新刊書紹介

新刊書紹介

新欧州特許出願実務ガイド

編著 特許業務法人酒井国際特許事務所 編
出版元 経済産業調査会 A5判 540p
発行年月日・価格 2017年5月9日発行 5,000円(税別)
 本書は,2011年8月に発行された「欧州特許 出願実務ガイド」の構成を大きく見直し,旧版 の編集方針(企業の知的財産部門の権利化担当 者,特許事務所の外国特許担当者を対象,辞書 的な用法あるいは研修会用テキストを想定した 編集)は維持しつつ,実務に関する最新の情報 を補充し,さらに読みやすさを追求したものと なっている。

 旧版での構成は,第吃堯峅そF探制度の概 要」,第局堯峅そF探出願ガイド」で構成さ れていたが,本書では「基礎編」,「理論編」,「実 務編」の三部構成になっており,各編の構成は 以下のようになっている。

基礎編:欧州特許制度の基礎事項を簡潔に述べ ている部分で,EU特許パッケージの最新状況 にも触れている。全体像を俯瞰することができ る。

理論編:特許要件(新規性,進歩性など)と特 例(コンピュータ・プログラム,ビジネス方法 など)についてまとめられている。

実務編:この編だけで全体の半分を占めてお り,本書の肝になる部分であり,特許出願手続 からサーチ,審査,審判,異議申立といった一 連の権利化手続の実務に関する知識や注意事項 を網羅している。

 本書の特徴として読みやすさを謳っているこ とから,活用方法について提案がある。その中 で「会読」という読書法がでてくる。これは,「特 定の書籍を複数参加者が分担して輪講しなが ら,その書籍の内容について議論する」という ものである。

 あまり耳慣れない読書法であるので少々調べ てみた。始まりは江戸時代後期の荻生徂徠が主 に儒教の経典を読むときに用いた学習方法のよ うである。そのようなことを記載した書籍があ るようなので,詳細はそちらを読んでいただき たいが,やっていたことは現代の読書会,勉強 会と大差ないようである。大いに相違する点は 昔の会読は「競争」の場であり,うまく読めた 者は席順があがり,読めなかった者は席順が下 がった。場合によっては寄宿舎の寝場所まで違 っていたようである。会読は身分制社会だった 時代,私塾では武士と庶民が対等に議論する場 に用いられていた。

 現代では会読に競争的要素はないように思わ れるが,(経験があると思うが)単なる読書会 では途中でマンネリ化し,時間をかけても中々 身についた感じがしないものである。本書の活 用の際に競争的要素を取り入れた「会読」を取 り入れて,欧州特許実務のスキルアップにつな げてみてはいかがであろうか。

(紹介者 会誌広報委員 Y.О)

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