ちょっと一言

バラあれこれ(その1)―バラ作りの効果―

フルタイムの仕事を辞めて少し暇ができてから、バラ作りに精を出しています。それまで妻が細々やっていたものを引き継いだ形で、それを基に少し規模を拡大し、今では家の壁面をつるバラが覆うほどになっています。バラを栽培するには、土作りに始まって、剪定、消毒、施肥と色々な作業が必要ですが、とりわけ梯子を使ってつるバラを二階まで誘引するには男手が必要、ということもあって、バラ作りに手を染めることになりました。

バラは花の美しさと香りから、「花の女王」とも呼ばれ、世界の至る所で広く栽培され、最も身近な花の一つとして多くの人に愛されています。実際、バラ作りを始めてから、「私もバラが好きなんですよ」と沢山の人から声をかけられ、バラ好きが多いのを肌で実感しています。ただ、大抵「手がかかって大変でしょう」という言葉が続きます。確かに、色々手がかかりますが、とりわけ葉が黒く変色し落葉する黒点病と、葉のみならず大事な蕾もダメにするうどん粉病対策が悩みの種です。これらを完全に防ぐには、高温多湿の日本では週1回の消毒が必要であると言われています。しかし、とてもそんなにはできませんので、私は月1〜2回です。それでもバラは美しく咲いてくれます。

家の前の通りでバラの手入れ作業をしていると、道を通る人が「きれいですね」「楽しませてもらってます」と、ほとんどが声をかけてくれます。近所の人であったり、見知らぬ人であったりしますが、それをきっかけに簡単な会話が弾みます。そして、褒めてもらうことが励みになり、手入れ作業にも一段と力が入ります。今の所に住んで約30年になりますが、フルタイムで仕事をしていた時には、近所の人でも顔と名前が一致しないとか、顔は知っていても話したことがない人などが多かったのですが、そういうことが減ってきました。また、新しく知り合いになる人も増えてきました。

私のバラ作りは、自分で楽しむことは勿論ですが、地域の人達をも楽しませています。そして、その人達の声がさらに私の喜び・励みになっています。また、地域社会とのコミュニケーションを深め、会社人間の習性からの脱皮にも役立っています。それからもう一つ。バラは妻と共通の趣味になりますので、話題も一緒になりますし、夫婦喧嘩をしても、いつの間にか元の鞘に納まってしまう、という効果も生んでいます。子供が独立・結婚した今、まさにバラが鎹(カスガイ)といったところでしょうか。バラ万歳!写真は家の前の通りから見た我が家のバラです。

(重陽会会員 I.H.)

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