ちょっと一言
ドバイ訪問記
JIPAのアジア戦略PJ活動として、2008年11月末に、砂漠の国UAEを訪問した。とあるパンフレットによると、UAEのドバイでは年に数回しか雨が降らないとのことで、灼熱の炎天下を予想していたが、よほど強力な雨男がいたのか、4日間の滞在中、2回も雨に恵まれた。恵まれたと言うのは、昨年のJIPAアジア訪問代表団は、金融危機後、バンコクでの大規模デモをかわし、ムンバイのテロを避けて実施できたこともあり、今考えると、少し幸運すぎていた感もする。
ドバイと言えば、世界のセレブが集うパーム・ジュメイラ(ヤシの木型の人工島)。あのサッカーのベッカム様も妻に豪邸を送ったとか。ガイドさんの話では、マンションや豪邸を作れば即完売らしく、行け行けドンドンの調子で、既に第四の人工島を構想中とのこと。それもそのはず、町中には、ショッピングモール内のスキー場や、ホテルエントランスを飾る水族館、飛行機を模ったエミレーツ航空本社、大型フェリー型の税関本部など、いたる所にお金の使い道を探している様子であった。
しかし、そんな国での「ものづくり」はほとんど皆無なようで、その為「ニセモノでも何でもお金で買える物は全て一緒」という認識なのか、政府公認のマーケットでも堂々とニセモノが売られていた。「ニセモノが無くなると、ドバイの楽しさがなくなる」とお気楽な声も聞いた程。ニュース等では、ドバイも今やバブルが弾けつつあると伝えているが、外国人が石油や天然ガスなど豊富な資源にお金を投資する間は、恐らく同国民はさほど困ることはないだろう。
そんなうらやましい国での休日、私は砂漠ツアーにお金をつぎ込んだ。
もし迷子になると骨になるまで発見されないだろうと思える猛暑の砂漠でも、お金さえ出せば、エアコンの効いた四駆の車内で、ご機嫌なアラビアン・ポップを聴きながらアトラクションを楽しむことができる。現地ドライバーは、「日本車は壊れなくて最高だ!」としきりにリップサービスをしてくれたが、こちらはこちらで、お気楽なドライバーが適当に出発して、砂漠に一人取り残されやしないかと、休憩がある毎に変な気を使った。
そんな心配を感じつつも、乗ラクダだの、ベリーダンスだの、アラブ式バーベキューなど、普段触れることの無い異文化を楽しむことができた。また夜の砂漠では、砂の中に隠れていた昆虫が沸いて出てくるらしく、寝そべって星空を楽しんでいた私は、服の下をもぞもぞと数匹のスカラベ?に這い回られるスリルも味わった。
今回のアジア訪問代表団は、JIPA初の中東進出であったが、工業や金融で発展する国とは異なり、そこには別の形の豊かな国を垣間見ることができた。また今回の代表団は、インドからUAEへと移動したこともあり、豊かさは元より、政治、文化、自然等、あらゆる面での違いが目に残った。特にUAEでは、建国37周年を祝っている光景を多々見た事もあり、日本を含め、インド、UAEの「歴史」の違いを感じさせられた。その反面、昔の日本の模倣時代や、バブル時代の室内スキー場を思い浮かべると、また、インドムガール帝国の王様が亡き妻にタージマハル宮殿を送った話を思い出すと、今のドバイも同じ道を歩んでいるのかとも感じる訪問であった。
(Mr.T)