ちょっと一言

「お米大好き」10月号編集後記より

 過ごしやすい,収穫の秋がやってまいりました。新米の季節です! おにぎりや丼にして,米を口いっぱいにほおばったら,幸せを感じるのは私だけでしょうか? 最近は各地の新しい 特産米の銘柄を数多く見かけるようになり,おいしい特産米を食べるのが楽しみで仕方ありません。

 みなさん,いったい日本には,何種類のお米の銘柄(品種)が存在するかご存知でしょうか? 有名どころでは,ササニシキやコシヒカリ,またみなさんの地元の銘柄等,3種や4種位の銘柄をあげることはできますよね。

 知られている銘柄を調べてみると,なんと日本には,500品種以上のお米があるようです。これらの品種の育成機関のほとんどが,各都道府県の農業試験場等が中心で,地道な努力により,品種改良がなされたものです。

 品種改良は,親よりもよい性質を持った稲をつくるために,ある品種のめしべに別の品種の花粉をかけあわせます。このことを「交配」といいます。交配でできた種をまき,稲を育てると色々な性質を持った稲ができ, その中から目的にあった性質の稲のみを「選抜」し,この選抜した稲を育てます。選抜,稲の育成という作業を6〜8年かけて繰り返し,やっと親と子の性質が変わらない稲ができ,品種改良が完成するそうです。 このようにして,各地の農業試験所から,続々と新しいお米が誕生します。このような多種多様の品種を持っているのは,わが国だけではないでしょうか。

 ただ心配なことも持ち上がっています。農業試験所が地道な品種改良をできてきたのも,主要農作物種子法が法的根拠となり,品種改良や種の育種費用の確保を財政当局に求めることができたからです。 しかしながら,来年度からはその主要農作物種子法が廃止され,従来からの品種改良や種の育種費用の財源の根拠があいまいになってくるようです。食いしん坊の私としては,優秀な米の種子が守られ,子供, 孫,ひ孫の代とおいしい米を食べ続けていけることを,ただ祈るだけです。

(K.O)     

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