ちょっと一言

「厚底シューズ」 6月号編集後記より

 梅雨に入り,蒸し暑い日々が続いておりますが,いかがお過ごしでしょうか。テレワークの日は特に運動不足を解消したいのですが,ランニングなどの運動を行うのに適した天候にはなかなかなりません。 ランニングと言えば,今年は年明けの箱根駅伝やマラソンなどで新記録が続出しました。選手が頑張ったことはもちろんですが,新技術を搭載したシューズが新記録達成に貢献したことは間違いないでしょう。 ニュースでは厚底シューズというキーワードで話題となっていました。以前は薄くて軽いシューズが長距離走には適したシューズとされていました。しかし,反発性やクッション性の観点から,厚底シューズが提案されて,オリンピックや東京マラソンなどで厚底シューズを履いたランナーが優勝するようになり,厚底シューズの効果がランナーだけでなく一般人にも知られるようになりました。

 私はランニングを趣味としていますので,箱根駅伝での記録ラッシュに思わず勢いで購入してしまいました。そして,実際にハーフマラソンに出場したところ,想定タイムより5分以上速く走れて,厚底シューズの効果を実感できました。また,速く走れること以上に良かったのが,クッション性の高さから疲労を軽減できたことでした。BMI上は肥満に分類される私にはより効果のあるシューズだったようです。

 さて,このシューズを販売したメーカーはルールに上手く対応することにも長けているようです。あまりにも厚底シューズでの記録ラッシュが続いたため,国際陸連はシューズ使用制限の新たなルールを検討しました。厚底シューズを狙い撃ちしていましたので,2019年のイベントで使われた試作厚底シューズを使用できないよう新ルールを策定しました。しかし,新ルール発表の次の週には,新ルール範囲内の新たな厚底シューズを販売することをメーカーは発表し,業界をビックリさせました。また,新ルールはカスタマイズを行う同業他社に不利なルールと受けとられたため,結果的に,厚底シューズメーカーを有利にすることになりました。

 業界の常識を破り新たなコンセプトの製品を開発し,どのようなルールが策定されるかを見越した対応など素晴らしいところは,見習いたいところです。

(T.E.)

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