新刊書紹介

新刊書紹介

実務詳説 特許関係訴訟【第2版】

編著 睇堯≠探子 著
出版元 きんざい A5判 428p
発行年月日・価格 2012年11月27日発行 4,500円(税別)
本書は現役の知的財産高等裁判所判事である 著者が平成23年に執筆した「実務詳説 特許関 係訴訟」の第2版であり,平成23年法改正後の 特許法の下での特許関係訴訟の実務を解説して いる。

本書は特許権侵害訴訟を中心に解説されてい るが,それだけに留まらず,訴訟に必要な各種 書面の記載例等の手続的情報,留意点が丁寧に 記載され,実務的視点で特許権侵害訴訟が解説 されている。また,初版に加えて新たに「契約 関係訴訟及び登録関係訴訟」の章を設けて,ラ イセンス契約に関係する訴訟や,冒認による移 転登録訴訟についても解説されている。

以下に,構成と内容について簡単に紹介する。 「第1章 特許権侵害訴訟の手続的論点」で は,訴訟手続の概要,請求の趣旨,対象製品の 特定,文書の提出と秘密保護手続,判決と和解 について概説されている。概要のフローや記載 例などを用いて丁寧に解説されているため,実 務でも役立つ内容である。

「第2章 特許権侵害訴訟の実体法的論点」 では,侵害訴訟の当事者,要件事実,技術的範 囲の属否,無効論,特許権の効力の制限,損害 論について概説されている。近年の裁判例,学説を紹介しながら,平成23年改正後の実務の留 意点を解説している。改正箇所については,裁 判例,課題,学説,立法の必要性などが説明さ れているため,知識の整理にもつながる。

「第3章 国際化と特許関係訴訟」では,国 際裁判管轄,準拠法,国境を越えた特許権侵害 について概説されている。事業のグローバル化 に伴い,近年,国を越えての知財紛争も増加傾 向にあるため,実務上も理解しておきたい。

「第4章 審決取消訴訟の実務」では,訴訟 手続の概要,裁判所及び当事者,取消事由,判 決の効力,訂正等について概説されている。審 決取消訴訟での論点,平成23年改正後の訂正制 度が実務に及ぼす影響などが紹介されている。

「第5章 契約関係訴訟及び登録関係訴訟」 は新設された章である。契約関係訴訟,冒認に よる移転登録訴訟が概説されている。法改正に より新設された制度解説や,実務的視点からの 解釈など,的確な指針が示されている。

このように,本書は,初版に引き続き,特許 権侵害訴訟実務に携わる弁護士,弁理士,企業 の知的財産部門/法務部門の担当者,また将来 知的財産権事件を扱う司法修習生や法科大学院 生等にとって,特許関係訴訟の実務と理論を理 解するために非常に役に立つものと思われる。 また,平成23年法改正後の特許法の下における 本格的な実務書としてもお薦めの一冊である。

(紹介者 会誌広報委員 M.N.)

