ちょっと一言
「富士山」 知財管理11月号編集後記より
11月というと皆様は何をイメージされるでしょうか?手紙の書き出しとしては、紅葉、落葉や初霜…などの常套句があるようですが、私には「富士山」が思い浮かびます。身近にある富士山としては、千円札の裏面に描かれたものがあり、そこでは富士山は桜と一緒に描かれているため、富士山から春を連想される方が多いかも知れません。しかし、 私の職場は富士山がよく見える位置にあるものの、実は春から夏の間は雲や霧で見えないことが多いため、個人的には、雪化粧された富士山が、空気が澄んできて綺麗に見えるようになる、 この時期からこそが富士山の季節だと思っています。
ところでそんな富士山について、ふと思い付いて特許庁の特許電子図書館のQuick Searchで、「富士山」を含む特許・実用新案を検索してみたところ、100件以上の公報が見つかりました。 その内容を見てみますと、溶岩や火山灰などを用いるというものもありましたが、富士山の形状を模した器具や、反対に機能面から決定された形状を「富士山状」と表現しているものが 多く見つかり、改めて日本人にとっての富士山の身近さを感じました。
例えば、飲料用のペットボトルの底面にある、内圧による変形を抑えるための凸部の形状を富士山状と表現したものなどがありましたが、もし富士山があの独特の形状をしていなければ、 「円錐状の凸部の頂点付近に凹部を有する…」といった長々とした文章や、難解な数式で記載することになるところを、少なくとも日本では「富士山状」のわずか4文字で発明を認識 できてしまうのは非常に有難いことだと思いました。しかし同時に、「外国出願では通じるのか?」という疑問も出てきました。こういった表現はきっと「富士山」以外にもありそうな 気がするので、またの機会に調べてみたいと思います。
(H.A.)