ちょっと一言
「将来の夢」4月号編集後記より
今年の特集号はいかがでしたか?近年,人工知能に関する関心も大きく高まっています。書店には多くの関連書籍が並び,テレビのバラエティー番組でも,「将来こんな時代がやってくる!」と話題になっています。ディープラーニングやシンギュラリティという言葉を耳にされた方も多いでしょう。とりわけ,みなさんの関心ごとは「人工知能が人類の脅威になるのか?」という点ではないかと思います。私自身は,担当した論文の企画段階でいくつかの書籍を読みましたが,本号に掲載されている論文にもあるように,人類の脅威にはならない可能性が高いと思っています。とはいえ,子育て中の親としては気になることもあります。私が社会に出た20年前は,携帯電話が普及し始めた頃で,多くのIT企業は存在していない,あるいは創業の時期でした。また,電車の中でよく見かける現代独特のあの光景も,想像すらできませんでした。子どもたちが大人になって就職する時代を見越して,どんなスキルを身につけてもらうか,どんな機会を与えてあげればよいのか,について悩まれている親御さんも多いのではないでしょうか。ちなみに オックスフォード大学が発表した論文で提示された「あと10〜20年でなくなる職業と残る職業のリスト」によると,金融・財務・税務系の仕事や,データ入力やオペレーター,スポーツの審判など手続き化しやすい職業は,なくなる確率が高いとされています。リストには見当たりませんが,私たちが生業としている知財業務はどうでしょうか。 個人的には,知財業務の多くは,やり方含め大きく変化しているのではないかと考えます。定年になる頃でも必要な人材でいられるよう,努力が必要です。一方で,医師やカウンセラー,教師などコミュニケーションが必要な職業は残るようです。
幸い,私の子どもたちに「将来何になりたい?」と尋ねると,長男はプロ野球選手,長女は幼稚園の先生,次女はパティシエとの答え。いずれも将来残りそうな職業でした。大きくなってもその夢が変わらないということはないかも しれませんが,まずは夢の実現に向けて一歩ずつ頑張ってほしいと願っています。そして,技術の発達とともに忘れては ならないのは,人と人のつながりだと思います。コミュニケーションのツールや,つながる範囲はどんどん変わっていきますが,相手の心を思いやる気持ちを大切に育てていきたいと思います。
(K.S)