年(ワ)第19874号 特許権侵害差止請求事件(間接侵害)
      司 会:小松陽一郎弁護士

本会では、森本弁護士が報告者となり、「医療用器具」事件について、背景、争点、判決、問題点などを簡潔に報告された。その後、小松弁護士の巧みな司会進行により、被告の各種態様の製品が間接侵害になるのかどうか、原告の特許クレームは適正であったかどうか、今後の課題としてこの種の間接侵害を回避するにはどうすればよいか等々、全員で討議し、質疑応答、意見交換がなされた。

特に本件事件では、間接侵害を構成する物品が特定の方法で使用されないように注意喚起していたにも関わらず、間接侵害が成立した事件であり、被告の立場であった場合、どの様にユーザーに注意喚起すれば良かったのか、考えさせられる事件であった。

JIPAの参加者にとって、若手弁護士の解説と議論を聴き、判決例の理解が深まり、この判例研究の場に参加して良かったとの意見が多かった。また、その後の懇親会では、弁護士およびJIPA参加者が交流を深め大いに盛り上がった。

感想

今回は、初めての開催であり、どの様に進むのか予想がつかなかったが、一応スムースに進行したように思われる。弁護士の議論を聴き、法律問題や対策などにかかる専門家の思考パターンを理解する良き機会となり、大変興味深いものとなった。
今後も継続するにあたり、今回の全体を通じて、次の様な点を考慮に入れて運営すればより良き会になるように思われた。
  1. 判例報告と質疑応答の二部構成では、所要時間として2時間ぐらい欲しい。
  2. 今回は、会議机の配置から少々議論し難いところがあった。次回は、参加者が一層話しやすいように会場のレイアウトやグループ編成などを工夫したい。
  3. 今回は、初回故に双方とも少々遠慮気味であった。今後、会を重ねて、より気軽な雰囲気造りに励みたい。

次回開催

第二回は12月21日(金)に次の要領で開催する予定です。
JIPA案内先として、初回は関西の現元役員、弁護士・判例研究に密接する特許委員会、人材育成委員会第二小委員会、会誌広報委員会第二小委員会に案内したが、次回は参加の機会が広がるようもう少し拡大して案内したい。
  1. 日時 12月21日(金)
         研究会:17:00〜19:00(判例報告および質疑応答)
         懇親会:19:00〜20:30
  2. 場所  JIPA関西事務所
  3. 報告 
      報告者:小松陽一郎弁護士
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岡崎 秀正(日本知的財産協会 関西事務所長)

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