ちょっと一言

「推しのいる生活」11月号編集後記より

 11月4日は「いい推しの日」――アイドルやアニメファンの間で,応援しているお気に入りのアイドルやキャラクター,すなわち「推し」を語り合う日だそうですが,何を隠そう,私も日本の男性アイドル・女性アイドルを中心とした「推し活」を人生の楽しみとして生きているオタクです。
 4年ほど前まではSNSやブログ,テレビを見て応援する「在宅組」として細々と応援をしていましたが,音楽番組を見ているうちに楽曲の良さに気づいてコピーバンドを組むようになり,オタク仲間ができたことがきっかけで現場へ足を運ぶようになりました。自分より10歳近く若いメンバーたちが高いプロ意識を持ってパフォーマンスする姿を見ると感動してしまって,コンサートに行くたびに涙してしまいます。
 そんな「推し活」は,日々の生活にも色々な影響を及ぼします。例えば,「コンサートで良い席を当てたい」という願いから徳を積もうとしたり,「推し」のプロ意識に感化されて日々の身だしなみや仕事に対する意識が高まったりします。また,自分の「推し」のメンバーカラーを大事にするあまり,服や小物を選ぶときは真っ先にその色を購入してしまうこともあります。
 私も例に漏れず,仕事を頑張って徳を積もうとしていますし,コンサートに行くたびに「推し」の頑張りを見て日々の仕事のモチベーションを上げています。また,私の職場では会議室ごとに色が決まっていますが,そこでも私は「推し」のメンバーカラーである紫をつい選んでしまいます。
 コロナ禍となって約1年半,アイドルオタクの「推し活」の形は大きく変わりました。昨年春はコンサート自体が軒並み中止となり,昨年夏にはコンサートが復活しましたが,今年に入ってからもずっと観客数は半分,全員着席で声援は禁止というルールになっています。以前は,オタクたちが曲中に絶妙な合いの手を入れて,メンバーと一緒にコンサートを作り上げるという一体感が醍醐味でしたので,ここ最近のコンサートはちょっぴり寂しいものがあります。
 来年こそは,またオタクの声援を聞きながら幸せに浸りたいものです。

(T.S.)

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