ちょっと一言

パロディを、どう考えるか −面白い恋人事件−

「面白い恋人」事件、和解になりました。
ネット情報によれば、和解内容は、
  • 「面白い恋人」という名称での商品の販売・製造を認める
  • パッケージデザインを変更して販売する
  • 販売は、関西6府県に限定する
  • 損害賠償金は支払わない
というものです。
「白い恋人」を「面白い恋人」に発展させた吉本興業のネーミングは、パロディそのものです。ワタクシは、パロディが大好きなので、マジメな日本法曹界において、「パロディ文化」が、どう評価されるのか、興味津々でした。

残念ながら、判決はありませんでした。多くの人が判決を待ち望んでいたのではないでしょうか。

みなさんは、パロディを、どうお考えですか。
ワタクシは、ひとつの「創造」「文化」だと捉えています。立派な知的創造です。

しかしながら、特許庁はそうした考えではないようです。弁理士・西村雅子さんの情報によれば、特許庁は、吉本の「面白い恋人」の商標出願に対して拒絶を行っています。拒絶理由は以下のとおりです。

「出願人が本願商標を採択、使用することは、商品名称や商品パッケージにユーモアを加えるというよりは、「白い恋人」の名声や顧客吸引力に便乗するものと推認されるものであって、更に商標登録することによって、その名声や顧客吸引力の希釈化を進めるおそれがあるというべきであり、結局、公正な取引秩序を乱し、公の秩序を害するおそれがある」

西村さんのURL http://www.nm-tm.jp/news/8564701/article.html

つまり、「公序良俗違反」だというのです。

小生は納得いきません。吉本興業の行為が「公の秩序を害する」のでしょうか。そうではないと思います。むしろ、パロディというユーモアを加えることによって、豊かな文化を築いていると考えます。

お堅い役人が判断する商標登録は仕方ないとしても、権利侵害という点ではどうでしょうか。
「面白い恋人」を、「白い恋人」と間違って購入する人は、あまりいないと思います。商標権侵害でクロとする判断には無理があります。

そうすると、多くの人がおっしゃっているように、不正競争防止法の適用になるのでしょうか。

著名な商標に対しては、右のような条文があります。
右の条文の「同一若しくは類似の商品等表示」に、「面白い恋人」が該当するというのでしょうか。条文を読むだけではスッキリ適用ということにはなりません。

NHKのクローズアップ現代で、「フランスでは、パロディが法で守られている」ということを知りました。パロディにユーモアがあればいいんだそうです。フランスであれば、「面白い恋人」事件は、シロとなりますね。

日本ではパロディが認められていません。著作権の場合は、著作権者の同意もしくは黙認が必要なんだそうです。「パロディが出ることによって、パロディ対象品も輝きを増す」、そんな文化にしたいものです。

(M.S.)

追記: ところで、中国の成都空港で見つけたこれはどう思いますか?  (H.D.)
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