新刊書紹介
新刊書紹介
特許出願の中間手続基本書〔第3版〕
編著 | 大貫 進介 著 |
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出版元 | 発明推進協会 A5判 330p |
発行年月日・価格 | 2014年6月20日発行 3,200円(税別) |
本書では,序説で基本的な中間手続について 説明された後,新規性・進歩性違反を初めとす る主な拒絶理由に対する中間手続や,分割出願 や拒絶査定不服審判等の他の手続について説明 されている。
各章で,拒絶理由に該当する条文の説明から 始まり,規程の趣旨・解釈,判断手法が詳述さ れている。所々細かいようにも見えるが,分か り易い記載となっている。審査実務をしている とつい忘れがちな各拒絶理由の法上の意義も改 めて確認出来るためとても参考となり,初学者 の勉強にもなろう。
また,本書の特徴は,拒絶理由に対する対応 策が詳細に説明されていることである。その中 で多くの会員にとって興味のある進歩性につい ては,73頁と多くの紙面を割いて説明している。 進歩性の判断手法(動機付け,有利な効果の有 無を含む)等について言及されているのはもち ろんであるが,特に興味深いのは戦略的な意見 書の作成方法を提言している点であろう。よく 見かける普通の意見書の例(拒絶理由の説明, 補正の根拠,発明の説明等の項目)を示した上 で,従来の意見書が冗長で主張点もぼやけると 指摘し,各記載の要否を説明した上で,本当に 主張すべきはどの点にあるのかを記載すべきと 説明している。
意見書は出来るだけ多くのことを主張したい との思いから,その記載が増えやすいところ, 権利行使の観点から短い記載の意見書を提案 し,その記載方法まで言及していることが興味 深い。1つ上のレベルの意見書を書きたい方は 是非ご参照いただきたい。
また,2013年にも審査基準が改訂されている 発明の単一性は,中々理解が難しいところであ るが,正しく理解出来れば,スムーズな審査手 続きが可能となる。本書では2013年の改訂審査 基準に基づき,丁寧に解説されており,単一性 を苦手とされる方には有用であろう。
このように,本書は初学者を含めた多くの会 員にとって有用な中間手続マニュアルと考えら れる。是非,中間手続のお供にご検討頂きたい。
(紹介者 会誌広報委員 Y.H)