新刊書紹介

新刊書紹介

ブランド管理の法実務 −商標法を中心とするブランド・ビジネスと法規制−

編著 棚橋 祐治 監修
明石 一秀,小川 宗一,高松 薫,松嶋 隆弘 編著
出版元 三協法規出版 A5判 448p
発行年月日・価格 2013年7月15日発行 4,700円(税別)
  「今期から商標の担当をお願いね。」このよう に言われて面喰らわない方はいないだろう。こ れまで特許出願,中間対応を行ってきた方など は,商標はどうも勝手が違う,と感じられるこ とは多いのではないだろうか。紹介者もその一 人である。初心者はもちろん,ある程度のベテ ランが読んでも相応しい内容が網羅されている 書籍がないものかと探していた。そのような時 に巡り合ったのが本書である。

 出願から権利行使までの一通りの流れに沿っ た関連法規についての解説はもちろん,実務的 留意点も的確に項目ごとに記載されている。サ ブタイトルの通り,商標法の記載が中心だが, 不正競争防止法,著作権法等,関連する法規に ついても触れられており,商標担当者として注 意すべき関連法規,事項が紹介されている。

 争いを避けるために事前にしなければならな いこと,争いになった際に何をすべきか,では 具体的なアクションはどうすべきか,様々な場 面での指針を与えてくれる。適度に事例,図, 見本書面等が配置され,具体的イメージが湧き やすいよう,配慮がされている。

  紹介者が特に興味を惹いたのは後半部分であ る。争いとなった事例の類型化がなされている のは類書にもあるが,本書で特徴的なのは損害 を被った時,その損害を如何にして回収するか という点であろう。相手先への通知,和解,示 談,仮処分,訴訟等々,各段階での対応が詳し く書かれている。まだ例は無いようだが,権利 侵害者の口座凍結についても紹介されており, おもしろい。相手先との交渉が必要となること もあろうが,その際のポイントにも触れられて いるのはありがたい。

 また,近時の事例としてインターネット販売 の際の注意点について1節を設け,詳細に解説 されている。特にモール運営者に対する請求に ついて焦点があてられている。模倣品の発信源 として現代の企業では避けられない事項であ り,有益である。

 読後あらためて強く感じたのは,商標は使っ てこそ意味があり,企業の事業と密接に関連し, ブランド形成の中で大きな役割を演じるという ことである。

 また,本書は日本の商標に関する内容となっ ているが,基本的な考え方として海外案件にも 通ずることが多い。商標担当となられた方にぜ ひおすすめしたい。  

(紹介者 会誌広報委員 A.N)

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発明のつくり方

編著 川北 喜十郎 著
出版元 発明推進協会 A5判 148p
発行年月日・価格 2013年7月19日発行 1,600 円(税別)
 会員各社の知的財産部では多くの方が発明を 発掘して特許を出願していることであろう。そ して研究開発に携わる方々と発明発掘会議等の 協議の場を持つことであろう。

 ところでいざ会議を開いても「ネタがない」 と困りはしないだろうか。ネタがなければどう しようもない。発掘できるかどうかは,研究開 発に着手する時点で特許性のある発明に取り組 んだかどうかだ。

 それなら発明の仕方そのものに目を向ける必 要がある。研究開発に着手するときに発明につ ながるものの見方・考え方とは何か。本書はそ こを説いている。前書きには「本書では技術に 関するアイデアすなわち発明を作ることを目標 として,発明の特徴に着目した発想法を紹介し ます。」とある。

 第2章では「発明の創り方」として発明創出 プロセスの概要を挙げている。課題から原因分 析をし,その次にアプローチを考え,更にコン ビネーションへと検討を掘り下げるよう説いて いる。次の第3章では課題を現在の問題と将来 の問題とに分解するよう説いている。そして第 4章では原因の分析へと話を進めている。この 第4章ではハンガーからTシャツを簡単に取り 外す方法を例に挙げ,原因分析して解決策を紹 介し,発明を仮想体験させてくれる。

 続く第5章と第6章が本書の要点である。第 5章では課題達成のアプローチとして6つのア プローチを挙げている。例えば技術分野別アプ ローチとして自動車が歩行者と衝突したときに ボンネット上での衝撃を緩和する課題に対し て,制御的,構造的,材料的なアプローチとこ れらの複合技術があると紹介している。他のア プローチについてもシュレッダー屑の処理方法 等を例に示している。このあたりは発掘を専門 とする知財部員では気づきにくいところ。だが こうしたアドバイスを送れば研究開発者からの 信頼も高まることだろう。その点第6章ではコ ンビネーションについて付加や形態変更等7つ 挙げているものの,これらは知財部員にとって も馴染みであろう。ただ日頃本書のように体系 立てて漏れなく考え,研究開発者にアドバイス をしているであろうか。そういう点で知財部員 としても再考すべき視点を提供してくれる。な お第7章の特許になる発明の創り方と第8章の ビジネスに生かす発明創出の話は知財部員には 今更の感がある。しかしこれらを研究開発者に 理解してもらうと,知財部員と理解が共有でき 有益であろう。

 本書はまず研究開発をされている方々に薦め たい。また発明発掘で研究開発者と日々接する 知財部員にもお薦めしたい。なお知財部員から 研究開発者へ推薦されることを期待したい。

(紹介者 会誌広報委員 村上)

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