ちょっと一言

「子どもの好奇心から学ぶこと」7月号編集後記より

  暑い夏が始まりました。子どもの頃の私にとっては,昆虫を捕まえ,飼育し,その絵を描く経験をした季節でした。小学校から課される夏休みの宿題も,昆虫ネタでこなしていました。
 現在5歳になった息子も昆虫が大好きで,頻繁に捕まえています。彼は,昆虫が何を食べているのかがとにかく気になって仕方がないようです。昨年の夏にカマキリを飼育した際には,それがバッタを食べる様子をじっと観察し続けていました。
 私は昆虫の餌については親任せにしていました。そのため,息子が「○○は何を食べているの?」と次々と質問してきてもあまり答えられません。すると息子は,図鑑を開いて「何て書いてあるの?」と聞いてきます。パパが頼りないため,自分で図鑑の説明を理解したいようです。
 図鑑の説明だけでなく,とにかく字への興味が大きくなった息子は,日常にある様々な字の読み方を質問してきます。息子の知りたいことを学ぼうとする素直さ,及び当初の興味から別のことに関心が広がっていく姿勢に驚きます。会社において中堅の立場になるにつれ,知らないことを率直に認めたり,貪欲に学んだりすることに億劫になりそうな私にとって身近なお手本となってくれています。
知財管理誌には,多種多様な情報が掲載されています。この中には,読者の日々の業務に直結する内容もあれば, 知的財産制度のありようを考えさせるような内容もあります。自らの実務以外の法域の情報や,企業の知財実務とは縁遠い情報に触れることが,新たな興味関心を生み,既存業務を見直すきっかけになることもあると想像します。
典型例を一つ挙げます。コンピュータプログラムの保護は,特許権による技術思想の保護と著作権による表現の保護があり,また画面表示については意匠権による保護も関係します。特許の実務担当者であっても,特許に限らず,成果をいかに保護するのかという観点から提案できるようになることは,経営に資する知財への第一歩ですよね。
 よほど嫌いでなければ,子どもと昆虫を飼育したり,日常業務とは直接関係のない知財管理誌の論説を読んでみたりしてはいかがでしょうか。得られるものはあると思いますよ。

(T.K.)

  • 門扉を歩くカマキリ
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