新刊書紹介

新刊書紹介

改訂8版 化学・バイオ特許の出願戦略

編著 細田 芳次|
出版元 経済産業調査会 A5判 720p
発行年月日・価格 2018年6月28日発行 6,000円(税別)
 本書は,化学・バイオ分野の明細書を作成する際に,注意すべき基本的な内容だけでなく,最近の判例を数多く紹介するとともに,判例により変化した特許庁での取り扱い状況についても解説している。本書は,初版から改訂を重ね た8版にあたり,改訂の度に追加や修正が行われており,720pにも及ぶ大作である。

 本書は,第1章「発明の把握」,第2章「ク レームの作成(基礎)」,第3章「戦略的なクレ ームドラフティング」,第4章「明細書の作成」,第5章「特許要件(産業上の利用可能性)」,第 6章「特許要件(実施可能要件・サポート要件・ 明確性要件)」,第7章「特許要件(新規性と先 願範囲の拡大)」,第8章「特許要件(進歩性)」,第9章「化学・バイオ分野に特有な発明」,第 10章「出願戦略を考える」,第11章「明細書のチェックポイント」の11章から構成されている。 第1章の「発明の把握」では,研究成果に基づいて発明をどのように把握するか,発明の種類と権利としての強さを理解できるようになっ ている。また,第2章の「クレームの作成」では,マーカッシュ形式クレーム,等の一般的な表現方式について説明されており,クレームの表現と権利解釈との関係を理解できるようになっている。第3章ではさらに進めて,権利行使に強いクレームのポイントが記載されており,必読部分である。第4章から第8章では,明細書を作成するうえで具体的なポイントが,最新判例を含む判例を例示しながら詳細に記載されている。

 本書の特徴は,第1章から第9章で,クレー ムや明細書を作成するための具体的なポイントを理解した上で,第10章の「出願戦略を考える」 につながっている点である。具体的には,ⅰ)今後の研究方針,ⅱ)研究スケジュール,ⅲ) 他社の出願動向,ⅳ)国内優先権の利用の有無,ⅴ)既出願との関係,ⅵ)先願の公開予定日を留意しながら,色々な場合の出願戦略が記載されており,会員各社の参考になるものと考える。 また,第11章の「明細書のチェックポイント」は,出願に際しおとしてはいけない明細書等の確認事項をリストとしてまとめたものであり,明細書を作成する際に,実際に用いてはいかがだろう。また本書は,大作なので「明細書のチェックポイント」を最初に読んでみて,疑問に 思ったチェックポイントに関連する記載箇所を 読んでみるといった,目次代わりに用いてもいいかもしれない。

 本書は,多数の判例を全章に盛り込んでいる為,初心者には向かないと思われるかもしれないが,明細書作成という実務の解説において,丁寧に理解しやすく説明されており,初心者の方にも挑戦いただきたい。また,中堅以上のベ テラン知財部員にも,非常に奥深い内容を含んでおり,座右の書としても,是非,お薦めした い。

(紹介者 会誌広報委員 O.K.)

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