ちょっと一言

「ルービックキューブの豆知識」7月号編集後記より

 今月は「ルービックキューブ立体商標登録」判決を取り上げたが,少年時代にルービックキューブに熱中した読者も多いのではなかろうか。
 ハンガリーのエルノー・ルービック教授が1974年に考案,77年に発売されたルービックキューブは,1980年7月に日本上陸,8ヵ月で 400万個が完売するなど爆発的に流行した。

 翌81年1月には第1回全日本大会が開催され,6〜68歳までの約400人が6面完成の早さを競い合い,優勝者のベストタイムは, わずか46秒だった。当時,私は就学前だったが,誕生日に買ってもらった従兄の教える通りに動かして1面を合わせるのが精一杯だった。 中学生の従兄だけでなく叔父や父,大人達も一生懸命取り組んだが,結局6面を完成できなかった。

 それもそのはず,今回調べて驚いたのだが,3列×3行×6面からなるキューブの配置は,4,325京2,003兆2,744億8,985万6,000通り!もあるらしい。また「どんな状態からも,最大〇手で各面が揃えられる」という数は「神の数字(God’s Number)」と呼ばれ, 2010年7月に,それが20手だと証明され確定するまで世界中で研究されてきたという。こうした数学的問題の奥深さによって,パズル愛好家 だけでなく多くの数学者達をも魅了してきたルービックキューブであるが,特許の関係でも,なかなか興味深い。

 ルービック教授が3x3x3型キューブで取得したハンガリー特許は1975年の登録であるが, アメリカにはラリー・ニコラス氏が,2x2x2型の 磁石式キューブで取得した1972年4月11日登録の特許があり,実際アメリカでルービックキューブを販売し始めた会社は1986年に当該特許に よる訴訟で負けたそうである。また日本では,平成11年特許法改正による内外国公知が要求される前だったので,1976年の第三者による 特許出願が無事登録されている。

 このように,この判決をきっかけに調べる中で色々な発見があったが,最大の発見はルービックキューブの日本公式サイトに「6面 完成攻略法」が普通に掲載されていた事である。これで35年越しの6面完成は,達成したのも同然である。手先の器用な娘達よ, あとは任せた。  

(S.M.)


1982年にハンガリーのブタペストで開催された
第1回ルービックキューブ世界大会の記念切手

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