ちょっと一言

「ニューノーマル」7月号編集後記より

 今年は異例の春でした。
 我ら編集委員は「判例と実務シリーズ」向けに直近の知財判例を追いかけて毎月1件企画していますが,日本では,3月26日を最後に民事裁判が「ストップ」してしまい「ネタ」が出てこないという,異例の事件も発生中。
 継続年数でギネス級と噂される判実シリーズは有用な判例を探すだけでも普段から大変なんですが,こんなときは尚更大変。思考停止することなく代替案も検討し,法律事務所さんのニュースも参考に(いつもありがとうございます)助け合い精神(利用?)で乗り切るしかない,そんな状況です。
 ところで,コロナ禍において情報やコンテンツの利用が進んでいることをご存知でしょう。
 例えば,コロナ関連の臨床事例がプレプリントで数日から数週間で世界中を駆け巡り,オンライン学会が開催され,一部トップレベルの医学誌が特別無償公開されて誰でも読め,一部の統計データはオープンデータとして公開され,AIでビッグデータが解析されるなど,異例のスピードです。コロナ関連の論文をちょっと調べて見ると(PUBMED),2018年に813件,2019年に810件だったのが,2020年5月27日時点で既に17,300件と情報量も異例の多さです。
 コロナの禍中,ライフスタイルも変わりました。テレワークで通勤時間が短縮されたので,私の場合,家では空いた時間を利用して,子供たちと懐かしの映画ドラえもんを見ています。定額料金でコンテンツを見放題,楽しめる環境は,利用促進あってのことです。
 こんな風に,医療現場でも身近なコンテンツでも,ストップすることなく,ダーウィンが言ったように変化に順応した進化が次々に起きているんだなぁと。「異例」の出来事が多い世の中だからこそ,「利用促進」や「スピードアップ」といった「いい例」の実現が発明されているように思います。海外に比べ低いと言われる生産性も向上するかもしれない,そんな期待もしています。
 「2020年は異例だったけど,進化を遂げたターニングポイントだったね」と,ソーシャルディスタンスを気にせず,大きな声で笑いながら話せる世界が,早く来たらいいな〜,出来たらいいな〜♪夏こそ満喫したいな〜

(A.F.)

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