新刊書紹介

新刊書紹介

知財英語通信文必携

編著 筒井 知 著
出版元 経済産業調査会 A5判 280p
発行年月日・価格 2017年1月24日発行 2,800円(税別)
 本書は,英作文上達のtipsと,日本人が迷いやすいポイントに的を絞った文法の解説及び,実務に沿った豊富な例文集から構成される実戦的な手引きである。

 第1章の冒頭から,節のタイトルが「英作文は英借文から」と実戦的である。辞書との付き合い方には,英和辞書,英英辞書だけでなく,名詞と動詞等の相性を確認できるコロケーショ ン辞典や,適切な言い回しを選ぶ際に参考とな る類義語辞典についても記されている。電子辞書やパソコンにインストールする辞書,オンライン辞書や検索サイトとの付き合い方にも触れている。第1章の終盤では「所詮,ネイティブには敵わない」と,英語力の向上に向けてネイ ティブによる添削を効果的に利用することを薦めている。上達のtipsの最後は「名文でなくとも明文を」で締めくくられ,その留意事項が記されている。

 文法の解説は,日本人が迷いやすいポイントとして冠詞,動詞(他動詞と自動詞の使い分け),関係詞に絞って解説されている。その内容については割愛するが,日本人が特に悩む冠詞については,通常の目次と別に,冠詞についての詳細目次が付いており,冠詞の有無や選択に悩んだ際に辞書的に使うのにピッタリである。さらに詳細目次自体が,冠詞で検討すべき項目の一覧表として利用することが出来,誠に使い勝手が良い。

 第2章の通信文の具体例では,出願の打診・依頼,OA応答,現地代理人への依頼,費用についての問い合わせ,代理人変更依頼,拒絶理由通知の報告,特許料納付の催促,契約交渉の対案提示,特許侵害の警告状送付といった場面における英文例をレター形式で示し,和訳と解説,語句説明を加えている。実務に即した例文が並んでおり,「借文」して応用できる内容となっている。

 さらに第3章には英文レターに典型的な表現や,実務の各場面でよく使われる短文例が180例も記載されており,第2章で「借文」したレターに各種表現を加える際に有用である。

 本書の活用方法としては,英作文に慣れた方であれば,第1章の上達のtipsで自らのスキルの再確認を行った上で,例文は必要に応じて参照し,文法で迷った時には文法パートを辞書的に使うのがお薦めである。初心者であれば,まずは例文を「借文」して業務を進め,気になる部分を辞書的に確認しつつ,徐々に第1章のtipsを読み進めて英作文上達を図るという使い方も良い。

(紹介者 会誌広報委員 T. I.)

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