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中国特許出願実務入門

編著 北京三友知識産権代理有限公司 編著
畠山 敏光 訳 酒井 宏明 監修
出版元 発明推進協会 A5判 428p
発行年月日・価格 2012年9月15日発行 3,400円(税別)
昨今どの会員企業でも注力せざるを得ない, 中国特許出願に関する実務的な事項がまとめら れた一冊であり,中国出願を行う知的財産部員 や特許事務所の実務者にとって必須の書といえ る。本書の主な特徴は以下のとおり。是非手に とってみていただきたい。
  • 中国特許庁における権利化までの手続の各 段階における重要な論点が章,節,項ごとに時 系列で,または総論と各論,一般的な事項と特 殊な事項に整理,分類されており,論理的かつ 体系的な内容で構成されている。
  • 特許出願実務の理論について解説がされて いる一方で,机上の法理論に終始することなく, 代理人の実務経験を通してしか知ることができ ない実際の現場における運用についてもふんだ んに紹介されており,法理論面での精密さと実 務の実情に即した実用性が同時に追求されたも のとなっている。例えば,拒絶理由ごとの判断 基準と実務対応,拒絶理由を解消した対応の実 例,拒絶理由通知を受けたときに現地代理人に どのような依頼をすればよいか,など,実際の 現場での実務が詳しく具体的に解説されてい る。また,第3章で掲載されている期間の一覧 表は,出願人が遵守すべき主な期間が網羅され て早見表として機能するように設計されている など,実務における使いやすさが十分に考慮されている。
  • 2012年8月1日から中国でも導入された日 米欧中韓の五大特許庁の『共通出願様式』, 2012年8月1日から施行された『発明特許出願 優先審査管理規則』など最新の内容が盛り込ま れている。
  • 随所で外国法(特に日本法)との対比がな されており,客観的な視点で中国法の分析,解 説がなされている。特に,日本で認められてい て中国で認められていないような事項につい て,日中間の制度上の相違が明確に指摘されて 注意が喚起されており,日本の実務者への配慮 がなされている。
  • 多くの日本企業が特に注目している実用新 案特許制度の活用について,かなりの頁を割い て詳細な解説がなされている。所謂シュナイダ ー事件に対しては冷静に反応するよう企業に勧 めており,発明特許と実用新案特許のいずれに も偏ることなく,両者の相違を冷静かつ客観的 に把握した上で,自社に合った出願種別を選択 することを促す内容となっている。
  • 本書全体にわたって付されている膨大な脚 注には,日本の実務者が通常知らない中国特有 の概念や専門性の高い知財用語について詳細か つ丁寧な解説が施されている。中国法について 全く知識を有しない者にとって理解の助けにな るのは勿論のこと,ある程度の経験を有する実 務者にもあまり知られていないような関連情報 がふんだんに紹介されており,予備知識,背景 知識を豊富にしてくれる。

(紹介者 会誌広報委員 Y.K.)

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発明/共同発明の成立と 共同発明者の認定から評価・処遇へ
− 一般・実験・共同発明の場合の発明者認定と 共同発明者間の寄与割合算定の基準・手順 −

編著 影山 光太郎 著
出版元 経済産業調査会 A5判 370p
発行年月日・価格 2012年11月6日発行 3,800円(税別)
本書は,企業の技術者,また弁護士・弁理士 としての種々の実務経験に基づき,研究・技術 開発段階から発明/共同発明の成立に至る過程 を分析し,法的な視点を加えて,発明者/共同 発明者の認定および共同発明者間の寄与割合算 定の基準を考察し,提示したものである。

本書では,特に|總曚砲ける原理,さらに 一応の原理の抽出による発明者/共同発明者の 認定の基準と,△任る限りの定量化による共 同発明者間の寄与割合算定の基準を設定するこ とを重要なポイントとして議論が進められてい る。併せて,共同発明者の認定に関する従来の 議論についても考察されている。

発明者・共同発明者の認定については,特に 特許法第35条における職務発明に関連して問題 となっている。この職務発明については,最近 では,元従業員が発明者であるか否かの問題が 増加し,しかも発明者であることを否定される 判例が見られる。

本書では,種々の業種にわたる判例について,上司の部下に対する研究テーマの提示と,上 司・部下それぞれの上記,よび△亡陲鼎発 明への寄与という観点から検討している。 判例の検討は,企業の目的,テーマの提示, 特許性の有無,事前の着想の可否などの論点か ら,簡潔かつ具体的に進められており,理解し やすい。

それで,知財実務に携わっている期間がまだ 短い知財担当者が,表題テーマについて学ぼう とするときの参考書として活用できる。また, 例えば企業内の知財教育などで,技術者やその 上司に,表題テーマについて基本的なところか ら説明する機会があるかもしれない。そのよう な場合に,本書の判例とその検討は,具体例と して用いやすいと思われる。

さらに,少し観点を変えて,,よび△隆 準に基づく発明者の認定・評価に止まらず,特 許発明の収益への寄与や,大学などでの学生ま たは無給研究員の行った発明の取り扱いについ ても議論されていることも興味深い。

本書は,上記のように研究者・技術者,知財 担当者,法律家のみならず,表題テーマににつ いて関心を持つ経営者,教職員,学生をも対象 として書かれたものであり,産学を問わず,研 究・技術開発において発生する発明を取り扱う 必要のある方々に対して,一読をお勧めしたい。

(紹介者 会誌広報委員 M.S.)

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