ちょっと一言
「旅先で出会った人々」9月号編集後記より
今年も早いものでもう9月ですね。皆様は夏休みはどのように過ごされましたか?私はここ数年,立て続けに海外に行っております。私の場合,他の委員と異なり家族がいないので,遠方でも気兼ねなく(?)行けます。海外では食事や観光も楽しみの一つですが,それ以外にも楽しみにしていることがあります。現地の人とのふれあいです。居酒屋では,一人で来ている他の客に積極的に話し掛けます。
また,移動する際にはなるべくタクシーに乗っています。限られた時間を有効活用できることもありますが,何よりも現地の方と片言の英語で交流できる不思議な空間だからです。先進国ですと運転手は移民や出稼ぎでその国に来ている方が多いですが,彼らが普段何を考えているのか,その国のことをどう思っているのかなども含め,初対面の方とはタブーとされている政治や宗教の話などについても積極的に話題にして,意見を聞いています。
運転手とのやり取りでは色々な思い出がありますが,特に印象に残っているエピソードを二つ紹介しましょう。いずれもドイツでの出来事です。
一つ目は第二次大戦中に少年期を過ごしたという ドイツ人の年配の運転手から言われたことです。「ドイツに来たのなら大都市ではなく地方の街に行きなさい」,「大きな街は戦争で焼失して,私の小さい頃と全く別の街となっている。本当のドイツの魅力は田舎の街に残っている」。この言葉に,ガイドブックを参考に大都市ばかりを中心とした旅行プランを立てていた私は大きく考えさせられました。
二つ目はパキスタンから出稼ぎで来ているという若者と話したときのことです。一通り世間話が終わった後,彼は「日本語で〇〇〇〇とは何て言うのか?」と聞いてきました。私が答えると,彼はその言葉を携帯音楽プレーヤー らしきものに吹き込んでいるのです。彼が言うには「日本人の客一人ずつから会話を一つずつ学んでいるんだ」,「これを暗記するまで聴く。そうすれば学校に通わずとも,いつか日本語が話せるようになると思ってね」とのことでした。私は日本人が失ってしまったハングリーさを垣間見た気がし,自分も見習わないと,と痛感しました。
(K.I.)
- ハイデルベルグの街並み
運転手のおじいさんも絶賛! - ホーエンツォレルン城
麓からの眺めに圧倒されます!