新刊書紹介

新刊書紹介

改訂 契約書が楽に読めるようになる英文契約書の基本表現

編著 牧野 和夫 著
出版元 日本加除出版 A5判 268p
発行年月日・価格 2022年11月発行 2,860円(税込)

 英文契約書を取り扱うことに抵抗がある,そのように感じる方にこそお勧めしたいのが本書である。
 本書は,英文契約書を理解するために必要な背景などを解説する「基礎知識編」と,英文契約書における具体的な表現を解説する「基本表現編」の2部構成となっている。
 基礎知識編では,冒頭に日本の契約書と英文契約書との考え方の違いが解説されている。すなわち,日本では性善説を前提としており,契約書で定められていない部分でトラブルが生じても何とか解決できるものと契約当事者が期待していることが多いとされている。他方,英文契約書では性悪説を前提としており,例えば争いが生じたときの解決策などを合意しないと裁判に発展してしまうことを懸念し,漏れがないよう細かく条件が定められることが多い。そのため英文契約書では条項の数が多く難しい表現が多用される,と解説されている。このような背景を把握することで,英文契約書をスムーズに理解することが可能となるばかりか,契約の相手方がどのような条件を求めてくるか,あるいは自身がどのような条件を盛り込むべきか,といった検討がしやすくなることであろう。他にも基礎知識編では,法的に契約書が有効となるための要件,契約書締結に至るまでのパターン,条文の読み方,基本契約書や個別契約書といった契約書の種類などが解説されている。これらも契約書を理解するために重要な基礎的事項であり,契約担当者は目を通して頂きたい。
 基本表現編では,英文契約書に頻出の助動詞や前置詞などの基本表現の解説に始まり,具体的な各条項における例文やその効果などが幅広く網羅されている。解説はいずれもわかりやすく丁寧であり,また,量は膨大であるものの場面ごとの整理がなされ具体的な表現の索引もあるため,気になる内容に迷わずあたることが出来るであろう。そのため,英文契約書を学ぶ場面だけでなく,例えば実際に契約書の読み込みや作成時の表現チェックといった実務を行う場面で辞典的に本書を活用することも可能である。
 また,改訂版である本書では,「準拠法・紛争解決」といった伝統的重要領域に加えて「NDA」「電子署名への対応」のような近年重要視されている条項での基本表現と例文の充実が図られており,現在の実務への対応もなされている。
 このように,本書には役立つ内容が網羅されており英文契約書の理解の助けとなることは間違いないため,契約業務に関わる方は是非とも手に取って頂きたい。

(紹介者 会誌広報委員 T.O)

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