新刊書紹介

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中国知的財産法

編著 遠藤 誠 著
出版元 商事法務 A5判 493P
発行年月日・価格 2006年2月26日発行 5,000円(税別)

近年、中国の産業は、凄まじい勢いで発展してきた。またこれに伴い、多くの外国企業が、中国へ進出してきた。

しかし一方、第三者である外国企業が有する知的財産権を侵害した模倣品や海賊版が中国で大量に生産され、市場に出回る問題が発生している。   

また、中国への進出に伴い、外国企業が有する技術ノウハウが流出する問題も発生している。

このような状況下、中国の知的財産権も、中国政府がWTO加盟のため、また、TRIPS協定との整合をはかるために、2000年頃以降、知的財産に関する法律は、早いスピードで整備が進められ、大幅に改正されてきた。

これら急速に整備された法制度と多様化する知財紛争に対し、中国でビジネスを展開する企業や実務担当者は、様々な困難な問題に対し、真剣に取り組む必要が生じてきている。

本書は、現在の中国ビジネスで企業、実務担当者が直面する知財法務や紛争対策に必要な最新の法律情報を2005年12月1日現在の有効な法令を対象に提供している。

本書の主な目次を紹介すると、

  • 第1章:中国の知的財産法の概要
  • 第2章:特許法
  • 第3章:商標法
  • 第4章:著作権法
  • 第5章:不正競争防止法
  • 第6章:知財戦略・知財管理
  • 第7章:技術流出防止・営業秘密保護
  • 第8章:技術移転・技術契約
  • 第9章:研究開発
  • 第10章:模倣品・海賊版対策
  • 第11章:電子商取引

から構成されている。

また、各章の構成は、各法における中国での関連法令や係わる主管部門、各法の基本的要件や出願から紛争処理に至るまで、必要とする全ての項目が記載されている。

特許法で一例を挙げると、(1)関連法令、主管部門、(2)特許法の保護対象、(3)出願する権利の帰属、(4)特許権の要件、(5)特許出願、(6)特許出願の審査、認可、(7)特許出願権・特許権の譲渡、質権設定、(8)特許権の存続期間・消滅・無効、(9)特許権の効力、(10)紛争処理から構成されている。

特に中国で悩まされる、技術ノウハウの流出や模倣品、海賊版に対し、第7章:技術流出防止・営業秘密保護では、中国での法制度や紛争処理の実態、また問題が生じた場合の対応方法や未然に防ぐための留意点について説明がされている。

第10章:模倣品・海賊版対策では、統計的見地からの現状の調査、研究の紹介や、紛争予防、処理について説明、また模倣品根絶のための準備段階から、行政/民事/刑事的手段や政府との関与や各種団体との連携についても説明されている。

中国ビジネスで直面する知財法務や紛争対策において、本書は有益になると思われる。

中国に対する知的財産法全般を把握したい方や、中国でビジネスを展開する企業の実務担当者にとって、本書は有効なバイブルと言えるのではないだろうか。

(紹介者 会誌広報委員 H.M)

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