第4章 IDS ( 情報開示陳述書;Information Disclosure Statement )
4.1 基本ルール (1)情報開示義務 "情報開示義務違反と認定されれば権利行使できない" "米国出願時から特許発行まで義務は継続する" (2)情報開示義務の対象者 出願及び手続に関係する者(発明者はもちろん、他に知財部員、代理人等) (3)開示すべき情報 "特許性について重要な全ての情報" @その情報自体、または他の情報との組み合わせで特許性(102条、103条)を否定すると考えられる情報 発明者の知っている文献情報(特許公報、論文等)や対応各国特許出願情報(サーチレポート、拒絶理由通知の引例等)等 AUSPTOによる特許性なしとの見解に対して、出願人の主張に矛盾を生じる情報、発明の実施に関する情報や実験データ等 4.2 非英語情報の提出 英訳文を提出するか、または IDS 時点で理解した範囲で「クレーム」との関連性について簡単に説明する。 4.3 実務上のポイント(迷ったら提出する) (1)後の訴訟において IDS 違反の問題を提起されてもGood Faithを主張できるよう常に一定の運用基準を維持すると共に検討の経緯等の証拠を残しておく。 (2)改良出願や特許出願ファミリー全体での情報を一元管理し、適切に代理人に伝える。 (3)最も広いクレームについてIDSとの関連性を判断する。 (4)重要でないと言い切れない情報はとにかく提出する(迷ったら提出する)。 (5)特許発行料金支払後(特許発行前)に重要な情報を知得した場合、訴訟に耐え得る権利とするためにも、継続出願または RCE(継続審査請求)をして情報開示する。 (6)IDSの提出は、時間の経過とともに制限されるので注意が必要である。 4.4 利用できる特許データベース (1)外部データベースの英文抄録等の利用 日本特許情報機構発行やダイアログ社の特許データベースに収録された英文抄録が従来から利用されている。その際、クレームとの関連性が明確に表現されているかどうか英文抄録の内容をチェックすることが必要。 (2)日本特許庁の電子図書館(IPDL)の全文英語翻訳明細書および英語抄録 コンピュータ翻訳による全文英語翻訳明細書について、その英訳内容を「日本特許庁が保証しない。」としているので、IDS目的での利用に関しては注意が必要。 4.5 IDSの提出時期 (規則 1.97) (1)第1段階 米国出願から3ヶ月後または最初のオフィスアクションの郵送日のいずれか遅い日迄 (2)第2段階 最後のオフィスアクションの郵送日または特許許可通知の郵送日のいずれか早い方の日迄 (3)第3段階 登録料の支払日迄 (4)第4段階 特許発行日迄 4.6 時系列でみた場合のIDSの作業分担
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