役員談話室

キャベツもいいぜ―野菜部門第2位―

野菜の中で一番尊敬できるのは「たまねぎ」である、という説をご紹介申し上げた。
では、2番目はなにか、という当然の疑問がわいてくる。
多くの読者(約3名)も、同じ疑問を抱いていた。
その期待に応えねばなるまい。

それは「キャベツ」である。

「たまねぎ」に較べてどこが劣っているのか、とキャベツファンは抗議するかもしれないから、その点を説明しておこう。
若干劣る点は下記のとおり。

  1. 隠れた美しさという点で見劣りすること。
  2. 日持ちがしないこと

たまねぎの皮を剥いた時のみずみずしい素肌を、キャベツは残念ながら持ち合わせていない。
キャベツは何枚剥いてもほぼ同じ外見を呈している。
「おくゆかしさ」という点でちょっと見劣りする。

また、自分の主張を出来るだけ抑え、全体のハーモニーを考えるという点でも、キャベツはたまねぎに若干劣る。
キャベツは存在を隠すことがない。
たとえば、ロ一ルキャベツは、キャペツの顔がどうしても前面に出てしまうし、トンカツとともに出てくる刻みキャベツもどうしても目立ってしまう。

さらに、(2)の日持ちの点でも「たまねぎ」にゆずってしまう。
キャベツの芯をくりぬいて濡れ新聞紙を入れたりして(こうするとがなり日持ちが良くなる)工夫しても、たまねぎにはかなわない。

ほかの実力は「たまねざ」に劣るものではない。
ナマでOK(焼肉を包んで食べると抜群)、煮てもOK(味噌汁はうまい)、炒めてもOK(野菜炒めの主役である)。

さらに「何枚剥いてもほぼ同じ外見」という点は「外見と中味が同じ」であることを意味し、「裏表がない性格」である、ということができる。
キャベツは実に正直な野菜とも言え、たまねぎには無い点であると、大いに誇っていいものと思われる。
いい点もあるのだか、今一歩「たまねぎ」に及ばない。残念。

しかしながら、ここで、ふと、思った。
「キャベツ」のような知財部員が居たら、世の中、もっとよくなるだろうなあ。
「裏表がない」というのは、知財部員にとって、とても重要な気がしてきた。

「キャベツ」のような知財部員同士だと、ライセンス交渉もうまく行きそうだ。
「キャベツ」のような知財部員同士が話し合えば、係争もまとまりやすそうだ。
審査官ともうまくいくだろうし、変な出願を通そうともしないだろう。
そうか、知的財産が重要視される時代には、絶対必要な人材なのだなあ。ウンウン。

第3位

「たまねぎ」「キャベツ」ときて、第3位は何かということになる。
それは読者としてトーゼンもつ疑問であろう。これに筆者は応えねばならない。

しかし・・・。ここで迷うのである。

候補としては、「じゃがいも」「ニンジン」「ダイコン」「きゅうり」「なす」「ピーマン」「ほうれん草」。それに安定供給という点では抜群の「しめじ」などがあるが、「たまねぎ」「キャベツ」ほどのインパクトおよび総合力に欠ける。

該当者なしということでご勘弁願いたい。

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鈴木 元昭(日本知的財産協会 常務理事)

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