ちょっと一言

「江戸の人々の逞しさから学ぶ」 知財管理誌6月号編集後記より

  元々本好き、歴史好きだったため、いろいろな歴史関連の書籍を読み漁って、部屋には本が溢れかえっています。妻には読まない本は処分してほしいと言われていますが、愛着がある本は中々処分できないものです。最近は江戸時代に興味があり、週間で発行される江戸関連の雑誌を読み始めると、さらに部屋は雑然としてきました。所謂時代小説と呼ばれる文庫も読みやすさが手伝い、日増しに増えています。

 江戸時代は鎖国政策によって独特の文化が発展してきました。現在の大都会東京からは創造もできないほどの武家社会、町人文化がありました。皆さんはご存知でしょうか。江戸はあのヴェニスに劣らないほど水路が張り巡らされた水の都であったことを。今では道路が立体交差し、埋め立てられてしまって分からなくなってしまっていますが、100万都市江戸の物流、交通の中心は水路を行きかう船が主役でした。

   人口100万人の半数を占める庶民は江戸城の東側のごく狭い地域にひしめきあって住んでいました。一般的な住まいは9尺2間の長屋(6畳ワンルーム)です。江戸東京博物館に行くと、実物大の長屋の展示を見ることができますが、考えられないほど狭い空間で生活していました。その中で人々はどんな生活を営んでいたのだろうか、といったことに思いを巡らすことが最近の楽しみの一つになっています。江戸の人々は何でも職業にしてしまう天才でもありました。天秤棒に様々な品を乗せて売り歩く棒手振りなどの行商人達が、魚、野菜などの食材はもちろん、灰買い、古椀買い、紙屑買い、古着買いといったリサイクル品を扱うものや、桜草売り、白玉屋、貸本屋も担いで売買していました。その日暮らしで貯金などはありません。そもそも日本人はこのように創意工夫し逞しく生き抜く資質をもっていました。そんな日本人です。きっと現在劣勢に立たされているグローバルビジネスでも様々な新しいビジネスを生み出して挽回していくことでしょう。                 

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(Y.O.)

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