ちょっと一言
「ランセル」 知財管理4月号編集後記より
今年も待ち遠しかった春がやって来ました。街中で新入社員や新入生が初々しく目に映りますね。小学生がランドセルを背負っている姿を見て、ハリウッド・スターが ファッションとして愛用しているニュースを思い出し(私には些か奇妙に思えましたが・・)、その生い立ちをポチリと調べてみました。 ランドセルは、江戸幕府が洋式軍隊制度導入の際に将兵の携行物を収納するための装備品としてオランダから輸入した背嚢が基になっていて、語源もオランダ語の
「ranselランセル」がなまって「ランドセル」になったということです。
学童用として使われたのは、明治18年に馬車や人力車の通学から徒歩へ移り、背嚢に学用品や弁当などを入れたことが始まりです。その後の明治20年に内閣総理大臣伊藤博文が、
当時の皇太子殿下の学習院初等科入学を祝すために誂えた箱型で頑丈な革製のお品が、現在のランドセルの原型だといわれています。そして昭和30年代に学習用具の多量化や宿題という学習スタイルが導入され、全国の小学校で普及していくことになります。
さて、ランドセルは一般名称ですが、過去の発明考案はどうだったのでしょうか。
私の調べた限りでは、明治38年出願の実用新案が一番古く、そして明治41年出願の実用新案で初めてランドセルというワードが明細書に登場しています。
実に100年以上前から出願がなされていたわけですが、今日でも外国で注目を浴びたりA4版対応の軽量化が進められたりして、開発が継続していることを、当時の発明者の方々は
想像できたでしょうか。
我に顧みて、これまで携わってきた出願が、はたして1世紀後も引例として活用されるのか...、そんな見方で明細書を仕上げるのも知財担当の楽しみではと思いました。
今年の特集号「知財を活かす!」は多くの協会員の皆様へ有益な情報を提供できるように、幅広い分野で最新の知財情報を取り上げていますので、ランドセルならぬ ビジネスバッグに忍ばせてご愛読いただけましたら幸いです。
(S.T.)