ちょっと一言

「知財からつながるストーリー」11月号編集後記より

 先月の特集号,知財による新たな領域への 「つながり」を感じさせる挑戦的かつ意欲的なものだったかと思います。
 ご存じの方も多いと思いますが,特集号は会誌広報委員全員が1つの大きなテーマを眺望して1年かけて創り上げるものです。実は私,数年前に特集号WGリーダーを拝命して「ヘルスケア×知財」(2021年4月号)をまとめました。(改めて読み返すとコロナ禍前後において,知財含め社会全体の動き,考え方が大きく変わってきたことを認識できますよ。)
 そんな特集号のテーマ検討は,WGリーダーの下,委員同士が笑いながら真剣に議論を重ねることで決定されます。この本委員会の素晴らしい連帯感により,一見知財とは縁が薄い領域に対しても知財との関係可能性をみなさんに示し続けることができるのだと感じます。まあ,もちろん時には衝突もありますが,それこそ本音でぶつかれる,まさにDE&Iが自然と培われている証なのでしょうね。
 さて,「つながり」に関して,非常に稀有な体験を紹介したいと思います。私は,以前もこの編集後記を担当したことがありますが,それもちょうど今,つまり学問の秋のさなかでした。そこで当時,自身が学生時代に児童文学研究会に所属していたことをネタにしました。
 まぁ,産業財産権法と児童文学は,前者が社会科学で論理的思考に基づくものであるのに対して,後者は人文科学で感情的思考に基づくものです。そのため,一方から他方に容易に到達する論理付けなんてできるはずもない…という気持ちだったのです…。要は,学生時代に児童書を読み漁って児童館で読み聞かせしていた者など知財業界にはそうそういないでしょう,と高を括っていたわけです。
 そうしたら,いらっしゃいました,同じ路をたどられている方が! しかも驚くべきは,同じ大学,同じ研究会の大先輩が…です。イヤイヤ,ネタ投下もほどほどに…と思われた方,よく言うじゃないですか,知財業界は狭いよって。
 当時はコロナ禍にあったため,数度のメール交流で終わってしまいそうだったのですが,先日ようやく拝顔の機会を得ることができました。よもや児童文学から知財への「つながり」ができるとは…不思議だけどとてもうれしいご縁,是非とも大切にしていきたいものです。

(K.N.)

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