ちょっと一言

「家庭菜園」4月号編集後記より

 我が家の庭で野菜作りを始めて,十数年になります。猫の額ほどの小さな庭ですが,主に,春から冬にかけて収穫する野菜を栽培しています。栽培を初めた頃は,大根がまるで牛蒡のように細く,人参は発芽すらしませんでしたが,今では畑土も肥えて,少量ながらも安定して収穫できるようになりました。
 そして収穫した野菜は,私,自称「週末シェフ」によって調理され,食卓に並びます。テレビなどで,農園を取材するレポーターがその場で野菜をかじって「甘〜い」などと叫んでいますが,新鮮な野菜は本当に甘いんです。半人前の料理の腕が,野菜自身の美味さに随分と助けられています。
 菜園では,化学肥料や農薬を使用しませんので,虫や鳥などの訪問客(?)や,年中生え続ける雑草には手を焼いています。蛾の幼虫が,いつの間にかナスの葉を食べ尽くしてしまうことがありますし,カラスが近くでトマトを狙っているのを見かけて,追い払うこともあります。除草は,定期的に行わないと野菜の成育にも影響しますので,腰痛持ちの私には堪えます。
 また,昨今の気候温暖化によって,収穫の時期や量が左右されるのも悩みの一つです。例えば,猛暑で収穫量が減る野菜がある一方,残暑で暦上の秋でも採れ続ける夏野菜があったりします。その影響で,冬野菜の種蒔きが遅くなって,成育が遅れるものが出てきます。
 でも面白いのは,これら収穫の時期や量の変動と,スーパーマーケットに並ぶ野菜の価格との間に,相関が見える時です。そんな時は,「我が家の庭から市場動向が分かるぞ!」と,一人専門家になった気分です。
 子供達は成人し,もう庭で遊ぶことはありませんので,菜園の拡張を考える時もありますが,拡げれば当然に手間が増えますので(最近,加齢と共にメンテナンスが億劫になってきました),きっと今の規模が身の丈に合っているのだろうと思います。
 4月には,タマネギやエンドウなどの冬越しの野菜を収穫し始めると共に,トマトやキュウリ,ナスなど,夏野菜の苗の植え付けを始めます。
 今年も豊作を期待しています。
  • 収穫した人参

(O.U.)

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